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14/8/12

天国へ旅立っていった馬鹿な友人へ3

Image by Olia Gozha

 みんな集まれ~なぜなに説法はじまるよー



前回のあらすじ


友人の死を知り家に飛び込む俺

変わり果てた姿と変わってない霊魂

怒りを向ける大チョンボをぶちかましたせいで

友の声を拾うことになった俺

わーった、B…お前の思いを伝えてやる

俺は家人をB家の居間へと招いた


あらすじはここまで



案の定友人Aが止めに来た

友人A「お前なんで説法なんだよお前その道に詳しいの?」

「まったく知らん」

友人A「無理がなくね?友人死んだから素人だけど説法しますっておかしくね?大丈夫かよ」

「俺もそう思うけど、そうじゃないとちゃんとBの思いを受け取ってもらえん。やるしかあるまい。」


緊張が漂う中

説法を始める俺

それぞれの思惑が複雑に絡み合う中

Bの残したラストメッセージを伝える為

嘘と虚飾だらけの出鱈目説法が今幕を開けた。



まず最初に話すのは

死者の声を聞く為に必要な心構えからだ。

そもそも死者の声なんか聞こえない

死んでる人が話すわけがない

普通ならそれは正しい

では宗教は何の為にあるのか?

宗教の考え方の大半は

死者の声なき声に耳を傾けましょう

人間として清く生きましょう

みたいな中途半端っぷり

投げっぱなしジャーマンのような放置プレイだ

ここを話さないと声なき声を聞く俺の話も聞いてもらえない。

俺の答えは至極単純で

弔っているつもりで弔って報われた気分になる自分の為にやるものだ。

と本来の前提条件をぶっ壊しにかかる。

酷い話が

0能力者(れいのうりょくしゃ)の騙りで最も重要なのは

死者の為の宗教で「死者を愚弄すんな」理論を

生者の為の主教で「俺の自己解釈でよくね」理論にすり替えてしまえばいい。

微能力者の俺も胡散臭さは変わらない

だからそれを脱臭する。


多くの方の勘違いは

宗教は死者の為のものと言う認識

否宗教は生きている人の為のものなのです。

Bの親父さんが噛み付いてきた

むしろここは想定の範囲内

無理矢理だろうが信じさせにかかる。


B親父「ほんとにそうですかねぇ?」

「これ嘘みたいなほんとの話なんですよ。」

B親父「あいつのために葬式を出したはずが、俺の為だって言われても」

「実は親父さんBはキリスト教に憧れてんの知ってましたか?」

B親父「は?キリスト教?」

「ええ、あいつ興味あったらしく、クリスマスミサに何度か誘われてるんですよ。ご存じなかったでしょ?」

B親父「そうだったのか…だけどそれがどう関係が」

「親父さんの理論なら、死者の為あいつをキリスト教の教えに乗っ取って送り出さないといけないんすよ。仏さんの序列に加えるんじゃなく神の子として天に還さなきゃいけないんです。」

B親父「家は、○○教だから…」

「ええ、だから貴方が、納得してもっともあいつを手厚く葬れる○○教の教えでOKなんです。親父さんもそのほうが、心が楽でしょ?」


口から出任せのような話だが強引に行く

嘘はついてない。

ただ真実が嘘に聞こえてしまう状況が問題なのだ

幸いB親父は理論派のインテリ脳だ

理論がたてば超理論でも納得できる。

ただし矛盾がないようにしなきゃまずい

この一点だけは貫かないとまずい

さらにダメ押し

○○教が完璧?ありえない訳です。

経典は神から頂いたもの

いいでしょう何千年前からもらったものか知りませんが

ただし

翻訳して読めるようにした時点で著作に主観が入るわけです。

古田織部の無作為の作為って話はご存知ですか?

お師匠さんの千利休はわざとらしい者を省きましょうっていって

簡素なものを好んだんですね

ところがこの人師匠の後追っかけて考えたら

無作為であろうとする自分って作為的

師匠の千利休さえ無作為であろうと言う作為にとらわれたと説いてます。

(あいつの本棚の本の中に親父さんが薦めた本の一角がありその中に古田織部の伝記もあった)

(手垢がそれなりについているからある程度は読み込んでいるはず)

宗教なんてただの作為の塊

あるものは人を幸せに

あるものは自分の幸せの為だけに他人を陥れる為に

作られたものなんです

だから宗教は生きている人のためのものでいいですし

どう解釈しようが貴方の自由なんです。


どんな超理論だよって突っ込みも

Bの死で正確な判断が出来ない今なら通用する。

骨子の破錠さえなければ行ける

ここは意地でも納得させる!!!


しかしここからが予想外だった

いや食いつきがよすぎた

Bおかんの登場である


Bおかん「あの子はなんていってるんでしょうか?」

「(最悪なタイミングで…)まぁそれは後でお話します。」

ここではまだ話せない

今度は俺の立ち位置をはっきりさせなければ

(仕掛けを早めるか…)

今度は俺自体のことを話す


俺自身の能力は微弱であると言うこと

俺が手に入れたメッセージは限られ尚且つ正しいものではない可能性もあること

あくまで死者のメッセージを感じ取るのは自分でそれが自分の最適解だという事

考えの一助としてくださいと言うこと


各人の反応を見ながら


さぁ本題だ

今回の命の答え…

ラストメッセージを紡ぐ


聞きたかった本題だ


今回の死の動機について

死んだのは今の現実に絶望したから

家族のお荷物になっていると感じていたから

母親の後悔の出来事は関係ない。

(当日の朝、母親はBの話を遮って仕事に出た)

あれがなくても死んでいた。(当日行うかは別として)

まさか死んだらこうなるとは思っていなかった。

家族としてやり直しをしたい

時間はかかるかもしれないけれど

もう一度家族になりたいと許しを請うていることを伝える。


うなずく家人

了承は得られた


それぞれの反応を見ながら少しずつ言葉を紡ぐ

B…これでいいんだよな

そのまま伝えるぞ

いよいよラストメッセージ…


目を伏せ涙を見せない

これはただ意地だった

搾り出すように声を振り絞った

声を震わせないようにするのが精一杯

俺が泣き崩れちゃ話にならない…この一心だった。

俺が聞き取れたのは一言だけ…

「ありがとう・・・幸せでした。」


(お前…生きてお前の口から伝えろよ馬鹿野郎)


母親は泣き崩れ

父親は天を仰ぎ

妹も母親に寄り添ってすすり泣く



これでよかったのか…B?

いや…まだだよな

俺にはまだやらなきゃいけないことがある


Bは密葬だった

葬儀の予定は荼毘に付したため急がないとのこと

俺にはまだ出来ることがある

Bのお骨があるうちに

やっておきたいことがあったのだ

俺は葬儀を伸ばして欲しいと無茶なお願いをし

車を走らせた

恩師の元へ助けを請う為に


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