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14/5/20

すっぴんパキスタン 生きる力と勇気がわいてくる、20代女性の視点によるナマのパキスタンをシェアします

Image by Olia Gozha

「パキスタン支援のNPOをやっているお友だちがいるけど、会ってみない?」と友人Mが言った。


Facebookで「顔が似ている」という縁でつながったというお友達だという。なんだかわくわくした。最近ひきこもり気味だし、それを恥じてもいた私は、喜んで会食に向かった。


彼女は、じゅんちゃんといった。想像したよりずっと若くて、小柄で細身だけれど、よく食べてよく笑う、驚くほどのエネルギーの持ち主だった。そして、彼女の語るパキスタンは、私が思っていたパキスタンという国とは全く印象が違った。


じゅんちゃんいわく、パキスタンの方は、本当に親切で、滞在中はたとえるなら、まるでRPGゲームのようだという。たとえばこんなかんじ。


じゅ「これがやりたいな。」

パキスタン人その1「お、じゃあ、この人に会うといいよ」

トコトコトコトコ。

じゅ「これがやりたいな。」

パキスタン人2「それなら、これを持ってここへ行きなさい」

トコトコトコトコ。

パキスタン人3「待っていました。勇者よ。」

アイテムゲット。


パキスタンでは、人々は親切で自主的に動くので、怒らないと物事がすすまないというような事がない。人々は皆気性が穏やかで、他人をむやみにだますこともない。(価値観の違いはあっても)通常リキシャーで異動するけれど、交渉した後ぼったくられることも勿論ない。人々は日本人と同じように人に気を使い、空気を読んで生きている。主張しないと存在できない別の国とは文化が違うのだという。


それまでの私のパキスタンのイメージと言えば、大変恥ずかしながら「イギリス領から独立するときに、ヒンズー教徒地域がインドになり、イスラム教徒地域がパキスタンになった」という程度だった。イスラムの国だから、(この関連付けは明らかに偏見だけれど)頻繁に物騒なテロが起こる国。そうそう、女性の教育を訴えた悲劇の本の主人公マララさんはパキスタンの方だったような・・・?ぐらいの大層貧困なものだった。


実は、私もじゅんちゃんと一緒にパキスタンに行ってみたかった。しかし「普通の日本人」である私の家族を説得することはできなかった。アマゾンで地球の歩き方「パキスタン」を探してみたが、最新年度のものが出版されていない。もう、ずっと、パキスタンは外務省の定める「渡航危険地域」扱いなのだ。


でも20代日本女性のじゅんちゃんは、その危険地域パキスタンに、何度も一人でいき、友達を作って楽しくわくわくして帰ってくる。日本とパキスタンを行ったり来たりしている彼女のパキスタン人の知人には、高級車を乗り回すエリート女性大使館員もいるという。女性に教育を受けさせない国のはずでは・・・?若い女性グループも、ごく普通に町を歩いているという。


彼女が知るパキスタンもまた、国全体の一部であることには変わりないかもしれない。でも私だって30年以上住んでいる日本のすべてがわかるわけじゃない。知らないことも行ったことがない場所もたくさんある。ましてや面積が日本の二倍、人口が1億8000人もいる国のことなんて、簡単にすべてがわかるわけはない。


でも、だからこそ、わたしが聞いた、「報道されているイメージとは違うパキスタン」を伝えたくなった。ニュースというのはネガティブなもののほうが伝わる。人は危険を避け、安全でいたいから。でも、日本にだって、お年寄りや主婦をだますビジネスが流行っているし、薬物をはじめとする恐ろしい犯罪も日々報道される。強盗殺人や横領や、いじめや、自殺もたくさんある。日本は平和で安全だ、といわれるし、そうだとも思うけれど、それでも私は何度も何度もお財布を盗まれている。でも、だからといって、外国で「日本は多種多様な犯罪が横行している国です。」なんて紹介されたら、ちょっと悔しい。

だから、私は私が聞いたパキスタンの姿をそのまま書く。そして、書きながら、読んでくださる方と、素顔のパキスタン体験談を共有することを通して、いろんな視点で、自分の視点で見ることの大切さをかみしめたい。

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