今回は2012年に観た映画、全41作品のレビューです。
以前書いたものをこちら用に修正して掲載しました。
とりあえず勢いだけで書いてますんでかなりの長文です。
なお、ところどころの誤字脱字、変な表現は気にせずにお読みください。
レンタルに行った際のチョイスの参考になればと思います。
では最初の一本目!
「世界侵略 ロサンゼルス決戦」
一言で言えば「ブラックホークダウンのVSエイリアン物」 。
普通の戦争映画の敵をエイリアンにしてみました!程度の作品だった。
「4デイズ」
アメリカの主要都市に核爆弾がテロリストによって仕掛けられた!
爆破までの残り四日間の間に身柄を拘束したテロリストから設置箇所を自白させる事が出来るのか!と言うなかなかスリリングな設定。自白のプロが行うテクニックが実にえげつない。
ちなみに「アメリカ本国ではショッキング過ぎてカットになった」と言う別エンディングを観ると、
むしろこれをカットしたアメリカの考え方自体が怖いと思える映画だった。
「柳生一族の陰謀」
映画の中には本筋はそこそこだったけどラストで全部許せる映画という物がたまにある。
僕にとってこの映画はその一つ。
ラストの萬屋錦之介の「これは夢だ~」のシーンは本当の実力者しか出来ない凄さがあった!
これぞ役者魂!!
「魔界転生」
島原の乱で死んだ天草四郎が魔界の力によりこの世に復活。
同じくこの世に未練を残した宮本武蔵らを手下にし人間達に復讐を図る!
それに立ち向かうは千葉真一演じる柳生十兵衛!
古くは「仁義なき戦い」、新しい物で「バトルロワイヤル」を撮った深作欣二監督のパワーある演出と千葉真一の貫禄、そして沢田研二演じる天草四郎の妖しさが融合した邦画の傑作映画!
「仁義なき戦い 広島死闘篇」
仁義なきシリーズの第二作。
これに関しては第一作ほどの面白さはなかった。
魔界転生で紹介した千葉真一の頭の悪そうなチンピラ役が面白いぐらいか?
「スカイライン」
明らかに低予算で作られたVSエイリアン物。
ラストバトルがエンドロールで流れ、しかも「止め絵」と言うあまりに斬新すぎる演出は
「途中で予算が無くなったのか?」なんて野暮な疑いを吹っ飛ばしてくれます!
その上「続編あるかもよ?」的終わり方をしやがる監督の度胸が素晴らしい作品。
「ライフ・イン・ア・デイ 地球上のある一日の物語」
YouTubeにアップされた世界中の普通の人たちの「2010年7月24日」という一日を繋ぎ合わせたドキュメンタリー作品。
もちろん有名な役者なんか出てこないが、世界中にはこんなに色んな「一日」がある事に驚かされる画期的な映画である。ラストシーンに使われたある女性の一日が実に印象的であった。
なおこの映画と同じ手法で作られた「JAPAN IN A DAY ジャパン イン ア デイ」という作品があります。こちらは東北大震災から1年後の2012年3月11日がテーマ。 実は僕も映像を撮影して応募しましたが残念ながら採用されず。ただ公式HPの応募者全員の顔写真コーナーにはバッチリ写真が掲載されております。お時間のある方は探してみてください(笑)
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」
監督は「スパイキッズ」シリーズのロバート・ロドリゲス、脚本はクエンティン・タランティーノによる傑作クライムサスペンス+?な映画。
長いことDVDが廃盤で観たくてもどこにもレンタルが無い状態だったが、TSUTAYAの「100人の映画通が選んだ本当に面白い映画」という企画で復活!この企画は実にありがたい!で映画の方ですがこの映画は前半部と後半部が突如違うジャンルになってしまうという斬新な構成になっています。斬新ゆえに他の映画でこの手法を使ったものは未だ見たことがありません。まさに先にやったもん勝ち的映画。
「マチェーテ」
他の映画の中で流れた偽映画予告を元に本当に一本の映画を作ってしまったという変わった作品。主人公は一般的には無名に近いのに他の役者がやたら豪華なのが特徴か。
おバカアクション系の悪ノリを期待したが意外と真面目な映画だったんでイマイチ。
「スナッチ」
盗んだダイヤモンドを中心に語られる群像劇。
なかなかストーリーが入り組んでいるので説明が難しい映画である。
しいて言うならば「とにかく観て」としか言い様がない(笑)
「パルプ・フィクション」とか「シンシティ」とか好きな人なら気に入るかも?
