「かっちゃん、私、とうとう結婚だよ!」
たった3年、でも大親友になった彼女と僕のストーリー
はじめまして!心のコトを仕事にしています、西勝ユズルと申します。
このストーリーは、僕がうつを治した直後に、大学院生の理系女子=リケジョと出会い、未熟だった自分が二人三脚で、俯きがちな彼女の人生を応援し、内面から行動の変化を一緒にチャレンジしたストーリーです。
いわゆる“彼女”じゃないけど、誰よりもその人のコトを知って向き合ってきた3年間。僕は本当に彼女から沢山のことを学びました。
悩める20代社会人の、同世代の仲間にもこのストーリーを伝えたいのですが、
それだけでなく、有名私立高校から有名大学に行きながらも、悩み抜いた彼女の姿は、悩める20代のお父さんやお母さんに対しても、社会問題の1つとして読んで欲しいと思っています。
また、仕事に対して悩んでいる若手社員に、頭を悩ませている先輩社員や経営者の方も読んでくだされば幸いです。
もちろん、誰にも読みやすくしていますので、続きを読んでくだされば幸いです。
※ 写真は「リケジョの彼女」ではありません。あしからず。
彼女は22歳、大学院生。ボクは「うつ明け」の24歳。社会人2年目の秋だった。
僕「うっわー、もう19時だよ。こっから1時間かかるよ。どーしよ、これ。」
社会人1年目に「うつ」を発症し、様々な出会いによって奇跡的に回復。うつを何とか治して、転職した2つめの職場は、実家から目と鼻の先にあった。
しばらく実家に通いながら、リハビリ程度に、ゆっくり、、ね。と思っていたところ。ピコーンとメッセージが。
先輩A「ねぇねぇカツー、面白そうなのあるの!」
僕「なんすか!」
先輩A「書家の人が講演するイベント。面白そうじゃない?」
そう、僕はちょっとマイナーな趣味を持っていて、書道展とか行くのが好きなんだ。
その方は結構有名な書家だった。大学以来、そんなに行っていなかった外のイベント。
なんとなーく、そのときは行こうと思った。
しかし。やはり会社員というのは「ZANGYO★」がつきものであって、開始時間を大幅に過ぎた19時に仕事が終わった、というわけだ。
実家に帰るやいなや、恐る恐る再び自動車の鍵を持ち外へ行こうとする僕。
母さん「あんた、こんな夜遅くどこ行くのよ?」
僕「ですよねー。。行きたいイベントがありまして…」
母さん「もう、動き回らないといられない性格なのね。分かった、気をつけて行くのよ。ご飯はいいの?」
僕「はい、作ってくれたメシは明日食べます!あざっす!」
うつになって寝込んで、何とか起き上がって、また進もうとする息子を見てれば、誰だって心配するだろうに。
あんな状態があって4ヶ月後の話だ。母さんの度量のデカさには、本当に助けられる、、、
車を走らせる。普通は、時間が過ぎてしまったイベントに行っても、そんなに意味はないだろう。
でも、何故だろう。疲れた身体に鞭を打っても、「今日は行かなければならない」と、思ったもんだから不思議だ。
地元の駅をまたぎ、、途中のコンビニでパンをほおばる。そしてようやく、目的地へ到着。
開始から、もう1時間半も過ぎていた。
※ 会場はこんな感じ。これも架空です。大学生主催のイベントらしく、若者だらけでしたよ。
たった3秒の会釈で終わる初めての出会い。
先輩A「あーカツー!いたいた。講演終わっちゃったよ〜。まー交流会あるし、良かったら色々話聞けたらいいね!」
僕「いやー、すんませんでした。汗そうですね。こーゆーの、久しぶりだし。色々話してみます。」
そっからはパイプ椅子を全部各自はけさせて、名刺交換会のスタート。
もみくちゃにされて、学生さんやら社会人の方へ元気に挨拶開始。
書家、関係ないじゃん。そう、関係なくなってしまったのだ。
でも、まーこれもある意味、良い刺激にはなるだろうと思って交流を楽しむことを決めた。
正直、久しぶりの大量発生している人の中にいる僕。結構不安感とかで、きつい。
