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14/2/12

第3話 絶対見てはいけないもの。【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

Image by Olia Gozha

人生を変えるのはいつも人との出会いだった。




しかも、え?漫画ですか?小説ですか?というくらい、分かりやすいオチつきの出会いがたまにやってくる。




その出会いが本当に人生の角度を思いっきり変えてしまうのだ。




この日の出会いも変わっていて、その日一日ずっと変な日だった。


もう路頭に迷っていた。



まずこの時の説明をすると、時間は2010年の夏頃で、東京で二回目の服の専門学校へ通っていた。



この時の私はもう路頭に迷いまくっていた。



高校を卒業して、服のデザイナーになるという夢を叶えるため、福岡の服飾の専門学校へ行ったあと、そこを卒業して、大阪で念願のデザイナーになった。




まだアシスタントだったけど、デザインの現場で働けるのはとても刺激的だった。




私はいつも、目標を立ててそれに向かって一直線に走るのが好きだった。




多分いつも足りない何かを追いかけていたんだと思う。




そしてたどり着ければとにかく幸せなんだと思っていた!




今回も小学校からずっと夢だった、服の仕事ができたんだ!これはとっても幸せなことだ....!のはずだった。



だけど、何か違った。



刺激的で楽しかったけど、どこかいつも充実感がなかった。



だけどなぜ充実感がないのか、そんなのさっぱり分からなかった。


バイト三昧の日々。


結局1年足らずで仕事をやめて、実家の大分に戻って1年間ガッツリバイトをした。



朝9時から夜7時まで電気屋さんへ



そのまま夜8時に居酒屋へ行き、



夜11時に15分ではや着替えをして裏の居酒屋へ行き朝5時まで働く。






電気屋さんでパソコンを買ったお兄ちゃんが、そのあと合コンで居酒屋を使い、二次会で裏の居酒屋に移動したとき、もうお互い爆笑だった。笑



20時間労働や27連勤なんてザラだった。




本当に必死だったんだと思う。




とにかく目標がなくなったんだ!次を探さないと!




何かを追いかけることが、私のアイデンティティのような、自分を証明する一部になっていたんだと思う。






それをなくすことがすごく怖かった。






それで1年間貯まったお金で、東京のもっと難しい服の学校に通い直すことにした。




で、それがまさに路頭に迷ってる今だった。

絶対見てはいけないもの。



心が違和感を感じてるのに、外ばかりに答えを求めて、そんなの正解にたどり着くわけなかった。



自分と向き合おうとせず猛進していたんだ。努力とはカッコいい言葉だけど、

心を大切にする努力が人生で一番大事なはずだった。



それをすっかり忘れていた。



結局学校で服の勉強をしていてもいつも違和感がつきまとった。






学校はデザインの根本を教えてくれるとてもいい学校だったと思う。



だけどなぜ服のデザインをしたいのか、、と深掘りして行くと、




たどり着いた答えは


"本当の豊かさを知りたい"


だった。






もう服じゃなくてもいいのでは?





この決意が絶対できなかった。


だって7年もかけてやってきたことだもん。


親にはなんて言えばいい?友達の皆には?


それにそれがなくったら私には何も残らない....。

そんな気持ちでいっぱいだった。


どうやって他の仕事をしていくのか、お金を稼ぐのか、ご飯を食べ生活するのか、それも分からなかった。




だから"もう服じゃなくてもいいんじゃないか""本当の豊かさは、本当のやりたいことは他にあるんじゃないか"




という心の声は絶対聞いちゃいけないことになってた。



今までの苦労や、私の証明が全部なくなってしまうから。


私には何の価値も無くなってしまうから。




だから本当の気持ちは全部心の奥の壷に入れたんだ。何十も蓋をして。



絶対見てはいけないもの、それは自分の本音だった。


人生の角度を大きく変えた出会い。


そしてその出会いの日はやってくる。この出会いのおかげで、私の人生は沢山の大事なことを思い出すことになる。


ネジを巻いたコイルを一気に放すように。ぐんぐんと元に戻って行く。


その出会いの序章は東京のある電気屋さんに立ち寄ったことから始まった。



__________________

このストーリーは2015年に書籍化となり、
2019年にベストセラーとなりました。

『あーす・じぷしー はじまりの物語』
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彼女たちは『あーす・じぷしー』という名前で活動中!



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