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14/5/20

高校中退したら無茶苦茶になった話 4

Image by Olia Gozha


そのヤクザっぽい男が部屋に入ってきた。

僕は唖然としていた。


男『おう。お前が友希の男か』


『は、はい....』


僕は呆気にとられたまま、

状況が掴めないでいた。


男『美咲悪かったな。急に電話番になったんや』


美咲『うんいいよ。お疲れ様』


男『俺ちょっと兄貴と出かけるからまた電話する』


そう言ってその男は出て行った。


電話番?兄貴?


やっぱりヤクザなのか?.....


僕は友希と美咲に聞いた。


『さっきの人なんなの?』


友希『美咲の彼氏だよ』


『.......そ、そっか。何してる人なの?』


美咲『ヤクザだよ』


そう言った時の美咲の目は、

僕が見たことない美咲の目だった。

目の奥が淀んでいるような、

底なし沼にはまってもなんとか

理性を保とうとしているようなー


『2人とも大丈夫なのかよ』


美咲『心配しないで。友希は大丈夫だから。都合良く使われてるのは私だけ』


都合良く使われている....


僕は深く聞くのをやめた。

聞く気力がなかった。まだ混乱している。


話を変えて疑問が残っていることを聞いた。


『この家はさっきの男が借りてんの?』


美咲『うん。そうだよ』


『.......』


やっぱりかよ....


『ここから逃げないのか?』


友希『逃げれないよ...』


美咲『逃げたら追われる』


僕は言っている意味がわからなかった。

ただやっぱり深く聞く気にならなかった。


中尾から聞いた。3Pの話から、

正直僕は心の整理ができてなかった。

中尾の話を聞いてから考えた。


それでもまだ友希のことが好きなのか?


好きなのかな俺...バカだな...


ただ信用できなくなったな....


それから友希に対しての思考はストップ

していた。

その話を聞かなかったら、

今の現状に対しての友希の状況を

心配していたと思う。


ただ僕は家出している。

帰る場所はここしかない。


僕はやっぱり友希のことも

深く考えないことにした。


外の空気が吸いたい。


『コンビニ行ってくる』


美咲『あ、ご飯なにがいい?』


『いいよそこまで迷惑かけれない。飯ぐらい自分でする。金ならあるから』


友希『遠慮しなくていいのに』


『ううん気にすんな』


僕はそう言い残しコンビニへ向かった。


飯のことも光熱費とかもあの男が

支払いしているんだろうと思っていた。

そこまで甘えるとどこか悪い予感がして

今自分ができることは自分で

しようと決めた。


コンビニでタバコと弁当を買った。

コンビニを出る前、求人誌が目に入った。


あの部屋にずっといるのも息苦しいな...


仕事探そうと求人誌を手に取り、

アパートに帰った。


友希と美咲はご飯を作っていた。


僕は求人誌を広げながら弁当を食べる。


友希『仕事探してるの?』


『うん。何かしなきゃな』


友希『そっか。いいところ見つかればいいね』


『あっ!ここ電話してみる!』


見つけたのは営業職だった。


月給40万以上可能!

未経験者大歓迎!年齢学歴不問!


僕はその謳い文句を見て胸が高鳴っていた。


電話してみると、明日面接に

きてくれとのことだった。


僕はこの時自立したいと思っていた。

ちゃんと稼いで自分でアパート借りて

自分の手で生活がしたいと強く望んでいた。


この現状があるからだけじゃない。

家出して、もう帰らないと決めた以上

ちゃんと自分の足で立つということに

一種の憧れを感じていた。


3人ともご飯を食べ終わった。


美咲が口を開く。


美咲『お金貯金してたの?』


『うん親が。』


友希『いくらあるの?』


『30万』


美咲 友希『すごーい!当分困らないね!』


『う、うん。そうだね。』


インターホンが鳴る。

あの男がきた。


美咲『お疲れ様ですって挨拶してね』


そう僕に行って鍵を開け、男は入ってきた。


『お疲れ様です』


男『おう』


美咲『ご飯食べた?』


男『兄貴と食べてきた。いらんで飯』


美咲『そっか』


このアパートはワンルームで、

ロフトがある。


男と美咲はロフトに上がった。


男が美咲の身体を触っているのが

見なくてもわかった。


ゲスいなおい......


そう思っていると男が口を開く。


男『これからどうするつもりや』


『仕事して、お金が貯まったら出て行こうと思います。いつまでも迷惑かけるわけにはいかないので』


男『そうか。給料貰ったら金入れろ』


『はい。わかりました。』


30万持っていることは言えなかった。

悪い予感しかしなかった。


携帯が鳴る。男の携帯だ。


『お疲れ様です。はい。わかりましたすぐ行きます。』


電話を切った


男『美咲も友希も行くで。お前はここにおれや』


『は、はい...』


友希『ゆっくり休んでててね』


『うん。』


美咲『接待しに行くだけだから心配しないで』


そう悲しそうに苦笑いして、

男と美咲と友希は出て行った。


接待ってなんだ?....

酒の席で話し相手するのか?....


もう意味がわからなかった。


友希も、美咲も、もう俺が知ってる

2人じゃないんだろうなと思い、

横になりボーッとしていた。


俺、友希のこと好きなのか?


もう1度自問自答してみる。


もう冷めてるよな.....


テレビをつけようとテーブルの上の

リモコンを取ろうとした時、

友希が携帯を忘れていることに気付いた。


僕は迷っていた。


友希と美咲が今どんな現状に

置かれているのか。


あのヤクザと2人の関係は一体なんなのか。


僕はここにいたら危ないんじゃないかと思っていた。


美咲の携帯を開く。


受信ボックスから受信メールを見る。


11:24  Re:Re はるか

そうムッチャキモかった!

車の中でヤクザ4人にヤられたし!


は?え?

レイプされたのか?.....

あいつヤクザにレイプされたからって

黙ってんのか?.....


接待ってセックスのことじゃねーのかよ....


ただ僕には友希をどうにかしてあげなきゃ

という気持ちは湧いてこなかった。


12:01 はやと

彼氏家に住ませてあげてもいい?


あの男、はやとって言うのか....


18:13 Re はやと

30万もってきてるよ彼氏


嫌な予感がする。


19:05 Re:Re

彼氏をどうやって金にするの?

上手く行けばいいけど...



開いた口が塞がらない。


僕はそっと携帯を閉じたー


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