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14/4/9

蛇にピアス(芥川賞)に魅せられて、女子高生が舌にピアスをあけてみる話

Image by Olia Gozha

(違った意味での痛い話が入りますよ)

二人の書く小説が好き。

2004年芥川賞を受賞した若い女性二人の作品。(19歳とか20歳とか)

綿矢りさ先生の受賞作品は「蹴りたい背中」だが好きじゃないので1作品目「インストール」pickup。

綿谷りさ先生「インストール 映画化:上戸彩女子高生が、小学生男子に斡旋されて出会い系のサクラのバイトを、彼んちの押し入れにドラえもん並みにこもってやる話。」

ドラえもん「色々ぶっとんでるだろ」

金原ひとみ先生「蛇にピアス 映画化:吉高由里子(乳首でてる)19歳の女の子が舌をピアスで裂いた男の子と道ばたで出会って同棲して、彼が男を暴行して抜いた歯を彼女が飲む話。」

暴行された男「それ、彼氏のじゃなくて、俺の歯だから」

綿谷りさ先生のは「勝手にふるえてろ」が一番好き。冒頭の、光りかがやく手に入らないものへの<届きますか、届きません。>が素晴らしすぎる。金原ひとみ先生のは「ハイドラ」「星へ落ちる」「オートフィクション」が好き。もう浮気をしている彼のためにスープぐつぐつ煮ちゃうんだよ、わかるー!ってなる。




「恥の多い生涯を送って来ました。」

太宰治「なんで人間失格が出て来たんや!」

先生、ここに書かないと、うっかり私の現実世界で口をついて出てきてしまいそうなのです。


兎にも角にも、若い頃、自分の身にふりかかる全ての悪いことは、私のせいだと思うことによって不条理と向き合うことから逃れていた。

哲学の時間に、中国人のパク先生が「なぜ自殺をしてはいけないか」という題材の作文を書きなさい、っていうから書いたら、みんなの前でパク先生が私の作文を読んで泣いたくらい。(その前に教室の出席率が悪すぎてパク先生は既に涙目だったけど)


もうかなり病的で、どのくらいのレベルかというと

「母がむかつく!階段から突き落としてしまいたい!」

→いや、何を言ってるんだ、母をここまで追いつめたのは私・・?

→私が生まれたことと、私がしてきた行いのせいだ。でも性格直せないし死のう

→いや、私が死んだら、母が自分のせいだと思って傷ついて死んじゃうかも

→死ねない。しかし罪深い私を殺したい。だが死んではいけない。

→自分に罰を与えたい。


小学六年生の時に彫刻刀で手首を切ってから、それは二の腕になり、太ももの内側になり。

先の尖った小さなはさみで腕を刺してみたり、シャープペンで脚を刺してみたり。

このツッコミ所だらけの思考回路で、もうどうにも自傷行為がやめられない。

悪いことだと思っていなかった。

ただ、バレる前にやめなければとは思っていた。

母に知らせて母を傷つけるためにやっていたわけではないので、大人にバレないようにやっていた。


高校一年生の時、誤って大人に手首を見られた。

大人の男性「そんな傷見たら男は冷めるよ。ひくよ。」

自分「・・・。(そりゃそうか)」

そして、彼は母に告げ口をした。

ある夜、私はベッドですやすやと眠っていると、母に揺すられ夜中に起こされた。

「ねえ、起きて・・・ねえ・・・」

自分「(えっ、なにごと?)」

「見て、見て」

自分「(見てって何を?真っ暗で何も見えないよ)」


母は、右手に持った携帯の光で、左腕の母の手首を照らした。

そこには、切りたての無数の赤い線とにじむ赤い血がついていた・・・・。


「見て、Sanaeちゃん・・・お母さんはいつもあなたと一緒だよ。」

って、ホラーか!!!!

こうして、母の行為にどん引きした私は自傷行為の人に与えるインパクトの大きさに気づき、なんとかやめようと試みる。


当時のインターネットの世界、若者のホームページは大<テキスト>時代。自分の不幸な話をエサにアクセスアップする女子高生たち。

同様の行為をしている人のやめた話を探すが、見つからない。

彼女らはこぞって行為後の写真をHPに掲載していた。私にはその心理が理解できない。

私はやめたいのに、やめ方が見つからない。やめられない。

もうどうやったって衝動が抑えられない。

何か理不尽なことが起こるたびに、モノに当たるように自分に当たった。

私は泣きながら紙をひたすら千切り続けることはあっても、紙を丸めて壁に投げることさえできない子だった。

一度やったら、もう取り返しがつかないほど全てをめちゃくちゃにしてしまいそうな衝動の大きさだった。



蛇にピアス。

疲れるとひどく本を読みたくなる。

なかでも小説を選ぶ際の基準は、私より主人公が苦しんだ経験があること。

まだまだ私はがんばれるって思いたい。そんな気持ちで当時は小説を探していた。


ある時、私はインターネットで面白そうな本の情報を手に入れた。

芥川賞を受賞した綿矢りさ先生のインストールと、金原ひとみ先生の蛇にピアスである。

あらすじを読む限り、かなりぶっ飛んでいる。これは読まねば!ということで本屋へ。

残念なことに蛇にピアスだけ品切れ。


だが問題ない。インストールもかなりぶっ飛んでいる内容らしい。

胸を躍らせ購入し、帰宅後すぐに読んだ。

自分「つまんねーーーーーーただの登校拒否に一瞬なりかけた話じゃないかーーーーー」

私は日を改め蛇にピアスを購入した。

結果、私は満足だった。

自分「なんと、この世には、公にもっともらしく認められている自傷行為、ピアッシングというものが存在するではないか。」

でもでも、耳にブスブスと穴をあけるのはやっぱり異常な気がする。

見えるところに沢山あけるのは良くない・・。

そうだ、悪い人はえんまさまに舌を抜かれるんだから、私は舌に穴をあけて罪を忘れないように自分を戒めよう。

蛇にピアスのように。



私は舌に穴をあける事に決めた。

ピアスがしたいのではない。穴をあけたいのだ。

自分であけることは不可能そうだった。意に反し舌は本能で奥へ逃げてゆく。

一つ上の女の先輩が眉毛にピアスをしていたので、聞いてみたら、「ピアススタジオ」なるものであけたという。

スタジオ・・?

