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13/9/8

『第三十話 どこでもドリーの羽越路(山形県その2・新潟県編)』~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと 第三十話

Image by Olia Gozha

第三十話 どこでもドリーの羽越路

山形県米沢市⇒新潟県新潟市⇒富山県富山市

前回までの補正移動距離 7341.7km
区間移動距離 441.0km
概算総移動距離 7782.7km

≪奥羽本線 山形駅⇒米沢駅≫

 山形新幹線と同じ線路を走る奥羽本線、各駅停車はゆっくり進んでいく。

 時に、新幹線と行き違いの停車をしながら。

 夕方の時間帯の電車。

 この電車に乗らなければ、今日中に新潟にたどり着けない。

 列車は、米沢駅に定刻通り着いた。

≪米坂線 米沢駅⇒坂町駅≫

 米坂線は、山形県の米沢と新潟県の坂町を結ぶローカル線である。

 およそ90kmの、山間地域を2時間かけて進んでいく。

 昔は、広域輸送や貨物輸送などで、活気あふれていた路線。
 
 今は、道路交通網が整備され、ローカル線としての使命を果たしている。

 この日は、数日前に起きた大雨の影響で、山形県の今泉駅と小国駅の間が代行バスになっていた。

 直通で坂町まで行く列車は、1日5本。

 乗った列車は、PM6:29発 新潟行快速べにばな号、最終電車である。

≪米坂線 米沢駅⇒坂町駅の車中≫

8月8日 PM6:29

 ディーゼルカーの小気味良い音が聞こえる。

 隣り合った方と、いつしか話し込むようになった。

 新潟県に住む大学2年生、平泉を旅行してからの帰り道だという。
 
 少しづつお話を聴いていった。

 気が付いたら、列車は、今泉駅に着いた。

 運転士が、代行バスに乗り換えてくれという。

 そして、俺らは、小国駅の改札を出て、駅の前に止まっていたマイクロバスに乗り込んだ。

 補助席に座る俺、後ろには彼女が座った。

 バスの中の無言。

 良くないと思いながらも、無言で振り返る。

 しゃべっちゃいけない感。

 そうこうしている間に代行バスは、山形県と新潟県の県境にある、小国駅に着いた。

 列車に乗り込んだら、口火を切って話し出した。


 いやリラックスしたと言ってもいいだろう。

 そして、米坂線での≪ドリー≫が始まった。

 『なぜ大学選んだの』

 「人の役に立ちたいんです」

 『誰の役に立ちたいの』

 「お年寄り、将来は親の役に立ちたい」

 『親に話したことある』

 「恥ずかしくてはなせない」

 『いつか話せたらいいね』

 

