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14/4/10

とあるゲーム業界のブラック会社で夢の代償に僕が失った物。第2夜

Image by Olia Gozha

専門学校を大半アルバイトで過ごし、プログラミング技術が無いのに内定を取って1日目。


僕は、都内のとあるゲーム会社のオフィスで、契約書を交わしていた。

自分の他に20名程採用されており、男性8割、女性2割と言った感じだ。


契約書の内容はこうであった…

研修期間:3ケ月(最長6ケ月)

日当:5000円

交通費:自費

福利厚生:特になし

正社員雇用:随時

勤務時間:09:00~17:00(残業はありません

持ち物:筆記具、ノートPC(任意)、毛布、寝具等


当時、アルバイト上がりの僕は社会と言う物が解っていなく、

研修期間でお金貰えるなんてラッキー程度に考えていた。

交通費と食費を引いたらボランディアであるが、そこはやはり憧れのゲーム会社の社員に慣れた!

それだけで嬉しかったのである。


そして、社会人研修が始まった。


まず社長の挨拶からだ。


イケメン社長「おはようございまーす。」(大声)

A君「?!」

Bちゃん「お、おつかれ…さ…まです」

僕&一同「お、おはようございます!」


社長「Aさん、Bさん、お疲れ様!礼儀も解らない奴は帰っていいよ。それでは残りの人達で研修を始めます!」

(社員に引っ張りだされる2名が、言葉にならない何かを叫んでいた)


契約書を交わして、数分後に2名の脱落者、いやクビになった者が現れてしまった。


一同は震え上がった。


社会はこんな厳しいものなのかと。

アホな僕は、社長になると人の見る目が違うんだ程度に何故かプラスに考えることにした。

そうしないと正気ではいられなかった程、恐い顔をしていた。


その後、実際の研修内容が伝えられ、まずはゲームのデバッグの仕事から始めるようであった。


自分の与えられたゲームはリメイク関連の、いわいる懐ゲーと言う物で、

やはり昔の好きなゲームだから愛着もあり、仕事でゲームやりながらお金が貰えるなんて天国だと感じた。


しかし、ゲームソフトを手順通りに動かしても、まったく始まらない。

むしろ、スタートを選択するはずのカーソルすら動かない始末。

右も左も解らず、なんとか動かそうとローディング画面を見ながら2時間ほど起動と終了を繰り返し奮闘していた。


現場のリーダーが様子をやっと見に来た。

こんな出来の悪いソフト作った奴はこいつかと、僕はすでに臨戦態勢であったが…


リーダー「デバッグできたか?」

僕「あの、全然できなくて…」

リーダー「できたか?」

僕「あの起動がうまくいってません」

リーダー「なんで言わないの?」

僕「す、すいません、なんとか動かそうと思って調べてました」

リーダー「これさ、バグだから自分で直すのが筋だよね?」

僕「え?!」


不安になったので辺りを見回すが誰も目を合わせてくれない。

時刻にしてすでに21時、どうやら1日目から修正をしないといけないようだ。


すでに説明と違うのだが、帰ろうとした矢先、

リーダーの無情な一言が僕のHPを0にした。


リーダー「お前さ、毛布持ってきてるんだろ?そこの机の下で寝ていいからな。」


こうして地獄への扉が開いたのである。


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