
悪夢の大負けから一夜明け、
僕は気を取り直して、いつものようにパチンコ店に並んでいた。
もちろん師匠と二人で。
今はまだ、朝の7:00。
いつもより少し早いが、
今日は絶対に人に譲れない狙い台があったのだ。
もちろん、僕が昨日打っていた台。
この台を誰かにとられるわけにはいかない。
師匠からも、『昨日の打っていた台は、絶対に誰かに渡してはいけない』
と指令が出たので、今日はいつもより気合いを入れて並んでいるのだ。
師匠は師匠で、かなり激アツの台があるらしいので、テンションが高かった。
川田君「いやぁ、今日は二人で1万枚コースかぁ(笑)」
僕「昨日惨敗したからね!今日は取り返さないと!」
川田君「そうだね!もうしばらく出てないから、おそらく今日は高設定入れてくると思うよ!というより、昨日も高設定だったか(笑)」
僕「そうだね!とにかく今日は無心でひたすらリールを回しまくるよ!」
川田君「その意気だ!!」
そして、僕らはいつものように、無事に狙い台を確保し、打ち始めた。
午前中はあまり調子が良くなかった。
幸い現金を入れたのは、5千円だけだが、なかなかコインが増えなかった。
しかし、昨日の僕とは違った。
師匠に言われた通り、無心でひたすらリールを回し続けた。
どれだけハマっても動じない”忍耐力"を手に入れていたのだ。
その甲斐あってか、昼休憩を挟み、
13:00を過ぎた頃、僕の台が爆発した。
あまりの爆発ぶりに周りの目線が怖かった。
常連さんにも話しかけられた。
常連さん「昨日は散々だったもんな!今日は出て良かったな!ハッハッハ!!」
師匠も何度も経験があるらしいが、たまに台が壊れたように出る時がある。
それが確率の"偏り"だ。
設定6を遥かに上回るぐらい出る。
1日で1万枚出たりするのだ。
1万枚と言えば、等価交換のお店だと20万円だ。
それが、1日で手に入ってしまう。
だから、スロットはなかなか辞められない人が多いのだ。
この日は、まさに異常だった。
昨日のREGラッシュが嘘だったかのように、BIGのラッシュ。
自分でも怖くなるほど、爆発したのだ。
19:00の時点で1万枚突破。
さすがに怖くなって師匠のところに行った。
すると師匠は意外な発言をした。
川田君「1万枚?マジ?出し過ぎでしょ(笑)もうやめてもいいんじゃない?」
僕「あれ、意外!師匠なら"無心で打て"とか言うかと思ったのに。」
川田君「それは確率通りに出てない時!今は違う。確率以上に出てる。むしろ出過ぎてる。もうこれから打ってもこれ以上増えないかもしれないよ?だんだん元の確率に収束していくでしょ?そしたらまた偏りがくるかもしれない。設定6と確定してるなら、打ち続ける方が良いかもしれないけど?」
僕「計算してるけど、設定6ではなさそう。」
川田君「ならもう辞めてもいいんじゃない?もしかすると設定3だったかもしれないよ?そしたら、どんどん減って行くし。俺ももう5千枚出たし、辞めようと思ってたところだよ!俺のも設定6ではないみたいだし。設定6でないなら深追いする必要ないでしょ!」
僕「そうだね!じゃあもうやめとくよ!二人でご飯でも食べながら今日の反省をしよう!」
そういって、僕らは二人同時に換金し、松屋で牛丼を食べた。
閉店間際、再度パチンコ店に戻り、データを収集した。
その際、僕が打っていた台のデータを見ると驚いた。
僕が辞めた後、誰かが打っていたらしいのだが、
全く出ていなかった。
それどころか、大きくハマりまくり、
当たり回数がほとんど増えてなかったのだ。
川田君「まぁこういうことになるよね(笑)」
僕「やめといて良かった(笑)」
川田君「あっ、でも勘違いしないように言っておくけど三田君が打ち続けてたら、結果は違ったかもしれないよ?人が変わると流れも変わるでしょ?見た事無い?めちゃくちゃハマってた台が、人が変わったら急に吹き出したところとか?だから、三田君が打ち続けたからといって、ハマったかどうかは誰にもわからない。ただ、まぁこれだけハマったって事は、やっぱり設定6ではなかったっぽいね。」
「確かに今までハマってたのに、人が変わったらいきなり当たる台って結構見る気がする。そういう事情があったのか。スロットって奥が深いね。」
川田君「スロットは奥が深いよ(笑)だからこそ面白いんだけどね!なかなか思い通りにならない。だから勝った時は、すごく気持ちがいい。恋愛だって、人生だってそうだろ?なかなか上手くいかないけど、成功した時はすごく快感じゃない?」
「そうだね。全部思い通りになると、すぐに飽きちゃうかもしれないね。その点スロットは毎回違うドラマが見れるし、楽しいのかも!」
川田君「そうそう!話を戻すけど、今日みたいに設定6の確率を遥かに上回るような出方をした台は、ほどほどで辞めてもいいってことだよ!1万枚なんて出ることは滅多にないんだから。」
これは後で聞いた話だが、川田君は昔すごい失敗をしたらしいのだ。
僕が川田君の弟子になる前の話だが、
夕方までに1万枚を出したことがあったらしい。
その時は、1日打つ覚悟で望んだらしい。
そして、設定が6では無い事も、計算によって導きだしていた。
それなのに、川田君は辞めずに打ち続けたそうだ。
まぁ、設定6じゃなくても、設定4以上はあるだろう。
そんな軽い気持ちで、閉店まで打ち続けた結果...
およそ半分のコインを失ったそうだ。
恐ろしい話だが、スロットに絶対はない。
少しでも危ない可能性が残っているのなら、
リスクとリターンを比較し、
少しでもリスクが少ない方を選択するのが、
勝ち続ける秘訣だそうだ。
だから、川田君は僕に辞めるように進めたらしい。
僕は昨日は大負け、今日は大勝ちと、
二日でかなり濃い経験をした。
この経験はこれからのスロット人生で必ず役に立つ貴重な経験だと思った。
そして、昨日の経験をしていたおかげで天狗にならずにすんだ。
勝って兜の緒を締める事が出来たのだ。
昨日の7万円はそう考えると勉強代としては安かったかもしれない。
そう思いつつ、今日は早々に自宅に帰った・・・
これまでの収支
+34万円
<追伸>
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