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13/3/1

ゴールデンレトリバーに顔面を噛まれて九死に一生な話

Image by Olia Gozha

小学校4年生ごろの話です。

学校から私の家に帰るルートは数通りあり、毎日友人と別々の道で帰って家で合流し、どの道が一番早く帰れるかを計測しておりました。

その日も二手に分かれて帰宅の途につきました。しかし小学生という生き物は勝負事があるとどうしても勝ちたくなってしまうので、「どの道が最適か計測」という目的など忘れてただの全力ダッシュ帰宅になってしまうのです。(もちろん家に着く直前に息を整え、「え?歩いてきたよ?」という体裁を整えます)

全力ダッシュ中、私の視界の端に金色の大きい物が映りました。当時私の中では「ネバーエンディングストーリー」がブームになっており「ファルコン!?」と思った瞬間、衝撃を感じ、私は地面に転がっていました。

なにが起こったんだ?

犬だ。ゴールデンレトリバーだ。

倒れた私の傍らでゴールデンレトリバーが私の黄色い学生帽とじゃれていました。

「ああ、こいつに飛びつかれて倒されたんだな。」

私は一瞬で状況を理解し、「この犬はかなり元気で猛烈に遊びたがっているので走って逃げるのは得策ではない。壁際にしゃがんで張り付いて気配を消そう。」と、小学生女子にしては異常に冷静な判断を下したのです。

それもそのはず、当時私の家ではラブラドールレトリバーなどの大型犬を含む3匹の犬を飼っており、大型犬の扱いをとても良く心得ていたのです。(ちなみに現在は8匹に増えています)

しかしこのとき私はまったく気づいていなかったのです…すでに顔面をガッツリ噛まれて自分がかなり出血しているということに…

なぜか全く痛みを感じず、(たぶん緊張で痛みを感じなくなっていた…のか?)ちょうど赤っぽいコートを着ていたため滴る血が視認できませんでした。

10分ほど壁に張り付き気配を消していたところ、家から飼い主らしきオジサンが出て来ました。そして即座に犬を抑えてくれ、私が立ち上がると…

オジサン「うわぁっぁぁあああああ!!!」

わたし「( ゚д゚ ) !?」

そうです、オジサンは顔面からダラダラ血を流す私を見て驚いたのです。私は自分が血を出していることに気づいてないので「なんだ?オジサン驚きすぎだろ…まさか不審者か…?」と訝しんでおりました。

オジサン「だ、大丈夫!?家どこ!?」

わたし「…近くです。」(…!?家を聞いてきた!!?怪しい人だ!!)

※お母さんのしつけがとてもきちんとしていたので、「知らない人にはついていかない」という強烈なマインドセットがありました。

オジサン「家まで送るから!」

わたし「いいです!!いいです!!!!」

オジサン「いや、あぶないよ、ついていくよ!」

わたし「いいです!!!!!」(あぶないのはおじさんだよ!!!)

オジサン「でも…」

わたし「え…じゃあ付いてくるだけなら…」

「オジサンがついてくる」なら「オジサンについていく」ではないので理論上は問題ないはず…!!という屁理屈を思いつき、オジサンを連れて帰ることにしました。

今思えばこのオジサンはとても常識的な素晴らしい方です。申し訳ないことをしました…

そしてオジサンを家に連れて帰り…

「おかあさーん!!お客さんだよー!!(お客さんと表現することで私が連れてきたことはバレない方向で頼む…!!)」

お母さん「うわぁっぁぁあああああ!!!」

わたし「( ゚д゚ ) !?」

そこでようやく鏡に映った自分を見て、血が出ていることに気がついたのです…。

血が出ていると気づいたらもう猛烈に痛く感じてギャン泣き、即座に病院に搬送されました。

そして犬に噛まれた場合は、包丁など切った場合と違って犬の唾液により化膿する確率が跳ね上がるとのことで、消毒を丹念にされて(これが超痛い)数針縫う手術をされました。

医者「これね、あと1cmずれてたら頸動脈切れて死んでたよ」

とのことでした。間抜けな九死に一生エピソードです。

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Image by Jukka Aalho

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