「ジョン・カーター」
約100年前に書かれたSF小説『火星のプリンセス』の実写版。
本国アメリカでは大コケした作品と聞いていたのであまり期待せずに観たら、これが結構面白かった。
スターウォーズなどに影響を与えてるだけあってその世界観がSF好きにはたまらない。
こんなイメージが100年前に書かれていた事に驚く。
でも若い人がこの映画観たら「スターウォーズみたいな映画」ってなるんだろうな。
「ミッション:インポッシブル3」
ラストが全く盛り上がらずに終わって驚いた。
そんな事で観客を驚かしてどうするよ。
「ダークナイト・ライジング」
一作目「バットマン ビギンズ」、二作目「ダークナイト」に続く三部作の完結編。
「ダークナイト」からの続きと思いきや「ビギンズ」のキャラクターが突然出てきたのには驚いた。
ゆえに今作を観る方は「ビギンズ」も絶対に観られた方が良いです。
出来はそこそこであるがそれは二作目の「ダークナイト」があまりに完成度が高すぎるからで、
ここはぜひ「落ちる所まで落ちた主人公が如何にして上に這い上がるか」に重点を置いて観ていただきたい。なかなかここまで叩きのめされるヒーローなんてそうそう無いです。
「トータル・リコール」
1990年に制作されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演映画のリメイク版。
先にシュワちゃん版を観てる人にはこちらのリメイク版はちょっと綺麗すぎると思うのでは?
リメイク版を観て面白いと思われた方はB級テイスト満載のシュワ版もぜひ観てみてください。
「猿の惑星: 創世記」
あの伝説的SF映画「猿の惑星」の前日譚的映画。
これが脚本が実にしっかりしていてなかなかの力作だった。
人間が敵として描かれており猿側に同情出来るように持っていく流れは凄い。
「ウォッチメン」
一風変わったヒーロー物なんだけどほとんど記憶に残らず。
「コリン」
自主制作映画のゾンビ物。小倉優子のあの星とは無関係である。
全編家庭用のハンディカムで撮影されていて制作費わずか5800円~7000円(サイトによって金額が違うのはなぜだ?)で作られているが全世界で様々な賞を取りまくっていて、近年のゾンビ映画の中では本当に傑作である。
ただヨタヨタ歩くだけの主人公のゾンビ君を中心に、様々な人間模様が描かれていてラストはなかなか切ない。自主映画に興味のある方には是非観ていただきたい一本。
「プロメテウス」
1979年に公開されたSFホラーの元祖映画「エイリアン」の前日譚映画。
「エイリアン」の冒頭、ある惑星に不時着していたUFOの中で「スペースジョッキー」とエイリアンファンが呼んでいる異星人の化石化した死体が発見されるのだが、その正体はとうとう明かされる事はなかった。それが「エイリアン」公開から約30年を経てこの「プロメテウス」でその謎が明かされるのである!これだけでもファンは観る価値はある!
