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13/9/24

転職より起業を選んだ理由

Image by Olia Gozha

2013年4月某日。今から遡ること5ヶ月前の、とあるカフェにて。

「なあ、おれ転職しようかと思うんだけど……。」

古川 健介「起業しなよ!」

「……いや、俺ってさ、なんのスキルもないじゃん? SEOとか、マーケとか、もっと色々身につけてかr」

古川 健介「そんなの身につけても意味ないよ! 起業しなよ!」

「え、なんで?」

古川 健介「5年後に市場からなくなってるかもしれないスキルだから!」

「な、なるほど。たしかに……。被リンク売ってるSEO業者とか、数年後に廃業しててもおかしくないしな。」

古川 健介「そうそう。いま人がやってることって、数年後にはほとんど自動化されちゃってると思うんだ。」

「となるとー、いったい何を身につけりゃいんだろね?」

古川 健介「うーん、難しいけど、たぶんコンテンツだけはずっと需要がなくならないと思うんだよね。そんで、かわぱらみたいにコンテンツもWebもわかる人って今はかなりレアだから、それやるといいよ!」

「おk。把握。」

古川 健介「ウフフ」

このナゾのイラストアイコンの人との会話から1カ月後、僕はログミーをつくって公開し、そのまた2カ月後には会社を辞めて独立していました。


転職か起業かを決める前に考えた2つのこと

上記の友人のアドバイスもそうなのですが、起業するか否かを決める前に、僕はある2つのことについて考えていました。それについて書きます。


問1. 起業に必要なスキルって?

僕のように、転職と起業を天秤にかけている人の中には、このように考えている人が多いのではないでしょうか。

「いつかは起業したいんだけど、そのために必要なスキルを身につけるために、もう1社くらい経験を積んだほうがいいのかも?」

しかし、ことIT業界において、「数年後に必要な具体的なスキル」を予見するのって、

「数年後にインターネットはどうなっていると思いますか?」

という問いを考えるのと同じことなんじゃないかと思ったんです。

博打すぎる。リスク超デカイ。

今年おれ、32歳。これからどっかのWebサービスやってる企業に転職して、3年ぐらい働いて、35歳になったときに「Webはもうなくなりました」て言われたら、どうしようもない。

デジカメが出てきてフィルム屋がいらなくなった、みたいなことが、Web業界でもすでに起こっているし、これからも起こると考えるのが自然だよな、と。

そういう意味で、起業に必要なスキルを企業の中に求めるというのはナンセンスだし、それよりも「次に人が求めるものを察知して具現化する能力」こそが必要だよな、と思いました。コンテンツをつくる、とはまさにこの能力のことだと思います。

そこでもう一つの疑問。


問2. その会社でやる意味があるのか?

僕が退職を考え始めたそもそものきっかけは、某大手企業からのヘッドハンティングでした。

これを機に、エージェントなどを通して10社ほど面談の機会をつくってもらいました。某ソシャゲ系とか、某ポータル系とか、IT業界の有名どころはひと通り会った感じです。

そこで彼らが僕に求めたものは、ほとんどが「新規事業の立ち上げ」でした。どの企業も、自分たちの得意分野で上場を果たしており、次の手を打つためのまったく新しい事業アイディアを欲していたのです。

まさに前述の「次に人が求めるものはなにか?」を考える仕事だったのですが、その時にハタと思いました。

「まったく新しいことなら、わざわざその会社でやる必要はないのでは?」

だったら、自分でやったほうがいいじゃん、ということです。

もちろん、既に抱えている顧客数や予算規模など、企業の中でやることのメリットもたくさんあります。でも、僕にとってはデメリットのほうが大きいと判断しました。

  • 僕の考えるアイディアは感覚頼みなので、決裁が降りづらい(だろう)

  • 自分のコンテンツに口を出されたくない(多数決のモノづくりはヤダ)

  • 成功しても自分に金銭的なメリットがほとんどない

  • 定時出社とか無理。マジ無理。


後悔しなさそうな選択を

細かいことを言えば、独立を選んだ理由はほかにもいろいろあります。

周りに経営者が多かったこと、転職活動を通して、たとえ失敗しても再就職できそうな手応えを得られたこと、もう人に使われるのはイヤだったこと、人生で一度は社長になってみたかったこと、etc...

でも最後は、僕が迷った時にいつも判断基準にしていること。

「明日死ぬかもしれないんだし」

未来のことを当てるのは難しいですが、

「どっちを選んだほうが後悔が少ないだろう?」

というのは、実はほとんどの人が自分でわかっているのではないかと思います。

というわけで

よく起業とリスクを天秤にかける人がいますが、僕は、起業するリスクと転職するリスクを比べた結果、起業することにしました、という話でした。

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