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14/4/18

障害者からみた自立できない障害者は産まないべきかどうかの話。

Image by Olia Gozha

ネットで時々見掛ける話題の1つに「要全介助の障害者は産まないべきか」というのが有ります。

いわゆる、先天性で要介助の障害を持つ子供を産むのは自由だけど両親の方がどうしても先に天寿を全うする。両親の死後はどうするの?っていう話題ですね。これは、スゴく深刻な話題で、僕の意見もある意味過激な部分が出てきますので御注意を。


まず当たり前ですが、子供を産むのは全ての女性に権利があり、産むのは自由です。ただ、産むと同時に全ての「両親」にはその子を最低18年間、高校を卒業、自立まで育てていく責任が生じます。これは自立出来る人の話です。高卒で就職すれば勿論、自立しますし大学に進学しても、18歳を超えていればほぼ自由にアルバイトが出来るので養育に関する責任は下がります。ただ、障害者はそうとは限りません。


例えば、僕のように体の一部が少し悪いけれど、知能に問題なくコミュニケーションに不安もない。日常動作で困る事は殆んどなく、車の免許も所持しているような「恵まれた」障害者ならば障害者枠での就職の求人も比較的多いですし、何なら新卒採用で健常者と同じ土俵でも戦う事が出来ます。


しかし、例えば脳性麻痺による車椅子に乗った障害者や知的障害者、精神障害者には厳しいです。何故なら、障害者雇用促進法は現在、「全ての障害者」を対象にして全企業に従業員の2.0%は障害者を雇用するよう呼び掛けているためです。これの何が問題なのかと言えば、「全ての障害者」と障害者を一括りにしている部分です。つまり、身体障害だろうと精神障害だろうと知的障害だろうと「障害者手帳を持っている人間」なら誰でも良いのです。そうなると、当然、障害の軽い人間は市場価値が高くなる。具体的に言えば、障害が軽い人間は大手企業が高待遇で雇ってくれるのです。中小企業に残るのは、言い方は悪いですが大手企業が「要らない」と判断した障害者です。

しかし、企業に対して救済策も有ります。一人に付き月5万円納めれば雇用義務が免除されます。すると、どうなるか分かりますよね?「使えない」人間に十何万も毎月給料を支払い、一定のボーナスを払うより月5万円、年間でも60万円納める事で雇用義務が免除されるのであれば安上がりなのでそれを選びますよね?そうやって今現在の障害者を取り巻く、障害の軽い障害者には引く手数多なのに対し、精神障害者や知的障害者、障害の重い身体障害者にはほぼ求人のない絶対的、能力主義的な労働環境が生まれたわけです。


少し脱線しました。

以上の事を踏まえて考えると、要介助の障害者には働こうと思ってもほぼ求人がないと言えます。有ったとしても凄く低賃金です。そんな中、親の貯蓄だってそうそう余裕はないと思います。健康寿命を70歳として30歳で産んでも障害児が40歳になる頃には自分にも介助出来るほどの身体能力は残ってないでしょう。それどころか、自分さえ介護を必要とする身かも知れません。人間の平均寿命を80歳と考えても、あと20年、90歳まで生きられれば良い方でしょう。その時、障害者は60歳、まだまだ余生は残されています。しかし、親はいません。貯蓄は親の生前残してくれたものと障害年金のみ、それ以前に介助してくれる人を見付けなくてはなりません。見付からなければ自殺もできず「餓死」です。そうなる事も見越して要介助の障害者を持つ両親は最悪、そうなる前に「殺す」という選択肢も考えなくてはいけません。しかし、それはあまりにも酷いという事で産まないという考えが有る。

私の考えとしては「産まない」というのは有りだと思います。最期まで責任を持てないのであれば障害の有無に関わらず、中絶も堕胎も有りだと思いますし、そもそも子供がいなければ女性としての幸せがないというのもどうかと思います。

あくまでこれは僕の意見なので異論も反論も受け付けます。

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