世間的にはこの作品、賛否両論だった。
実際ストーリー展開は「エイリアン」のそのまんまの流れだったりするが、 僕は久しぶりにSFホラー映画を観れたので結構満足であった。 ちなみに監督の構想では三部作の予定との事。
「アベンジャーズ」
アメリカンコミックの主人公「アイアンマン」「インクレディブル・ハルク」「キャプテン・アメリカ」「マイティ・ソー」がそれぞれ映画化され、そのヒーローが一同に揃う実にアメリカンなゴージャスな映画。
例えるならば「ヒーロー版紅白歌合戦」。
この「アベンジャーズ」を映画館に観に行った時、実は「アイアンマン」しか観ておらず、誰が何なのかが良くわからなかった。例えるならば「SMAPと北島三郎は分かるが、ももクロZってだれ?」状態である。それでもこれだけアクの強いキャラクター全員にそつなく見せ場を設け、ドラマを盛り上げていくのはさすが社運を賭けているだけはある。もちろんこれから観られる方は、先にそれぞれのキャラクターの映画を観た方がいいです。
「インクレディブル・ハルク」
「アベンジャーズ」に繋がるヒーローの一人。
自分の事前の知識は「怒ると強大化して暴れる緑の大男」程度だった。
しかしこれが!これが実に傑作!事故により怪物になってしまう能力を得てしまった主人公の悲しさが観る側の同情を誘う。ドラマがとにかくしっかりしていて面白かったです。
これはこの「インクレディブル・ハルク」がヒットしないと後々の「アベンジャーズ」の制作に影響が出てしまうため製作者側が「絶対にヒットさせる!!」という執念で制作したおかげでは無いかと思う。日頃ヒーロー物に興味の無い方にぜひ観ていただきたい作品です。
ちなみに2003年にも「ハルク」というタイトルで映画化されてますが、これは「アバンジャーズ」とは繋がらない別作品なのでレンタルの際は要注意。
「マイティ・ソー」
「アベンジャーズ」に繋がるヒーローの一人。
自分の事前の知識は「マッチョなブラピが打出の小槌を持っている、しかもマント付き」というあまり良いイメージでは無かった。なんせ格好がね~。
でっとりあえず借りて観たらこれが!これが実に傑作!!わがままな主人公が罰として力を奪われ人間界に追放されるというなかなかシリアスなストーリー。派手なアクションシーンも当然ありつつ、主人公の心の成長もじっくり描かれていて脚本力の凄さが伝わる。
これはこの「マイティ・ソー」がヒットしないと後々の「アベンジャーズ」の制作に(略)
ちなみに主人公の仲間の一人で日本人俳優の浅野忠信が出演しております。
「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」
「アベンジャーズ」に繋がるヒーローの一人。
自分の事前の知識は「全身真っ青のかなり恥ずかしい格好のヒーロー」程度だった。
なんせ全身青い上に額にデカデカと「A」の文字。さらに星条旗色のド派手な盾。 自分にはこの格好は正直言ってギャグにしか見えなかった。 でも他の作品も観たからとりあえず観るか~と渋々借りて観たらこれが!これが実に傑作!!
原作コミックに馴染みの無い人でも納得できるように、なぜ主人公があ~なるのかを丁寧に描いている。時代設定が第二次世界大戦であり、それに巻き込まれていく当時の若者に視点を合わせていて実は結構シリアスな作品だった。 これはこの「キャプテン・アメリカ」がヒットしないと(略)
とにかくこのハリウッド映画の中でも屈指の超大型企画映画「アベンジャーズ」を楽しむためにもぜひこれらの作品をご鑑賞ください。
「ドラゴン・タトゥーの女」
スウェーデン映画のハリウッドリメイク版
ある田舎の富豪の家にまつわる少女失踪事件の謎をめぐるミステリー。
例えるならば海外版「金田一耕助シリーズ」。そんな雰囲気が漂っていてかなり面白かった。
007役でお馴染みのダニエル・クレイグが普通のおじさんを演じているのが凄い。
この映画、ミステリー映画としても楽しめるが実は密かに純愛映画なのがミソ。
「パラノーマル・アクティビティ2」