ピアスをあける先生みたいな人が黙々とピアスをあけているのだろうか・・・・

しばらく悩んで、学校が終わった後に電話してみた。

営業時間が短くて当日あけてもらうことは叶わなかったが、予約はスムーズにとることができた。


翌日、私は学校をサボって(制服は着て)ピアススタジオへ向かった。


階段を上り、お店のドアをあけると

店内には、太さや石の違うピアスや、一般人は着ないと思うようなTシャツが並べてあった。

清掃は行き届いており、綺麗。

だけど、この洋服屋さんみたいな所でピアスをいったいどうやってあけるんだろう。


顔中ピアスの店員さんにピアッシングで予約した事を告げると、しばらくして別室に通してくれた。

そこには、もっっっとピアスだらけの店員さんと、イスと、ベッドと、洗面台と、鏡と、ライトがあった。

店員さん「センタータンだよね?」

自分「多分そうです。舌にあけたいんです。」

店員さん「歯磨きして、舌を良くみがいて、イソジンして。三日くらいは腫れるよ。」

自分「はい。(シャカシャカ、くちゅくちゅ、ぺっ)」

店員さん「そこに座って、舌見せて。印をとるから。鏡見てみて。ここでいい?じゃああけるよ。ぐっと舌だして。」

自分「(怖いー!でも人に舌をつかまれるってときめく!一生にあんまないよね!・・いやいや、これから罰をうけるんだ、罰。)」

店員さん「いくねー・・・・1、2、3っ」

こうして女子高生の私の舌に穴があきました。



その後

ピアス

私の舌のピアスは1年ちょっと後くらいに、当時の恋人(下の彼とは別)にペンチで外してもらいました。

再度さしこみ、手で閉めたのですが、口内なのでキャッチが外れ、キャッチ(玉)をクレープと一緒に飲んでしまいました。

急いで嘔吐しましたが、嘔吐物に手をつっこむ勇気がなかった事に気づき、諦めました。

そしてそのまま舌の穴は、罪の穴はふさがりました。


行為

舌に穴をあけたあと、回数はかなり減りました。1年に4回くらい。

それでも0になりませんでした。


クリニックにて相談したら、大泣きすると衝動を抑えきれなくなることを指摘され、指導が入りました。

・泣き始めたら眠剤を飲んでとにかく寝てしまうこと。

・悲しくなったり不安になってきたらすぐに安定剤を飲んで、泣かないようにすること。

これがかなり良かったのですが、泣き出すと薬が効かず、結果眠れるまで薬を飲みたしていくので翌日動けないこともありました。

それでも0になりませんでした。


ある時

錯乱した私を見かねた恋人が、私の部屋中の刃物を回収して彼の家に持って帰ってしまいました。

これはひどすぎる。

彼が再び私の部屋に来た時、激怒し、責めたてました。

恋人「だってお前、泣くと、俺が隠してもハサミ探しまわるじゃないか!」

自分「それはそうだろ!!切りたいんだから!!」

恋人「そんなに切りたいなら、俺の腹を切れよ!!!」

自分「じゃあ、腹だせよ!!めくれ!!」

恋人「いいよ!・・でもみんなにバレないように、この横のシワにそってやってね。」

自分「切るよ! <ギリギリギリ・・>(ハサミは滑らせて切るものではないのでたいして切れません)」

恋人「・・・・。」

自分「・・・・。(みみず腫れになった程度だけど、人を切っちゃったよ)」

恋人「・・・・。」

自分「・・・・。」

恋人「うわあーーーーー!!本当に切ったよこいつ!!!痛いよー!!・・でも良かったな、お前は痛くなかっただろ?傷はつかなかった。これから切りたくなったら俺を切るんだよ。お前が切ってると俺が痛いから、俺を切るんだよ。」

自分「・・・・ぽろり。」


こうして私は行為を0にすることができました。

やりたくなっても彼の気持ちを思い出して、なんとか卒業することができました。

答え合わせのできない問題を解決するという事は、こういう事なのだ。愛こそ全てなのだ。

(ビジネスにおける問題解決とかけてます)


ちなみに、彼のその後。

恋人「初恋の人が忘れられない!彼女には恋人がいるが俺を求めているんだ!このままでは浮気をしてしまう、別れてくれ!」

恋人「彼女、恋人と結婚するみたいなんだ。俺にあんな素敵な笑顔見せて、手をつないだのに・・。彼女は運命の人だと思っていたのに・・。」

恋人「実はね、俺きゃりーぱみゅぱみゅ似の彼女が出来たんだ。可愛いんだよー!そういえば、今彼氏何人いるの?」

恋人「最近俺超絶モテキでさー!営業で新人1位とったし!あれっ、お前太ったなー!あの頃は脚が折れそうに細かっt」


他:キャバ嬢の本性4つ




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