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14/5/1

ある女戦士の物語

Image by Olia Gozha

その、女戦士に出会ったのは、オーストラリアの語学学校だった。

 彼女は、出会った頃には、30を過ぎていた。

彼女の半生を聞いてみると、

 進学>就職と順調な人生を歩んでいたが、年齢とともに、仕事のキャリアを積んで行くと、それと反比例し、異性との出会いがなくなっていったらしい。

新しく友達もできない日々、普通に暮らしていると出会いはなくなっていくそうだ。

 

 彼女の日常を例にあげると、

起床>出勤>帰宅>TSUTAYA>韓流ビデオを借りる。休日も、だいたい韓流ビデオ。

四六時中、韓流を見てると、韓国人男性と出会ってみたい!

遊んでみたい! デートするならこういうデートかな?と妄想の日々。

 そんなおり、一大決心をした。そうだ!オーストラリアへ行こう!

補足すると、オーストラリアには韓国人がメチャ多い。石を投げると、韓国人にあたるほどだ。

 

 英語圏での生活にも興味あるし、韓国人とも仲良くなれる。

彼女のプランは、オーストラリア>韓国人と仲良くなる>韓国に行く。

最終目標は韓国で、そのための渡豪。

 いろんな人が、いろんな目的でオーストラリアに渡るが、中継地点としてオースに行く人は珍しい。

 女戦士は頭もキレる。

 彼女は基本的に、恋愛的出会いを求めている。

その気持ちは痛いほどにわかる、つまり、俺とは同志だ。

ただ、悲しい事に、恋愛攻撃力がメチャ低い、そこも同志。

 韓国男子と、出会ってもうまくいかない。

韓国男子は、日本人女子が、大好きだからやさしい。ので、仲良くなりはするも、なかなか、その先に進めない。

 そのくせ、「好き」的なアピールはハンパない。気をもたされては、他に女がいる事もしばしば。


 電話が好きなのも特徴的だ。

毎晩のように電話をかけてくる、そうすればこっちも悪い気はしない。

だが、ある日突然連絡がなくなる、こちらから連絡しても、でない。

ほぼ、確実に他に女ができたと思われる。


 例えば、語学学校で出会い、街で手をつないでデートをする。

これはかなりだ、恋愛フラグが三本バリバリである。今後の展開を、想像するだけで胸が踊る。


 彼女も戦士といえども、大和撫子。すぐに、身体を許すわけではない。

経緯と共に行為を楽しみたいのだ。なので、デートを重ねていきたいのだが、急に素っ気なくなる。


 韓国人の男は、やさしいが通説とされているが、かなりのヤリヤリ。

損得勘定が行動原理、やさしさはやらしさの、対価でもある。

あるコリアン男子の名言「一緒に勉強して、食事して、ベットを共ににする」

展開も早いが、見極めも早い。以下、余談。


 彼女の攻撃力は低いが、回復力はハンパじゃなく高い、軽い不死身だ。

ふられても、次の恋にすぐ行く。戦場を渡り歩く、恋愛傭兵。

 いつしか、彼女は尊敬の念をこめて「恋の女戦士」と呼ばれるようになった。


 オーストラリア戦線では、全戦全敗、帰国の途へ。

ただ、一つの淡い希望を胸に帰国した。


 それは、コリアンの男友達だ。

彼とは、仲良く過ごすなかで、恋の予感を感じるほどの関係までに。

ただ、時間がない。海外生活には滞在期間という縛りがある。

 二人に足りないのは、もう少しの時間だけ。。。


 帰国した彼女は、恋の戦場から、仕事の戦場へと舞い戻った。

次の戦場、韓国を目指す為に。

 半年間、一日も休まず、二つの仕事をこなしお金を貯める。

仕事は決して楽ではなかった、しかし、韓国に行けば彼に会える。

とはいえ、やはり、休みがなしはつらい、何度も心が折れそうになった。


 しかし、彼女にはアイテム「恋の種」があった。

FaceBookや、E-mailそしてSkype。 

アイテムを使いつつ、半年間の仕事の戦場を駆け抜け、

資金も溜まり、いよいよ、恋の戦場、韓国へ渡ろうとしたところ・・・




       「あいつ結婚したらしいよ」



 別の、韓国友人ルートからの知らせだ。

女戦士にかかっていた魔法(呪い?)が解けてしまった。


 さすがに落ち込む、戦士といえども、女の子なのだ。

職場に行けば、「そろそろ仕事終わりだね、寂しくなるよ」や「いつ韓国いくの?」と

同僚、上司に言われる、やさしさからの言葉だが、彼女にとっては、もはや刃。

 しかし、

 女戦士は、抜群の回復力をもつ、軽い不死身なのだ。

 お金も時間もある、次は何処の戦線に参加しようかと、酒場(ネット)で情報を集めていると、興味深い情報が。


 ヨーロッバ周遊ツアー(35歳以下)