持ち前の「必殺★人に合わせる術」にて切り抜けるものの、人に合わせすぎた結果、自分がわからなくなったのが原因でうつになったもんで、あんまり出したくない必殺技なのだけど・・・やった。
と、そんな全員が主役の握手会をやっているような状況の中で、おや?と思った人に会った。
ご縁を大切に。
どこかで見たことのある教育会社の学生用名刺の裏に書かれている大学名と名前。
大学は国立の有名大学の院生。理系でDNAの研究をしている。
小さくて、ちょこちょこしている。決して大きくない、そして派手でもない赤縁フレームのメガネに、不安そうな笑顔が覗いている。
それが、彼女との初対面だった。
しかし文字は、ちょっと丸文字で控えめに。
「ご縁を大切に」
という文字があった。
僕「素敵な言葉だね。よろしくね♫」
リケジョ彼女「は・・はい・・よろしくお願いします(ニコリ)」
たった一瞬だけの挨拶。でもそれから僕はチラッと彼女を見たら、他の人に対しても愛想笑いをしながらも、一生懸命、でも控えめに話をしていた。
何か力強く想いを秘めている感じがした。
先輩A「カツーどうだったー?楽しかったでしょ!」
僕「いや〜久しぶりにこういうの、良かったです。」
そっから自宅に帰って、帰りは0時過ぎ。食卓にはご飯と母さんのメモ書き。
母さん「(もし、お腹が空いていたら食べなさいね)」
うん、母さん、腹減った。さすがです。
ガツガツと食べて、風呂に入ったらメッセージが来ていた。これ、リアルに来たメッセージ。
リケジョ彼女「こんばんは!今日はお疲れ様でした^^◎◎会で少しお話させていただいた、◎◎大学院修士一年のRです♪名刺の裏に書いてあるコンセプトがすてきですね。この御縁に感謝です。これからもどうぞよろしくお願いします。」
僕「こんばんわ、今日はお疲れ様でした!なんとなーく直感なのですが、引き出しにしまった大切な想いを伝えていこう、交流していこう!という意志を感じ、実はとても興味深かったんです♪もっとお話したかったです!これからもどうぞよろしくお願いします。」
時刻は1時14分。次の日も仕事だというのに、久しぶりの深夜に寝るパターンだ。明日起きられんのかな・・
起きたら仕事に遅刻しそうで、焦った。
会ったのに、話さない。
しばらく経って、また別のイベントに僕が今度は誘って、ひょんなきっかけから二人でお茶をすることになった。
冬も近づく、11月のよく晴れた日だったと思う。
渋谷のとあるカフェで、色々話そう!という事でお茶をした。
僕「大学生活は楽しくやってるのー?」
リケジョ彼女「はい〜まぁ・・色々と・・」
僕「そ、そうなんだ♫」
リケジョ彼女「(・・・・)」
は、弾まない。
ソフトテニスのボールの空気が抜けたくらい弾まない。そりゃあラリーもできねーわ、的な。
誰とでもそうみたいで、自分の話をせずに人の話をうんうんと聞いちゃうんだそうだ。
うつむきがちな彼女は、愛想笑いをしながらも、一生懸命、僕の話を聞こうとしていた。
ちなみに当時の僕といえば、うつを回復させて、心のことを仕事に、独立をする前。
心のことを必死に勉強していた時期だった。もちろん有料でセッションなど出来る能力だってなかった。
でも、どうしてだろうか。直感とは怖いものだ。
そんなに弾まない会話に付き合わなくてもいいじゃないの?と思うかもしれない。
僕は出来る限り、たくさん質問をして、頑張ってたくさん彼女と話をしてみた。似ているものを感じたからだ。
僕もそうだったのだが、人は新しいことに「不安」になる。
挑戦すること、新しく人に会うこと。そういったことには不安になる生き物だ。
今日、彼女は、わざわざ僕と会ってくれた。
年上の社会人。少し緊張するところもあるよな〜と思って、出来る限り柔らかい雰囲気と、いっぱいの笑顔で「うんうん」と頷いた。
彼女だけに喋らせるのは申し訳ないと思って、自分も生い立ちを話したり、自分が今、感じていることなどを話していった。
すると彼女も生い立ちを話してくれて、緊張は徐々にほぐれていった。
こんなに人の話を集中して聞いたことがあっただろうか?
