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14/6/4

「カンボジアで出会った、2人の少女の物語」

Image by Olia Gozha

最近海外に行けていないので、少し思い出話を書いてみます・・

カンボジアのシェムリアップ。

ここは、アンコールワットをはじめ世界遺産の遺跡を多く抱える街。

シェムリアップ自体は小さな村だが、

アンコールワットへの入り口として、世界中から旅行者が集まる。

夜遅くまで開いている屋台や、商店がひしめき合う繁華街が広がっている。


2012年の1月、僕はカンボジアへ一人旅に出掛けた。

そして、カンボジアでの滞在にも慣れてきた5日目のこと。

僕は、ランチをとろうと、旅行者向けのレストランに入った。

気持ちの良い晴れの日。

テラス席に腰掛け、ビール片手にマルゲリータを頬張る。

美味い。

至福の時間を過ごしていると、僕の目に興味深い光景が飛び込んできた。

隣の席に、少し裕福そうな白人の家族が座っていた。

歳は35歳くらいのご夫婦。

言語からして、ドイツ人だろうか。

そして、7歳くらいの女の子が一人。

家族3人。とても幸せそうに、食事を楽しんでいた。

家族で海外旅行をするくらいだから、そこそこ裕福な家庭なのだろう。


そしてそこに、物売りの現地の少女がやって来た。

歳は白人の女の子と同じくらい。

服はボロボロ、足元は裸足。

手には手作りのミサンガのようなものを持ち、

白人の夫婦に必死で売り込んでいる。

あまり相手にされていないが、彼女はなかなか諦めない。

片言の英語を使って、7歳の少女が必死でセールスをかけている。


ジュースをすすりながら、それを優雅に眺めている白人の少女。

同じくらいの年齢なのに、生まれた国、場所の違いで、

こんなにも格差があるのか・・

と、改めて認識させられた出来事だった。


しばらく僕はテラスに座ったまま、目の前で起こった出来事について考えていた。


「カンボジアの少女は、なんて可哀想なんだろう。

あんな小さい時から、辛い思いをして、セールスをしなきゃいけないなんて・・」


はじめはそんな風に考えていたが、程なくして、

その考えは間違っているのではないかと思い始めた。


この2人の女の子は、20年後どうなっているだろうか?


かたや、裕福な家庭で甘やかされて育てられた子。

かたや、7歳から外国人相手に英語を駆使して、

セールスをかけることを強いられた子。


そのスキルや、精神面の強さ、成長度合いは

比べものにならないのではないだろうか?


確かに、新興国では先進国と比べて選択肢は少ないかもしれない。

教育水準ももちろん低い。

しかしそれを除けば、人間的な成長度合いは

苦労をしてきたカンボジアの少女のほうが、遥かに高い。


カンボジアには、その姿勢を学ぶべき少年・少女たちがたくさんいる。


・彼らは母国語以外に、英語、時に日本語や韓国語などの

日常会話を使いこなす。

・彼らは時に旅行者の国のジョークや、気の効いたセールストークを使い、

初対面の人の心を一瞬で掴むスキルを持つ。

・彼らは国籍問わず、知らない人へとガンガン話しかける

メンタルの強さを持つ。

・彼らは断られても、買って貰うまで決して諦めない。

バスに乗り込みその場を去るまで、10分だろうが、20分だろうが、ずーっとついて来る。

・彼らは実践の中から学び、うまくいかなかったところは改善し、

どんどんコミュニケーションスキルを向上させていく。


先進国では、このようなことを「7歳」から経験している人間は皆無だ。

このことが分かった時、彼女は決して可哀想な子ではないと感じた。

きっと彼女には明るい未来が待っているはず。


そして、こんな少年・少女がたくさんいる新興国は、

確実に今後世界の中心になる日が来る。

そう確信した。 

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