top of page

14/6/17

豹変

Image by Olia Gozha

80代のおばあちゃん

手術目的で施設からうちの病院にやってきました。


この方を一言でいうと 


凶・暴


入院の時、車椅子に乗ったおばあちゃんに挨拶をするためスタッフが近づくと

「なんだよ!?」

とけん制をしてきました。


この時点でうちのスタッフはある理解をします。


この方は危ないな・・・ と。



うるせーよコノヤロー

なにすんだよコノヤロー

こっちくんなコノヤロー


この辺の言葉は一通り使われ


着替えや車椅子への移乗にスタッフが介入しようものなら

ひっかく、つねる、なぐる、ける

この辺の暴力は一通りつかわれていました。


これまた力がめちゃ強く、何をするにせよスタッフは3人いないとどうにもならない状態でした。


ちなみに3人のスタッフの役割は


1、介助する人

2、両手を握手する人

3、両足を握手(握足?)する人


もちろん愛護的にです、アイゴテキニ。


このおばあちゃんが手術をしたら、術後どうなるんだろうと誰もが戦々恐々でした。

点滴やら管やら速攻で引っこ抜きそうだからです。




そして迎えた手術当日。

誰もが固唾を呑んでおばぁちゃんを手術室へ見送りました。


そして手術後・・・



無動でした。



おばあちゃんは無動だったのです。


目は開いてるし、会話も出来る

ただ、無動だったのです。


その動かなさっぷりはスタッフが心配するほどで

「先生、なんの手術したの?」

とみんなで医師に思わず聞いてしまいました。


まぁ当日は麻酔が効いてるからと思っていたのですが、

その後も暴れることなく無事に経過していきました。


ベッドの上でごろごろしているおばあちゃんのそばに行くと

「なんだよ?」

と言ってきますが、手は出してこない。



体を拭いた後に、どーいたしましてと恩着せがましく言ってみれば

「ありがとう」

と返事をしてくれる。


なんとも癒しのおばあちゃんに変わったのです。

もちろん介助するスタッフは、握手する必要がなくなったため一名へと減りました。


それは本人にとって良かったことなのかわかりませんが、スタッフの笑顔は間違いなく増えました。

迎えた退院の日、お迎えに来た施設のスタッフが僕ら以上に驚いていたことは言うまでもありません。

←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page