でも、逆に頭がすっきりした。それに自分もびっくりした。
リケジョ彼女「今日はありがとうございました♫こんなにたくさん話すのは初めてで、嬉しかったです(^^)」
「(あれでたくさん話したのか・・)」
正直自分としては、彼女の話の量は、それはそれは、物足りなかったくらいだった。
僕「本当に今まで、自分のことを話すことが少なかったんだなー。」
時折、生い立ちや彼女自身が本当に思っている事や感じていることを伝える時に、涙目になっていたのが気になった。
しかしそれは、こういった(自分の話をする)ことをしてこなかったから、自然に出てきてしまうんだと言っていた。
さて。彼女も僕と同様、自分も人も、内面を変えていきながら、社会も変えていきたいという想いを持っていて、そういう所や生い立ちが似ているという所で気が合った。
なんでも話せる仲でもありながら、近所のおじさんと姪っ子みたいな。なんとも不思議な関係が出来上がった。
僕も、今はまだ彼女の助けになれるほど、力にはなれないけれども、彼女が本当にやりたいことが叶っていく一助になれたらいいな〜なんてくらい思っていた。
やりたいことが、分からない。
さて。彼女の大学院は誰もが知っている理系の大学院。
別に選り好みしなければ大手の優秀な企業にだって研究職で入れるだろうところ。
僕らは、2ヶ月に1回くらいのペースで、お互い気が向いた時や、ちょっと疲れた時とかに会って話をするような、まぁゆるめの仲だった。
そんな中、だんだんと自分のことを話し出した彼女は、これから始まっていく就活・・というよりは、自分の人生に対することを語り出してくれた。
リケジョ彼女「やりたいことなんて、考える暇なかったですよ。勉強に明け暮れてましたから・・必死でした。」
僕「そっか。。。」
聞けば、彼女は小学校から、誰もが知っている学習塾に通い、中学受験。
御三家の次の四天王と言われるところに入り、そのまま勉強に明け暮れて、そのまま高校進学をする。
リケジョ彼女「中学受験の時は、親に「中学に行ったら遊べるからね」と言われたんですけどね(笑)」
僕「うんうん。」
リケジョ彼女「でも、入学式の時に山のように積み上げられた参考書と教科書を見て、もう気が萎えました。」
時々笑いながら、淡々と話す彼女。
ちなみに僕は私立大学へのエスカレーターの高校に行って、そのまんま大学に行ったような、我ながら「苦労の知らない」「おいしい」ヤツだったと思っている。
まー、だからこそ、社会人になってうつになり、自分を深く振り返る経験も作れたし、今に至ったとは思うのだが。
話を元に戻そう。彼女はだからこそ、「必死」だったのだと言う。
勉強に対して、自分がその成績という枠組みの中に置いていかれるのが、怖かったという。
僕「僕も気持ち、Rちゃんほどじゃないけど、わかるよ。「やりたいこと」と「認められたいこと」が、イコールになっちゃっていたんだ。」
リケジョ彼女「あぁ、、はい。私もそんな感じです。で、自分のやりたいことが分からなくて、結局大学院に行ったんです。ある意味逃げですよね(笑)」
そう。そうだった。自分のやりたいことの前に、自分が話したいこと、伝えたいことが何なのか分からなかった。
良し悪しの話ではなくて、学校教育機関というのは、「クラス」があるのだから、その規律を乱す人が悪という風にされやすい風潮にある。
僕はそういった意味では優等生で、風紀委員なんかやっていた。
しかし、高校に行けば私服の高校になり、自由と責任の間に生きているようなティーンを過ごした。正直、あんまり馴染めなかった。
「頭がいい」「出来る子」というレッテルを貼られた中で過ごしていたわけだから、それに自分が当てはまろうと必死だった。
そう、単純に認められたかったのだ。
どうしてもそれを、世間は「プライドの塊」「頭が堅い」「バカになれない」などの言葉で片付けてしまう。
しかし、それが行き過ぎて、会社で倒れてしまった僕は、自分自身の理解と、努力でその殻を破るしかなかったのだ。
なんてことを、話したんだと思う。
リケジョ彼女「え、じゃあどうやって解決していったんですか?今は、やりたいことに向かってる感じがしますけど。」
僕「う・・・自分では何となく分かるんだけど・・」
そうだよね、さすがリケジョ。そしてキラリと光るメガネ。次のパスをくれ!という吹き出しが見えるよ。。
理解の次は伝達だ。人に伝わることでようやく共感が生まれる。そのためには設計図たるものを書く必要があった。
でも。こういうことは、大変見えないことである。いやーどうするこれ?と思って、その日は日が暮れてきたので帰った。
あれ?俺、彼女に、育ててもらってね?
