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15/7/7

俺が詐欺師に騙された話…しかも海外で(前編)

Image by Olia Gozha

俺は実は去年、詐欺師に騙されてしまった。

俺以外にも騙されたヤツがいて、今は裁判をしていると思う。


書いていいのかどうなのかぶっちゃけよく分からないのだが、「自虐ネタは誰も不幸にしない。」という俺の信念に基づいて、エヴリワンに俺の悲しみを分けてやろうと思う。


さて、ときは2013年まで遡る。

年末の話だ。

フィリピンで英会話教室を作るために奔走していた俺は、仕事を終え、帰路につこうとしていた。

俺は一人でマニラ空港にいたのだ。


マニラ空港ではWi-Fiが使えるので、俺はiPhoneを見ていた。

ほとんどがフィリピン人しかない中、向こうから2人組の男がやってくる。

一人は30歳くらい、一人は50歳くらいだった。

30歳くらいの男の人は笑顔で、こっちを見ている。

50歳くらいの口ひげの男はあきらかに普通じゃないロッカーのような雰囲気だ。

オーラが半端ない。

なんだ?


30歳くらいの男の人が俺を指差し、自分を指差す。

なになに??

服が同じだと言っているようだ。


あっ。

武装戦線!


俺はクローズの武装戦線の長袖のTシャツを着ていた。

30歳くらいのその人は、同じく武装戦線の服を着ている。

こんなところで、武装戦線のファンに出会えるとは…


「武装好きなんですか?」

30歳くらいの人(以降Aさんとする)は、俺に聞いて来た。

「はい。」

俺も相当クローズ好きなので、クローズ論破しようと楽しみだった。

「僕、河内鉄生の葬式にも行って来たんですよ。」

えっ?

なんですと?

今、何をおっしゃいましたか???

河内鉄生は確かに死にましたが、それはあーた…マンガの中の話じゃああーりませんか??

あーた。

マンガの中の主人公が死んでリアルに葬式があったんですか???

いろいろ聞いてわかったのだが、Aさんは最高レベルのクローズファンだった。

俺は、Aさんの足元にも及ばない、クローズのミジンコファンであることが判明した。


しかし…武装戦線を好きなヤツに悪いヤツはいない。

武装は義を重んじる熱きメンバーなのだ。


ちなみにAさんに聞いてみた。

「どこに行かれてたんですか?」

「マニラです。」

「どこのホテルに泊まってました?」

「ペニンシュラに…」

俺は当時いつもTuneホテルに泊まっていた。

ペニンシュラホテルはTuneホテルの8倍くらいの宿泊代だ。

おお、リッチー。


そしてその横の50代と思われるひげのオーラのすごい人が話しかけて来た。

君さあ、何して来たの?

おお、ダンディー❤

しかも甘い声。

しかも丁寧。

とにかくオーラがすごい。

雰囲気が尋常じゃないんだよ。

その隣のカッコいい50代の人が…


って、こいつが詐欺師クソ野郎なのだが…


よし、こいつは次から詐欺師と書こう。

その詐欺師が、善良な市民の俺に話しかけてきやがった。

甘い声で…

「どんなことしてるの?」

「あっ、塾の先生です。」

「その格好で?すごいねー。」(すごいのは知ってます。)←心の声

「なんで塾の先生がフィリピンにいるの?」

「いや、あの、英会話教室が作りたくて…」

で、うんたらかんたら説明が終わって、詐欺師が…

「俺たちはさあ、デベロッパーとつながっててさあ…」

「デベロッパー?」

「君、センチュリーって会社知ってる?フィリピンで一番大きいデベロッパーなんだけど、トランプタワーとか造ったりしている。な今度、パリスヒルトンとかもくるんだけどね。あの会社は世界的な会社だけど、あれって俺のブラザーがやってるんだよ。で、俺はそいつからアジアで商売する権利を全部譲ってもらってるから。それがらみの用件で今回はフィリピンに来たわけよ。」

「何の仕事してるんですか?」

「俺?俺の本業は香港で両替商やってる。」

「香港の○○って場所分かる?」

「いえ、知りません。」

「そこに交差点があって、それが香港で一番大きい交差点なんだけど、まあ、日本で言えば渋谷のスクランブル交差点ね。そこの角で両替商をやってるんだよ。金はいいぜ。いくら持ってても腐らないから。」


マジで?

これはすごい人に会ったもんだと思った。

知らないことばっかりだから、勉強になるなって思ったわけよ。


俺はそのとき台湾経由で日本に帰ることにしてて、詐欺師は当時はなぜか台湾に住んでいて、台湾に戻るところだった。

話があまりにおもしろかったので、台湾行きの飛行機の中では詐欺師の隣に座っていろいろ教えてもらったわけ。


そしたら、詐欺師が俺にこう言って来たわけよ。

「台湾社会は中国の影響をかなり受けていて、コネの社会なんだよ。だから、強い人を知っていたら、不可能なことが可能になる。俺は今日は、台湾の社会を動かすほどの人物に会いに行くんだけど、一緒に行く?」

「社会を動かすってどういうことですか?」

「その人が話せば、ほとんどの人は無視できないくらいの大物だよ。例えば、台湾にもヤマダ電機がいっぱいあるんだけど、その人が誘致して来たんだぜ。今は表に出ないようにヤマダ電機台湾の副社長の肩書きも持ってる。こういう実力者ってのは社長にはならないんだよなあ。」


「えー?」

「俺の子供もその人に頼んで、台湾の人しか絶対に入れない学校に裏口入学させてもらったし。」


…書きながらなんか思い出して腹が立って来たな…

「どう?君のことも紹介してあげようか?この人と知り合いになってたら、台湾でなんかやるのに一発だから。故宮博物館行ったことある?」

「はい、ありますけど。」

「この人にお願いしたら、館長自らが案内してくれるようになるよ。空港まで国賓級のお迎えが来てくれることもあるしね。」

マジで?

マジであの故宮博物館を館長が??


すげえじゃん。それ。

会ってみたいわー。そんなすごい人。


「じゃあ、僕台湾で降ります。」


日本に帰国することをやめて、台湾でその人たちと降りることにした。

そして、いよいよその大物に会うのである…


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