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13/2/28

初めて通った声優養成所/老舗のスパルタ教育・その2(全5回)

Image by Olia Gozha

勝田声優学院は、1年目/基礎科・2年目/研究科というふうに分かれている。

基礎科の授業は勝田学院長が担当するのだが、

その補佐のような形で、元卒業生の若い先生(男性)が、

授業の一部を受け持っていた。

こ の 先 生 が 。

と に か く 厳 し か っ た 。

当時まだ30代前半くらいの若い先生だったのだが、

生徒に対して容赦がなく、本気でぶつかってくるのである。

ダメな者には面と向かって「ダメ」と言う。

例えば滑舌がダメな生徒に。

「何言ってっか全然分かんね ぇよ!」

「とにかく歯列矯正しな。そうしないといくら練習しても意味ねぇから」

※ 表情や容姿がだらしない生徒に。

「お前さぁ、服装なんとかしろよ。まずそのズボンがダメ。あと前髪も! 」

「眉毛が細すぎるんだよ」

デキる者には「その程度か」とケツを叩く。

例えば宿題(外郎売/滑舌)を一日20回

やってます!という生徒に。

「成果出てねぇだろ。ただ口に出してるだけじゃダメなんだよ。」

「ふーん。○○(←先輩の名)は50回やってるってよ?」

(※→容姿などは声優修行に関係ないのでは?と思われる方もいると思うが、「容姿の良さ」というのは現在の声優業界では非常に大事なファクターなのである。)

それから滑舌と同じくらい大事なのが、

標準語(アクセント)の完全習得である。

なので 、地方出身者は皆、普段の会話から標準語を使うように指示される。

授業が終わった後、先生と飲み会に行く。

これはどこの養成所でもよくあることだろう。

だが、この先生と行くと、

飲み会での会話も全て訓練の一部となる。

楽しく会話をしていても、不意にアクセントの違いを指摘されたり、「あ。今「れ」がスベった」等、滑舌のチェックも細かくされる。

まぁ普通に考えればたまったもの ではないが(笑)、

私達は勉強をしに来ているのだ。

この指摘がほしくて飲み会に参加している者もいた。

(↑私)

また、「滑舌練習会」なるものもあった。

基礎科の授業とは別で、有志で集まってどこかの会議室を借り、3時間、ひたすら滑舌練習だけをやりまくるのだ。

ここにもその先生が来てくれていた。

この滑舌練習会はさすがに辛かった。

なにせ、聞き分けられないのだ。

「今「ま」が甘かった。「す」が言えてない。「ら」がスベった」

と先生が指摘するのだが、私の耳ではまったく分からない。

...え、普通に言えてたと思ったけど...

つかマジかよ...ここまでやる???(汗)

その時はそう思った(笑)

が、続けていくと分かるようになるのだ。

耳が鍛えられていく。

そして、最初 は滑舌がボロボロだった生徒も、段々マシになってくる。

それはそうだ。

なんせ毎日のように、舌筋と顔の筋肉を鍛えているわけだから。

「滑舌は、やったらやった分だけ成果が出る。いつまでも言えねぇ奴はただの怠け者だよ」

「ただの怠け者」

↑その先生がしょっちゅう口にしていた言葉だった。

〜続く〜

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