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16/12/1

いつかどこかで

Image by Olia Gozha

サトシ「帰るよ」

アキコ「はーい」

短いやりとり

メールが使えるようになってからはずっとこんな感じ

1日に1度、会社を出る時に…


転職をしたことがある

同業で会社を変える‘移籍’も一度ある

サトシ「転職してよい?」

アキコ「どぞ♪」


サトシ「移籍するぞ」

アキコ「はーい♪」


何にも言われなかったな


僕たちの相性はあまり良いとは言えない

お互いにもっと苦労しない組み合わせがあったに違いないと思う


もっと几帳面で気の利く男

もっとオープンでおおらかな女

そして‘ケンカの相性’がもっといい人


努力

我慢

労り

ずっとずっと繰り返してる

夫婦なら当たり前か。。。


僕は生命保険に入っている

生命保険に託すもの…

‘唯一死んじゃった後にできること’‘お金をあげること’


贅沢をして欲しいわけじゃない

ただ普通に暮らしていって欲しいんだ


僕が死んじゃったら

遺体を焼いてくれると思うんだけど

あまり派手な葬儀は望んでない

散骨か樹木葬がいいな♪


沖縄の海の魚のエサになるか

桜の苗木の下に蒔かれたい


とにかく地球の栄養になりたい




保険金が支払われて

ちゃちゃっと葬儀を済ませる


欲しかったら足の小指の骨くらいあげてもいいかな♪


奥さんは住宅ローンを支払わずに

今のマンションに住み続けることが出来る

あとは毎月

雲の上から奥さんの通帳に生活費を入れていく

毎月決まった額を

奥さんが働いても働かなくても

誰かと再婚してもしなくても


今と変わらない生活ができるだろう


きっと上手くやりくりして

貯金までしてるだろうな…


でも願わくば全部使いきってこっちに来て欲しい

奥さんのためのお金だから


それと誰かと再婚して欲しいんだ

僕が埋められなかった穴を埋めてくれる誰かと

奥さんの最期を看取ってくれる誰かと…

そんで幸せに過ごして欲しい


たまに僕の寝息が聞こえない物足りなさや

バラエティ番組を観て笑っている耳障りなゲラゲラを

思い出してくれればそれで十分


いつかどこかで



必ず来ちゃう別れ



願わくば




いよいよ最期だっていう病床

サトシ「そろそろ…俺、死ぬぞ…」

アキコ「はーい♪」


‘ずっとあなたが好きだった’


そんな思いを含んだ笑顔で

あの時と同じように送り出して欲しい






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Image by Jukka Aalho

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