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14/2/13

今の夫にSTORY.JPを読まれた話(後日談)

Image by Olia Gozha

※この話は、「5年でハイリスク妊娠、中絶、離婚、再婚、出産を経験した私が伝えたい4つの事」の後日談になります。

http://storys.jp/story/7157 …前篇
http://storys.jp/story/7220 …後篇


 STORY.JPに自分のストーリーを投稿した週の、日曜日の朝。

 息子はリビングで、さっそくお気に入りのプラレールで遊んでいる。

 食器乾燥機から乾いたお皿を取りだしていると、勝手口から「あー、寒い寒い」と言いながら夫が現れた。

 外で煙草を吸っていたようだ。

 夫は、自分でホットコーヒーを淹れながら、私に話しかけてきた。

「おはよー。mixiの日記読んだよ。」

「あ、そうなんだ……。」

 私が投稿させていただいた「5年でハイリスク妊娠、中絶、離婚、再婚、出産を経験した私が伝えたい4つの事」は、もともとmixiの日記に書いていたことだ。

 だから私は、今回STORY.JPに投稿したことを、mixiの友人限定公開で伝えていた。もちろん、友人には夫も含まれる。

 mixiに日記を書いたのは2か月ぶりなので、夫の言う「mixiの日記」は、確実にSTORY.JPの話である。

 夫は冷蔵庫から牛乳を取り出しながら、ため息をついた。

「ていうか、お前さぁ……」

 夫は少しムッとしているようだ。

 私は焦った。

 やっぱり今更、元旦那の事を書いたりするのは面白くないか……、


「俺の出番、少なくね?」

「は?」

 予想外の一言に、思わず目を丸くする。


「いやさー、最初にMさん出てきたとき、これ俺かな? って思って、途中で、あ、俺だ!って確信したわけよ。」

「うん」

「だって、Mさん以外全然名前出てこないじゃん。バレバレだよね。」

「……それすると話が更に長くなっちゃうもん」

 それでなくても長いのに……。


「で、あいつと離婚ってなって、いよいよ俺が活躍やな! と思ったら、ささっとはしょられていきなり息子生まれてるし!」

「……すいません」

 夫は、自分の出番が少なかった事を怒っているようだった。

 いやでも、私達の話を書いても、それ単なるのろけ話だし……。

 あ、そういえば。

 私は、ストーリーを書いているときに気になっていたことを、夫に聞いてみた。


「そういえばさ、最初にあの病院を勧めてくれた時に、「知り合いが病気になって通っていた」みたいなことを言っていたよね? あれってどんな病気だったの?」

 当時の私は、自分の事で精いっぱいで、そこまで深く話を聞いていなかった。


「ああ、あれか。確か妊娠中に「サイトメガロ」ってやつに感染したって言ってたけど。そこでしか治療ができないっていう話だった。」

「サイトメガロ……。」

 妊娠・出産経験があるにも関わらず、私は恥ずかしながら、この「サイトメガロウイルス」という言葉を、ここで初めて耳にした。

 それなりに本を買ったりネットで調べたりして勉強していたつもりだったのだが。本当に知らないことがたくさんある事に気づかされる。


 http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/600/124738.html
 http://www.std-lab.jp/stddatabase/cmv-infection.php

 ほとんどの人が乳幼児期に感染し、抗体を作るそうだが、妊娠時に初めて感染してしまうと、胎児に障がいが残る可能性が出てしまうものだそうだ。

 自分が感染したことで、赤ちゃんに何らかの影響が出るのは、つらいな……。


「ぱっぱぁ!!」


 そこへ、息子がててててと現れ、夫と私に交互に抱き着いた。(突進した、の方がしっくりくるかもしれない)


「まぁ、そんなこんなで、彼がここにいるんだなぁ。」

「そうだね」

 夫が息子の頭を優しく撫でる。

 本当に出産は命がけだ。
 生まれた命は、みんな奇跡だ。

 優しくしてもらって当たり前、だとはもちろん思わないけど。

 でも、だからこそ、お互いに思いやりをもって、妊婦さんや、妊娠を望む人たち、お母さんにも接することができればと思う。

 何はともあれ、まずは当たり前の日常に、当たり前にやってくる朝に、感謝したい。

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Image by Jukka Aalho

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