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16/1/3

第百四十九章 スクール・レヴォリューション

Image by Olia Gozha

第百四十九章

「スクール・レヴォリューション」

「高木、どこでもええから絶対に私立を1校受けよよな」

「でも、先生、ボクんちは私立に行ける状況じゃないんですよ」

「ええから、どこでもいいから1校受けるんじゃ。ええな」

「・・・・・・」

(結局、私立に行ける経済状況ではないのに受験させられた)

「こんなのは心理学と言えない」

「でも、統計以外は全部『優』なんだし・・・」

(大学院は、筆記試験が受かって面接で落とされるレア・ケース)

「社長、昨日の担当生徒の保護者が、『あんたんとこの営業の人にうまい子と言われて買ったこの教材アカンわ!』と言ってみえましたが・・・」

「それで、オマエはあっさり引き下がったのか!営業が汗まみれで売ってきたものを」

(社長に口答えをしたら会社にいられず、退職)

「帰国したら仕事はどうするの?」

「中京地区なら、名古屋大卒とアメリカ暮らしで塾か予備校講師の口くらいある」

「そうだね」

「なんで、7通も履歴書を送って返事が1つもないんだ?」

(26歳で、失業、資格なし、貯金なし、彼女なしで、地元で塾を始める)

「なんで英語ペラペラで、受験英語もトップクラスで英検1級に落ちるんだ!」

「こんなの合格しなくても英語講師くらいできる。なんだ、この試験はクソだ!」

(一次合格、二次不合格を経て、最後に合格)

「もしもし、高木塾さんですか。さっき、A塾の人が来て『高木塾はもうすぐ閉鎖するのでうちに移って来なさい』と言ってみえましたが、閉鎖するんですか?」

「はぁ?いや、そんな予定はないですけれども・・・・」

(A塾はその後に撤退)

「私どもの銀行は、大規模塾は勝ち組、おたくのような個人塾は負け組みと認識しております。融資はできかねます」

「それって、あなた個人の認識ではなくこの銀行の認識なんですね?」

(別の銀行の融資を受けることに。この銀行は他の大規模銀行に吸収合併された)

「名古屋大学まで出て、なんで小さな塾をやってんの?名大卒なんて、ウソやろ?」

「本当ですけど・・・」

「確か、名大に教育学部なんて無い」

「ありますけど、」

(結局、結婚式には出席してもらえなかった)

「えらっそうに!京大8割って、2割間違えたんやろぉが」

「いや、京大の問題は○×式ではなくて、英作文だから最高点でも8割ちょいなんですよ」

(何も分かっていない人に答ええるのは疲れる)

 学校に関する問題点はいろいろあるが、緊急を要するのは次の3点。

  • クラブ活動の自由化

  • 学区の緩和により競争の促進

  • 隠蔽体質の除去

 

  • クラブ活動の自由化

現役教師の方のブログ→https://clubdemise.wordpress.com/

私がかねがね主張しているように、スポーツや文化活動を学校単位、企業単位でやることに無理があるのです。地域社会がそれを支える仕組みを創る必要があります。よって、大会も学校単位ではいけません。

学校単位の出場があってもいいですが、地域のスポーツクラブや音楽クラブが参加できるようにしなければいけません。日本型のシステムを賞賛する意見もありますが、スポーツでも音楽でも世界的プレーヤーは学校単位クラブの中からはほとんど生まれていないのが現実です。日本の学校単位の部活が優れたシステムだと言うなら、なぜその中から秀でた人間が育ってこないのでしょう。

もともと文科省は、個人の能力を伸ばすことには興味がないのだと思います。管理し、押さえつけ、従順にさせるそれが日本国の教育の目的だと理解しているとしか思えない面が多々あります。

「一億総ロボット化」

は官僚や為政者にとっては都合がいいでしょうが、国家のダイナミズムは完全に失われます。

日本の部活のあり方はこれから変わるでしょうか?難しいでしょう。縦割り行政の中で、官僚たちは改革など行うつもりは、はなからありません。また、親たちの9割方は現状に対して思考停止状態か、そもそも何も考えていません。

私の指導させてもらっている子たちの中には、学校の授業が無意味なので家庭で勝手に勉強していた子がいた「私はバイオリンのレッスンがあるので」と担任に強制クラブの免除を申し出た子もいた。週に3日だけ料理を作るクラブに籍をおく子もいた。