 列車は、いつしか坂町の駅に着いていた。

 彼女が帰る方向の列車が来るのを待った。


 坂町まで着けば、そんなに焦ることはない。

 「明日バイトが早く終われば。また話しますか?」

 『早くおわれば、また会いますか』

 移動もあるし、お互い分からない状況だけども

 『また会いましょう』

 この言葉ってすごく大切だと思った。

 どちらが、言い始めたかよりも、≪また会いましょう≫というコトバは、疲れ切った旅人にとって、大きな力となる。

≪新潟県新潟市≫

8月9日 AM0:00

 ホテルが、見つからない。

 いや、どこも泊まれない状況。

 ≪マンガ喫茶≫は、身体に応える。

 ホテルじゃなくてもいい。

 ただ、横になりたい。

 歩いて歩いて、2時半ごろ万代プラザホテルが空いており、ようやく寝床を確保した。

≪新潟県新潟市 新潟駅前≫

8月9日 PM10:00

 時間は、いくらでもいや・・・あと6時間位か。

 意外と新潟から富山へは時間がかかる。

 昨日、お話した学生さんからLineが来た。

 「今日もしかしたらバイト6時位まで掛かりそうです。」

 これは、ちと難しいかもしれないなと思った。


 ふうさて、どうしようかと思っていた瞬間に二人組の女の子が、通り過ぎた。

 取りあえず声を掛けてみる。

 『どーも、おはよーございます』

 かき氷を食べていた女の子たちが、立ち止まってくれた。

 『全国47都道府県を回って写真を…』

 いつものフレーズを言ってみた。

 「めちゃくちゃ怪しいじゃないですか」

 そりゃそうだ。俺でもそう思う。


 『そうだよね。怪しいよね』

 つい俺も同じペースで返してしまった。

 しかしながら、かき氷の話から、お話が出来るようになった。



 そして、いつしか立ち話での≪ドリー≫が始まった。

 『なんで浪人したの』

 「行きたい大学があるから」

 『浪人生って、どんな感じなの』

 「浪人生って基本的にプライドが高いとおもう」

 

 『でもこの仲間って浪人したからできた仲間でしょ。素晴らしいじゃん』

 「確かに言えてる」

 人生思い通りに行くことなんてほとんどない。

 でもそれを如何に楽しめるかだと思う。

 大学受験予備校に通う浪人生だそうで、夏休みも返上で予備校があるという。

 
 『そういや、どっか美味しいお寿司やさんある』

 と聴いたら、

 「お昼お寿司食べに行きましょう」と誘われた。

 

 彼女達が探してくれたお寿司屋で、お昼のランチを食べた。


 お寿司を食べると素敵な顔になると言うのは本当だなと思う。

 そのお店には、偶然にも、彼女達の内の一人が同級生がバイトしていた。

 『今度は、お寿司の旅でまた会いましょう』

 また、『またあいましょう』の言い方が、段々流暢になってきた。

 気が付いたら、もう昼を回っていた。

 富山には、今日中に着きたい。 

 残念だけど、また今度、米坂線で会った女の子に 

『また、会いましょう』


とLineを送って、移動する準備を始めた。

 

≪新潟県新潟市 ドトール新潟駅前店≫

8月9日 PM5:30

 旅も、半分に差し掛かり、少しづつ文章もまとめだしていた。

 最初は、前途多難だった旅も、ようやく調子を上げてきた。

 その場に応じて、変化していくスタイルに。

 それが、正しいかどうかは、誰が判断することでもない。

 そんなことを、メモしていたら、隣の席にベッピンさんが、

 『こんにちわ』

 と話かけてみた。

 彼女は、新潟の専門学校で保育を学んでおり、4年間通う事で、大学の卒業資格が授与

されるという。

 そして、同時にアーティストとして、ライブも行っていると。

 歌う事が好きで、

 活躍する場所を、彼女だけじゃなく、彼女の周囲に支えてもらって、実現する。

 まさにこの旅での、出会いに色々気づかされた。



≪新潟駅⇒富山駅≫

 新潟駅から富山駅までは、特急北越10号金沢行に乗って向かった。

 およそ3時間。

 

 駅弁を食べながら、旅で見聞きしたことを文章に直す作業に充てていた。

 また、富山での宿泊先予約もした。

 もう歩きたくない。

 そんな時に、長崎で撮影した、ユカさんから、ユカさんの地元である福井県で、再会で

きますよというLineが来た。

 およそ、4000kmぶりの再会だった。

 そんなやり取りをしていたら、富山駅に定刻通りついた。

 富山駅の近くの食堂で見たニュースでは、秋田と岩手の大雨と土砂災害が報じられてい

た。

 秋田の連中は、大丈夫かしら

 岩手の連中は、大丈夫かしらと心配になり、メッセージを投げた。




 余談になるが、この米坂線で知り合った女の子と、たまにLineをしている。

 予備校生の子ともLineしている。

 このストーリーを書きながら、私出すんですか?なんて言われている。

 出会いは、面白い。

 そして、世界は広い。

 この、日本でもそんなことが起きるのだから。

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Image by Jukka Aalho

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