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16/4/30

幸薄い人生ですが、大人になってできた友達に救われました。その4(結)

Image by Olia Gozha

 彼の父親の様子がおかしくなりました。急に知らない会社と統合すると言い出しました。どうやらその会社の代表と不倫しているようで、家にも会社にも居ない日が続きました。彼は父親がいない時にパソコンを見て不倫の証拠を掴みました。データをコピーして母親に渡し、父親がデータを消しに来ても良いようにと友達にまで証拠データを渡していました。その友達が不倫の証拠写真を会社のホームページにある掲示板上に載せてしまい、会社に問い合わせが殺到。彼の父親と不倫相手が家に来て「(彼の名前)がやったんだろう!」「訴えてやる!慰謝料を払え!」と大騒ぎし、いくら彼が「俺はやっていない」と言っても「お前以外考えられない」と聞く耳持たず、私まで疑われる事態に…。

 彼はショックで臥せってしまい、会社にも行けなくなりました。彼を一人で家に置いていたら何をするかわからないので、私も仕事を休んで彼の介抱をするとこにしました。休みが続き会社はクビになりました。トップが不倫していて経営もめちゃくちゃな会社、こっちも嫌だし義理の父親になったとしても関わりたくない。会社は辞めて良かったと思っています。

 実の父親に告訴され、警察の事情聴取を受けるという異常事態。彼はハッキリ「自分はやっていない。データを渡した友達がやった」と伝え、私も警察に「何も関わっていません」と言いました。相手は告訴取り下げはしなかったようで、それからも何度か事情聴取されました。たぶん、不倫相手が警察に乗り込んで「早く逮捕して!」とか何とか喚いて警察も仕方なく動いているのでしょう。不倫の画像をどれだけの人が見て、会社にどれだけの影響が出たのかハッキリしないから慰謝料の計算なんてできないのに…。


 彼の両親は離婚し、彼の母は慰謝料、養育費、財産分与などでたくさんのお金をもらいました。改めて私は『家族って何だろう?』と考えました。血のつながりが無くて父親から暴力を振るわれることもあれば、血のつながりがあっても仲が悪いこともある。長年連れ添った夫婦でも離婚するし、兄弟で喧嘩して絶縁したり、それでも表向きは仲良く暮らしているように見せている。彼の家に最初に来て感じた違和感は膨れ上がって破裂しました。

 祖母から「母親は彼氏との間に子供ができて堕ろした」「おじと嫁さんの子供が流れた」と同時に聞かされ、生まれたかったろう命に手を合わせました。母が殺した命はおじとお嫁さんが欲しかった命だ。それまで母に対して感じたことのない嫌悪感が湧き上がり、バカな母を恨み、四十を過ぎても愛される母を妬み、すぐに孕む母を羨み、自分勝手な母を蔑みました。どうして今まで気づかなかったのか。みんな母が悪いのだ。全ての根源はこの母親だったのだと…。『不幸な母を差し置いて、私だけ幸せになって良いのだろうか?』という”幸せ恐怖症”も、この時からなくなっていきました。


 時は流れ私も母になる番がきてしまいました。彼は無職、私も無職という状態で。もちろん周りは反対します。それでも堕してしまうことは考えませんでした。『大嫌いな母と同じにはなりたくない!自分は絶対に幸せになるんだ!』という強い思いがありました。しかし、『私なんかの元に生まれてくる子供は幸せなのか?こんな親に育てられてまともな人間が育つのか?子供に虐待してしまうのではないか?』と不安は尽きず。彼には「実は俺の子供じゃないんだろ?どうして今までできなかったのに今更子供ができるんだ」と言われ…。ギリギリまで話し合い、出産の3ヶ月前に結婚しました。


 『結婚して子供が生まれれば誰でも無条件に幸せになれる』と思い込んでいました。それは幻想だと子供が生まれてくるまで気づかなかった。私もまた”バカな母”でありました。夫は育児に関わらず、仕事もせず、女の子と遊びに出かける始末。産後で精神的にもツライ時期、支え合う仲間はやはりネットで知り合った人達でした。赤ちゃんがいたら家から出ることもままならないので、ネットでのつながりは本当にありがたかった。特に月齢も近い女の子のママ友がいたことはとても心強かったです。身近な誰にも相談できない話も相談しやすいというのは大きかったと思います。



 今は娘が大きくなってきて、少しずつ…ホントに少しずつですが夫も育児に参加するようになって楽になりました。夫は障害年金を受給、私もパートで働きながら幸せに暮らしています。収入は十分ではありませんが、姑さんも同居でいるし、無理して働く必要もないと思います。


 とても長く、拙い文章を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。


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Image by Jukka Aalho

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