循環と交流とゼロ
かくして僕は、自分がうつになってから、社会に復帰して自分のやりたいことを見つけていったプロセスを考えることになった。
僕「たぶんこれって、ステップだとこんなだよな〜」
よくわからない。でも、おもむろに紙に書き出してみた。
<Rちゃんへ、やりたいことが分かるために>
1. なんでも話せる状態を作る
2. 条件抜きに、やりたいことをイメージする
3. 実際行動すると決めた時に、躊躇するポイントを書く(お金・社会の目・家族の目など)
4. そのポイントはどうすればなくせるか?を考える。
5. 実際に行動してみる+1〜4を繰り返す。
かなり大雑把だけど、こんな感じで書いた。結局彼女には見せなかった。
しかし、この中で何よりも難しいのは「1.なんでも話せる状態を作る」ということだ。
例えば、F1で走るレース用の車でも、氷上やプールの上では早く走ることもできず、事故になってしまう。
どれだけ性能が良いものでも、環境が整ってなければ、意味をなさないのだ。
僕が彼女にとってするべき一歩は、自分のことを置いて、彼女の判断基準を引き出しながら、それをありのままに受け入れるようなコミュニケーションだった。
しかし、アウトプットが大好きな、おっさんみたいな僕。しかも彼女はまさに聞き分けの良い娘のように、話を聞くのが上手。
どっちが聞き役やねん。と我ながら突っ込むことも多々あったが、そんな風にして自分がゼロになって、循環と交流をたくさんした。
やってみると本当に楽しいもので、一番初めに彼女の話を聞いた時のような、すっきり感があったし、彼女もいろいろと話せたみたいで楽しかったようだ。
まずは語ってみる。そして気付いていく。
24歳になった僕は、「教育を語る会」なんていう、何ともお堅い名前の会を主催していた。
僕ともう一人、当時教育系の財団法人に勤めている友人がいて「やったろうぜ!」的に作った軽いノリのイベントだ。
僕らの中では伝説になってる。あくまで僕らの中だ。武勇伝は誰にでもあるだろう。そんな感じだ。
さて。何をしたかというと、とにかくアウトプットで自己表現をした。けれども、最もその中で楽しかったのが・・
10分間の自己紹介
だったのだ。教育を語るということで、国内外問わず、家庭教育・学校教育・社内教育という風に誰もが教育を受けている。
自分の生い立ちを語りながら、まずはアイスブレイクをしましょう。という趣旨だ。
しかし、ある会でハプニングが起きた。
なんと、「自己紹介だけ」で全てが終わってしまったのだ。やべーな〜と思っていたものの。
参加者の皆「これはこれで、楽しかったね。」
およ。意外な反応。一通り話した後も、みんなが一人一人の話を聞いて、大変満足した結果だった。
誰もがストーリーを持っている。なんてパクってしまったが、本当に一人一人の「ストーリー」を聞けた日だった。
さて、リケジョの彼女はというと・・・
リケジョ彼女「やりたいことをやらせてもらえなかったです。だから、やりたいことを皆ができるように、私はやりたいことを応援できる人として独立したい。」
堂々としている彼女。。それに自分はビックリした。彼女自身も「あんな話をする予定じゃなかったのに・・」と彼女自身にビックリしていたようだ。
親でもないのに、彼女の成長っぷりに本当にビックリしたし、感動した。なんか保護者会にくる、親の気持ちがわかる気がした。
そして彼女は、大学院の在学中にとある教育ベンチャー企業でインターンをすることとなった。
長くなりそうなので、ここで一旦切ろうと思う。そしてここからが、彼女の本当にやりたいことに対する悩みがハッキリしてきた。