方法は違っても、学校の硬直化した制度から逃げようとした。四日市高校に滑り込む状態で、旧帝(上位2割くらい)に行くつもりなら非常事態なので全て勉強に賭ける覚悟くらい示して欲しい。

そんな覚悟もなければ、ブラック企業で社長にこき使われ、銀行の融資は断られ、彼女の親から結婚の反対をされるのは当たり前。ニートのお一人様で一生終わるかもしれない。

現役教師も、塾講師も、生徒も、みんな

「部活動のあり方がおかしい」

  と言っているのに、何も変えられない。なぜなんだろう。当事者が問題ありだと言っているのに。

  私の塾は午後5時に始まる。A中学校の子は来てくれている。B中学校の子はクラブで来れないと言う。C学校は6時でも来れないと言う。これは、どういうことか。

これだけの違いが2年間続いて、公平な受験の競争と言えるのだろうか。言えるはずがない。

2、学区の緩和により競争の促進

23区内の公立小に通わせています。学校選択制のある区です。学区内とそれに隣接しているところ5校から選ぶことができました。学校選択制だと人気校とそうでないところの差が人数などで出ています。
 我が家は隣接地域に行かせましたが、リサーチ不足で他にすれば良かったと思っていることもあります。中学受験率がかなり低い学校ですが、毎年超難関といわれる中学校に進学されるお子さんもいます。地元公立中は見学させてもらいましたが、授業を受けていなかったり、不真面目な子が多いので、受験を予定しています。

四日市合格者数     
                     H27   H26             

1、陵成中学校(桑名市)      16    23
2、光陵中学校(桑名市)      24     9

3、藤原中学校(いなべ市)      6     6

4、東員第一中(員弁郡)       3     4

5、員弁中学校(いなべ市)      1     4
    高木教育センター           2     3 

  6、 大安中学校 (いなべ市)     4     2

7、東員第二中 (員弁郡)        1    1
  北勢中学校(いなべ市)        1    1 

 

  すでに学区の自由化された地区に住む人もいれば、ガチガチの学区にしばられた地区に住む人もいる。競争がないと腐敗するのは当然のことだ。

  今は、車を持っているご家庭が多い。これだけ合格率に違いがあるのなら、誰だって「陵成中学校」か「光陵中学校」に通いたい。同じクラスの中に、四日市高校に合格できるくらいの学力の子が5人くらいいる。

  クラブ活動に熱心な「北勢中学校」や「東員第二中学校」には、5クラスに1名いるだけ。四日市高校に合格できるような学力の子に会ったこともない環境で勉強している。だから、熱心な子がどういう生活をしているのかも分からない。

  

<「均質」が大好きな日本人への挑戦?>東京大学先端研と日本財団が始めた「異才発掘プロジェクト」     高橋秀樹[放送作家]

「人に迷惑をかけないようにしなさい」という忠告は、実に奇妙な意見である。なぜなら、ヒトは誕生以来「他人に迷惑をかけないでは生きていけない種だから」である。しかし、日本で、この意見は「忠告界の公理」のような扱いを受けていて、誰も否定することなどないだろう。なぜか、日本では「均質な社会」が、最も尊ばれているからである。均質や平均がよくて人より突出することを嫌う。それを判定するのは「世間様」と呼ばれている日本教の最高神である。

 最も腰の重い東大でさえ、今の学校からは能力が高い生徒がはみ出すことを認めているわけだ。いや、ハッキリ言おう。

「日本の学校は生徒をダメにする組織だ」

3、隠蔽体質の除去

  イジメなどの不祥事が起こった場合、校長や教育委員会が何とか事実を隠蔽してわが身を守ろうとする体質は嫌というほど見せ付けられた。

  しかし、そのような事件が起こる前から隠蔽体質は日常生活の中で見られるのだ。

  たとえば、ここ「いなべ市」では校内順位といった基本的なデータでさえ開示されない。競争を煽るからだそうだ。何というきれいごと。高校に進学すれば、上位者の名前が貼り出されるのにだ。

  大学に進学し、就職する時は、履歴書に「学歴」欄があるではないか。大学によるランキングもあるではないか。中学校だけきれいごとを言っても、中学生は現実を知っている。

  校内順位を隠蔽したら、中学生は自分が全体の中でどの位置にいるか分からない。どこ高校に願書を出して良いのか分からない。そちらの方が残酷ではないか。教師は、いいかげんに目覚めるべき。

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