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14/2/21

人生で必要なことは全て旅先から学んだ。 孤独を抱いて寝る時

Image by Olia Gozha

旅に出ると不思議とみんな社交的になる。

特に一人旅をしている者はとても社交的だ。



同じ安宿で出会った旅行者同士すぐに

「やあ!どっからきたの?どこ周った?一緒にご飯食べよう!」となる。

男女、国籍関係なく、すぐに仲良くなる。

不思議だった。


日本に居たらすれ違う人と一緒にご飯を食べようなんてすぐには声を掛けない。

むしろ、怪しまれる。

なぜだろう?と旅に出る度に考えていた。



うすうすわかっていたが、痛感したのは長期旅行に出てからだった。

俺はある時ミャンマーにあるパガン遺跡のある町タウンシップに長く滞在していた。

現地で友人もでき、町にもずいぶん馴染んできた時、そろそろ次の町に移動しようと決めた。

そして友人と別れ、昼過ぎにバスに乗り次の町に着いたときはすでに夕方で暗くなっていた。


その時、ものすごい孤独感に襲われた。

あんなにすごい孤独感は初めてだった。


なじんだ町から知らない町へ。

言葉が通じない現地の人々。

他の旅行者も見当たらない。

すでに夕方で暗くなっている。

空腹だが、宿も食堂も見つからない。

ミャンマーはインターネットが通じないので、自分の友人らと連絡も取れない。


様々な条件が重なっていた。

ようやく宿を見つけ滞在することにしたが、宿のボーイは英語がままならずコミュニケーションが難しい。

さっさと近場の食堂で夕食を済ませシャワーを浴びたら、もうやることがない。


心はものすごい孤独感が占めていた。

本を読む気にもならない。


今まで旅に出てこんな気持ちになったことがない。

いつだって周りに旅行者がいたし、ネットで日本の友人に連絡することだってできた。

隔絶された環境は、すっごく心細く、不安でいっぱいだった。


今後も一人旅を続けていると、この強い孤独感に襲われるのかと思ったら、おかしくなりそうだった。

寂しくて寂しくて寂しくて、身もよじれんばかりの寂しさを感じた俺が取った行動がいまだに忘れられない。


旅先で子供たちと遊ぶように持ってきた折り紙で動物を沢山折って、枕元に並べ、「寂しい!」と孤独を抱いたまま寝たのだ。


日本にいると寂しかったらテレビをつける。

寂しかったらラジオをつける。

寂しかったらネットを開く。

そもそも寂しいと感じることが少ない。


人恋しかったらコンビニに行けば人がいる。

友人に電話をして話ができる。

連絡をしなくても近くに友人がいるという安心感もある。

そもそも日本語であらゆるやり取りができる安心感がある。


日本で生活していると普段気にしていないことが、意外と安心の材料であったと気付く。

また、寂しさをごまかす術が日本にいるとたくさんある。

携帯やインターネットの普及は世界中すさまじく、人とのつながりを容易にさせた。

それはすばらしいことだが、同時にじっくりと孤独を抱く瞬間を個人から奪い去った。


旅先で感じたあの強烈な孤独感。

そこまで感じなくても、「寂しい」と感じるからこそ人は人とつながろうとする。

旅先で旅行者が気軽に声を掛けるのは、旅行中で舞い上がっているからではない。

人としての基本的な感情「寂しさ」を実感するからこそ、皆新たな友人を得ようとするのだ。


「寂しい」ときちんと実感すると人とのつながりを大事にする。

これは俺にとって日本にいる時には実感できないことの一つだった。


一人旅は素晴らしい。

生きる上で最も大切なことを教えてくれる。

けど、二人旅も素晴らしい。

だれかと一緒にいる安心感と感動の共有が出来るから。


ちなみに孤独を抱いて寝た次の日、早朝から町を散歩するうちにお気に入りの場所や食堂を見つけたり、別の旅行者と知り合ったりとすぐに前向きになった。

しかし、一時でも深い孤独感を感じることができたことは、今でも思い出に残る大切な宝物だ。


寂しさをごまかすことなく、むしろ寂しいと感じる気持ちを大事にしながら、これからも人とつながって生きたいと思う。


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