低予算ホラーの第2作目。話の流れとしは一作目よりも前の話になる。
二匹目のドジョウ狙いかと思ってみたら意外と面白かった。
当時「カメラの台数が増えて恐怖も倍増!」みたいなコピーで売り出してたと記憶している。
カメラ台数が売りのホラーなんて初めて観たぞ(笑)
「パラノーマル・アクティビティ3」
続いて3作目。さらに一作目より前、つまり事の発端が描かれる。
さすがに三匹目はいないだろうと思ったらまだいました。
こちらのほうが古い家庭用ビデオカメラで撮影されているせいか結構怖かった気がする。
ただ全作とも当然雰囲気が似ているのでどれがどれだが記憶がゴッチャになるのが難か。
これから鑑賞される方は全作を一気に観る事をオススメします。
「パラノーマル・アクティビティ第二章」
これはなんと日本の東京が舞台の正当なシリーズ続編。
監督はフジテレビ制作の一部のファンには有名な「放送禁止」シリーズの監督が担当。
僕は「放送禁止」のファンなので期待してみたがこれが全然ダメ。
理由は簡単。出演している役者さんが割とドラマ等に出ている方々なのだ。
この手のホラーはドキュメンタリータッチのリアルな感じが売りなのだがやはりプロの顔の知れた役者さんがいくら自然体を演じてもどうしても「演技」にしか見えない。
ここはぜひ無名の役者さんを使って欲しかった。
「冷たい熱帯魚」
世界でカルト的人気を誇る、園子温監督の作品。
これは実際にあった「埼玉愛犬家連続殺人事件」をベースにしたサスペンス映画。
気の弱い主人公が連続殺人鬼のおっさんと出会った事で人生がボロボロになっていく、
最初から最後まで絶望的な悲壮感漂う映画。
連続殺人鬼のおっさんを演じる「でんでん」と言う役者さんは、日頃ドラマなんかでは気の優しいおじさんを演じてる事が多いだけに、この作品での「表」の親切なおじさんと「裏」の狂気の演技の切り替わりが凄すぎる。グロテスクな描写だらけなのでそれが苦手な方にはお勧めできません。
「ミッション:8ミニッツ」
僕の好きな「ループ系」の映画。
主人公が目を覚ますとそこはある走行中の列車の中。
なぜ自分がそこにいるのか?と戸惑っていると突然列車が爆破!!
その瞬間今度は全く別の場所に移動しそこで初めて自分に与えられた任務を知る。
その任務とは列車が爆発する8分間の間に爆弾を仕掛けた犯人の情報を得る事だった。
爆破するたびにまた最初に戻る、これを何度も繰り返しながら犯人の核心に迫っていく!
演出、脚本が実に見事!ループの設定も結構新しい発想でとても面白かった!
「宇宙人ポール」
イギリスからアメリカに遊びに来たあの名作映画「ホット・ファズ」でお馴染みのコンビがネバダ州のエリア51で宇宙人ポールと出会うドタバタ物SFコメディ映画。これはかなり笑えた!
長年居たせいで完全にアメリカナイズされた宇宙人ポールのセリフや行動が最高である。
そしてこの映画は過去のSF映画、特にスピルバーグ作品へのオマージュが満載でそういう意味でも僕はこの映画、大のお気に入りになりました。
ただ途中で見せるキリスト教へのジョークは敬虔なクリスチャンには笑えないかも?
ちなみに僕は不真面目なクリスチャンだから大笑いでした(笑)
「トイ・ストーリー3」
この映画を制作しているピクサー社の作品はどれも傑作だらけ。
その中でも人気のあるトイ・ストーリーシリーズの完結編。
どんなおもちゃも持ち主が成長すればいつかは捨てられる運命にある。
そんなシリアスな内容でありながらちゃんと娯楽として観せる脚本が素晴らしい!
ラストシーンは久しぶりに泣きました。お勧めであります!
「パトルシップ」
VSエイリアン物であるがこの映画の珍しい点は舞台が海上であり海軍が中心である事。
そして敵が小規模である事の二点。 この手の作品は通常エイリアンが大量に押し寄せてド派手に都市を破壊し人類には手に負えず、でも勢いで突撃したらなんだか勝っちゃいました!的展開が多いのだがこの作品は一味違う。ちゃんと戦略があるのである。ラストの展開も中々上手く盛り上げてこのジャンルでは異色の出来!