10日間くらいで、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどを、巡るツアー。

しかも、35歳以下限定。おや?恋の予感が。

 既に彼女は歴戦の戦士。

恋の気配を、肌で感じるレベルに到達している。

 ツアーだけだと、物足りないので、ついでに、アイルランドの英語学校に二ヶ月語学留学をもくろむ。そして、ヨローッパ戦線、参戦。

 アイルランドでは、韓国人というか、アジア人が少なかった。

イギリス人やイタリア人の友達(男女問わず)もでき、充実した、アイルランド生活を満喫。


 すると、同じクラスのスペイン人男性が急接近。

彼女の戦いのスタイルは、自分からしかける戦型。相手からしかけられる、戦い方にはなれていない。

戸惑いと、旅の恥はかき捨てと、喜びが、3:5:2の割合で、二人はつき合う事に。

彼女は、恋愛防御力も低かった。


 女戦士は、スペイン人の彼氏を手に入れた。


 だが、また、同じように時間が足りない。二人で過ごせたのは、2週間くらいだろう。

学校が終われば、二人はまた、離ればなれに・・・

 学校が終わり、ヨーロッパ周遊ツアーへ。

なぜか、サウジの女の子達と仲良くなる。サウジでは、お酒をあまり飲んではいけないらしく、

サウジの女の子達は、ツアー中、ここぞとばかりに、毎晩、飲み歩き。

彼女も、一緒に騒いだが、毎晩は、さすがにキツイ。


 女戦士は風邪をひいた。


 戦士といえども、弾丸ツアーの疲れ、毎晩のパーティ-、そして、ウィルスには勝てない。

ツアー中も、移動はバスで寝たきり、観光名所についても、バスで寝たきり。

 そんななか、ツアーはスペインへと進んだ。

すると、スペイン人の彼氏が、車で7時間以上かけて、迎えに来てくれた。

日本の7時間走行と、スペインとでは距離が全く違ってくる。

 彼のやさしさにより、女戦士はすっかり回復した。


 その後、ツアーはスペインで途中下車、短い時間だが二人の時間を楽しんだ。

楽しい時間は、あっという間に過ぎ、日本に帰国する事に。


 旅に別れはつきもの、歴戦の戦士といえども、何度、繰り返しても別れはつらい。

だが、今回は寂しさだけではない、確かな希望、確信をもって帰国。


 女戦士は恋に落ちた。

 日本に帰国して、また、仕事の日々。

短期の仕事を、休みなくこなし、スペインへの資金を貯めなくてはならない。

仕事に対する覚悟の違いか、職場でも「よく働くね」、「もっとうちで働いてよ」と、評判はうなぎ上り。

 二ヶ月後、彼女はスペインにいた。

 彼の実家で、一ヶ月を過ごし、家族とも仲良くなった。スペイン語はもちろん喋れない、つうか、英語もあやしいものだ。が、大切なのは、語学力ではなく理解をしようとする姿勢だ。

 彼と、一ヶ月、ズーッと一緒に過ごすのは、初めての事。

いろんな所に連れて行ってもらい、いろんな話をした。

 二人は、そばにいれば、それだけでいい、沈黙を恐れない関係性にまでになった。

 女戦士は愛を知った。


 帰国の途に着いた。彼女は確はかなものを手に入れていた。

だが、彼女の戦いは終わっていない、むしろ、始まったのだ。

これから、「距離」「人種、言語、宗教、文化の違い」「お金」「VISA」などの、

現実と戦っていかなければならない。

 現実は常に厳しい。勝てる保証は何処にも無い。

しかし、彼女は今までも、強い意志と行動力で戦ってきたように、

戦いつづけるであろう。彼女はもう一人ではないのだ。






SKYPE

 いや~、マジで凄い尊敬するよ。ついに手に入れたね、おめでとう。

自分の事のように嬉しいよ、やったな!いきなりスペイン人かよ、どんだけだつうの。  

 

 あ~でも寂しさはあるな。

同志だと思ってたのにな~。裏切られた!つう気持ちもあるぞ。


「ありがとう、私もこんなことになるなんて予想もできなかったよ、

だってさ、私、韓国人好きじゃん、まさかスペイン人だもん、自分でもビックリしてる。

 別に、そんな好きじゃなかったんだよね、顔も好みじゃないしさ、

でも、私の事を思ってくれてるって伝わってくんのよ。

 なんかさ~、一緒にいて楽っていうか、一緒にいたいと思うんだよね。

私、スペイン語、全くわかんないじゃない。

 英語もさ、私も彼もそこまで上手くないし、言葉が通じてないことも、多いんだけどさ。

こんな、気持ちになるなんて不思議だよ」

 ふーん、ロマンチックな話ですな~。

でも、まあ、ね~、距離が遠すぎるだろ。直ぐに、別れるんじゃないの?


「あんた、本当に分かってないね!

別れること考えたって仕方ないでしょ、今、楽しいし、この時間が長く続く為に努力するだけよ」

「だいたいあんた、いつも、相手に嫌われるとか、迷惑になるんじゃないかって、一歩引いてるでしょ。この前の長崎だってさ。」

 その話はいいじゃん、長崎は止めてよ。もう、いいの、あれは、俺の中で自己完結しました。


「そんなこと言って、思いっきり引きずってんじゃないの。

だから、あんたは駄目だっての、いい、私の彼氏はガンガンきたよ。私が彼に興味ないって、彼、知ってたと思う。それでもガンガンよ。

相手に嫌われたっていいじゃない、自分から行かないと、相手に自分の事、

分かってもらえる訳ないじゃん」

 

 あ・・・・はい。

それは、そうだけど、変に距離詰めて、相手に負荷かけたりするよりも、

友達つうか、このままでも楽しいし、いいかなって。


「違うじゃん、あんた!そういう器用なタイプじゃないでしょ!

思いっきり傷ついてんじゃん。だいたい、あんたはいつまでも昔の事をひきずってさ~」

「あ!彼氏がオンラインになった。あれ、仕事、早く終わったのかな、あ、チャットきた。

ヤッター、久々に喋れる」

 

久々って?


「うん?三日ぶりかな。あ、ま、そんな感じ、今度、iPodで分からない事、聞きたいから、また、連絡するね。

 そうそう、変な女ばっか、あんたに寄ってくるから、気をつけるのよ。相手に合わせないで、しっかりやんなさいよ。 

 それから、これからは攻めなさい。

女は、特に攻めに弱いわけじゃないけど、あんたは顔も性格もよくないんだから、攻めないと始まらないわよ、んじゃね。」


俺は、女戦士より攻めの心を学んだ。




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