ちなみに「マイティ・ソー」にチョイ役で出ていた浅野忠信が今作にも出ているのだが、これがほとんど主役張りの扱いで驚いた。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」
もうこれを語りだしたら止まりませんのであえて割愛(笑)
ただ言うならばこの作品を作っている庵野監督やスタッフの度胸に感動する。もうタイトルにヱヴァとあるだけで客は来るのだからそこそこ娯楽に仕上がればいいはずなのに、今作は最初っから最後まで謎が解決するどころかドンドン増える凄い展開。
次回で完結予定なんだが本当に大丈夫なのかと心配になる。
そんな自らハードルを上げてまで観客にサービスするその精神をぜひ自分も見習いたいと思った。
「ファニーゲーム U.S.A.」 「追悼のざわめき」
この二作の映画はどんな作品かと言えば「映画」という形をとった「毒」です。
これは「つまらない駄作」という意味では無く、ある意味恐ろしいぐらいの完成度を持った禁断の作品なのです。 では解説をどうぞ!
「ファニーゲーム U.S.A.」
余暇を楽しむために別荘に訪れた家族の元に二人の若者が「卵をください」と訪ねてくる。
そこから生き残りを賭けた恐怖の「ファニーゲーム」が開始される、というストーリー。
ここだけ見ると普通のサスペンス映画だが、僕は鑑賞後しばらく精神的に「落ち」てしまった。
ラストは当然バットエンド。だがそこに行くまでの過程がもう絶望的過ぎる。
とにかく観る側の期待を全部裏切っていくのである。途中反撃のチャンスがあり我々は一瞬「やった!」と思うのだがこの監督はありえない方法でそれすら無しにしてしまい、一気に奈落の底に落としくれるのだ。「もうこの監督は狂っているとしかいいようがない」と僕は思った。
だが他の方が書いたレビューを読んで、ある事実に気が付いた。
この映画、バイレンス映画でありながら実は直接的な暴力シーンが殆ど無いのだ。
これは明らかに意図的に観せないように演出されている。
しかし一箇所だけ唯一と言ってもいい暴力シーンがある。それが事件の引き金になるのだがそれがまたあまりに皮肉的な見せ方になっている。
さらに通常観客は「被害者側」を応援したくなるものだが、この映画は被害者家族のモタモタした行動にいつの間にかイライラしてきて、まるで自分たちが加害者側のような気分になってくるのだ。
つまりこの作品は監督の完璧なまでの計算によって「暴力」の持つ「嫌悪感」を体験出来る究極の暴力映画なのだ。そこに気付かされた時この監督の天才ぶりに頭が下がった。
調べてみるとこの作品の監督ミヒャエル・ハネケは数々の映画賞を受賞している超大物だった。その超大物が「暴力」をテーマにして撮った究極のバイオレンス映画がこの「ファニーゲーム U.S.A.」である。ちなみにこの作品はハリウッドのリメイク版なのだがオリジナルのオーストリア版「ファニーゲーム」を観たら驚いた!なんとストーリーはもちろん、セリフ、音楽、さらにカメラの構図まで全く同じ!違うのはキャストだけ。これは余程作品の完成度に自信があるから変えなかったのか、もしくは近年のハリウッドの安易なリメイクに対する監督のイヤミ、そのどっちかである(笑)
「追悼のざわめき」
「追悼のざわめき」はあの劇作家寺山修司氏に「映画になったら事件」と言わせた伝説の作品。
実際に観たら確かに「事件」でした。なんというか禁断のパンドラボックスの中身を観てしまったというか・・・。この映画、世界中の映画祭に招待されるも、結局内容の過激さに全部上映禁止になったという凄まじい作品です。この映画を観てしまうと先の「ファニーゲーム」ですら「楽しいファミリー映画」に思えるぐらい強烈な物があります。ゆえに余程精神的にタフでないと観る事は不可能です。
この作品は通常の映画ではまず取り上げない題材を大胆に見せつけます。それにより我々の中に潜む「差別感」や「嫌悪感」のネガティブな物を浮き彫りにしてきます。その自分の中に潜む「嫌な感覚」を受け止められないと間違いなく鑑賞後「落ち」ます。
というわけでこの二作をまかり間違って家族とか恋人とかと観るとすべてが崩壊しますのでご注意。
でっなんでそんな作品をこんなにしっかり解説してるのかと言えばそれはあれですよ、「リング」の呪いのビデオを観た人が生き延びるために誰かに観せようとするあの感覚です(笑)
「アポロ18」
簡単に言えば「パラノーマル・アクティビティ」の舞台を月面に置き換えたモキュメンタリー(ドキュメント風に撮影した)映画である。設定が自分好みなんで観たが、そこそこに楽しめるものの色んな意味でツッコミ所満載の映画だった。この手のジャンルが好きな人は観てもいいかもねってレベルです。
「キック・アス」
今年は「バットマン」や「アベンジャーズ」などヒーロー物を沢山観たが、その中でも「キック・アス」は最高に面白かった!一言で言えば「イカレタ人たちのヒーローごっこ」。ある意味、非常にリアルなヒーロー物である。間違いなく傑作だが遠慮無いバイオレンス描写ゆえにファミリー向けでは無いので観る方は要注意。ちなみにレンタルはTSUTAYAオンリーです。
「愛のむきだし」
「冷たい熱帯魚」の鬼才、もしくは奇才の園子温監督の作品。一言では説明出来ない変な映画ではあるが実は結構「愛」について深く表現された純愛作品だったりする。それぞれの心の隙間の埋め方がたまたま他人から観たら「異常」「変態」だった、そんな悲しい設定だがコミカルに演出してあり、かなりの力作であった。
「カウボーイ & エイリアン」
タイトルそのまんまの超B級な設定なのに007のダニエル・クレイグとインディーのハリソン・フォードが共演!西部を舞台にエイリアンと戦うというトンデモない映画。普通に西部劇やっても良かったんじゃね?というのは一先ず置いといてこの手のB級物が好きな人にはそれなりに楽しめる映画。
ただ脚本が穴だらけ。途中のあるシーンはいくらコミックが原作だからってそれはどうよ?と苦笑いしてしまった。あと毎回このジャンルで思うのがなぜこうも敵のエイリアンは「野獣」みたいな奴ばっかりなんだ?巨大UFO、戦闘ロボ、光線銃なんか作れるだけのテクノロジーがあるのに知性の欠片も無い。ウルトラセブンのメトロン星人みたいに知恵で地球侵略を狙う宇宙人をぜひ見習っていただきたいと思う所存である。
「十三人の刺客」
SMAPの稲垣ゴローちゃん演じるバカ殿を役所広司率いる十三人の侍が成敗する時代劇アクション。この映画は当たり!最後の合戦シーンは最近のCGまみれのハリウッド映画とは比べ物にならないぐらいの迫力!さすが「クローズZERO」の三池監督!とにかく時代劇の良さが伝わる傑作だった!ついでに松方弘樹がただの釣好きのおじさんじゃ無い事も十分伝わります(笑)
「鉄男 THE BULLET MAN」
伝説的自主映画「鉄男」の最新作。塚本晋也監督のスタイリッシュな映像を最後まで押し切った怪作!とにかくパワー全開でせまる演出はカメラがひたすらブレにブレまくるので万人向けじゃないけど僕は大好きです。これ観たら久々に元祖「鉄男」が観たくなってきた!
「インセプション」
バットマン「ダークナイト」シリーズのクリストファー・ノーラン監督の傑作映画!
「夢」を扱う映画は数あれど、ここまでアクション映画として観せたのは今作ぐらいだと思う。一見「夢」だから何でもありになりそうだが、そこに独自の設定を設ける事で緊迫感を出す。脚本にいつも定評のあるノーラン監督の才能が素晴らしい。監督の作品はいつも最後に一捻りあるのだが今作も実に上手い終わり方をします。
以上2012年に観た映画はこれで41本。
この中であえて3本だけ個人的にお勧めできる作品を選ぶとすれば、
3位 バトルシップ
2位 トイ・ストーリー3
1位 ミッション: 8ミニッツ もしくはバイオレンスが大丈夫ならキック・アス の3本になります。
というわけで参考にしてみてください。
2013年版はいつか書きます(笑)