今回は、真冬の怪談話をしたいと思います。
学生時代のある金曜日の夏、京都に住んでいた僕は、
仲間と学内で、だべっていました。
とある先輩が、
「肝だめしに行こう!」
と言いだしました。
面白そうだから、よし行こう!という事で、
満場一致で決まり、男女10人近くで、
京都の老ノ坂に向かいました。
老ノ坂は、京都と亀岡の間にある、峠の事です。
ここの老ノ坂には、廃虚となったモーテルがあり、
そこで乱暴された女性の霊がいるらしく、
近くにも首塚がある、言わずとしれた、
京都で有名な心霊スポットです。
先輩は、一度来た事があるらしく、
その時は、首塚で、ペッと唾を吐いて来たとの事
今回も意気揚々と、乗り込んでやる!と
息巻いてました。
多分、女の子がいるから、俺は強いんだ!
っていう、オスのアピールをして、
多少、話を盛ってるんでしょう。
老ノ坂に向かう車内で、かわいい武勇伝を
得意気に語る先輩に、女の子たちは、
キャーキャー言って盛り上げるものだから、
先輩も、勢いづいて、無駄にテンション上がってました。
女の子は、盛り上げるために、キャーキャー言ってるのに、
「『コイツ、単純なバカだよなぁ~』」
とウンザリした頃、車が老ノ坂に着きました。
時刻は、深夜0時を過ぎた辺りでしょうか?
真っ暗で、不気味な静けさの山の中、
僕とお子ちゃまな先輩は、先発隊として、
肝だめしルートの下見で、山の中を散策しました。
車を降りて、少し坂道を上がると、
右手に不気味過ぎるモーテルがありました。
あまりの不気味さで、一瞬、足がすくみましたが、
単純な先輩は、後で、このモーテルを、
家宅捜索だぁー!と、テンションMAXです。
すっかりテンションMAXになった先輩が、
僕の耳元で、ここの首塚に、喧嘩上等してやるよ!
と有頂天になって、マシンガントークを炸裂する中、
僕は、この先輩が家宅捜索している間に、
皆で車に乗って、コイツを置いてけぼりにしてやろう!
よからぬ企みを思いつき、ニヤニヤしだしました。
廃虚となったモーテルを抜け、左手に進み、
石段を上がった所に、首塚?御堂らしきものがありました。
イキガッた先輩は、タバコを御堂に投げ込み、
よし、ルートは、坂を上がり、モーテルの中を散策し、
石段を登って、この首塚でフィニッシュだぁー!
と、猪木のモノマネをしながら、
得意気に語るのでした。
春一番みたいな顔しやがってぇ~
事実、春一番に似ているwww

『後でキャーン言わしたるからなぁ』
とほくそ笑みながら、いよいよ肝だめしスタートです!
男女ペアになって、肝だめしスタートがスタートしました!
女の子とペアになった、春一番は、
ますますテンションMAXです!
テンションが、京都タワー並みに上がった春一番は、
首塚に着いたら、首塚に立ちションしてやろうか!
なんて言い出す始末です。
この時、僕は確信しました。
「この男に、天罰を下さなければいけない!」
ただ、春一番に天罰を下す前に、
僕らは、見てはいけないものを見てしまいました。
一組ずつ、廃虚のモーテルを、散策してる途中に、
僕らの前を行く一組が、モーテルの2階から、
ギャ〜!!!という獣のような叫び声を上げるのです。
何事だぁー!
階段を駆け上がり、2階に上がると、
そこには、まさかの女の。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。
ドアを開けたら、目の前に、意味不明で、
不気味すぎる、女の絵が飾られていたのです。

大きな額に無表情で、幽霊みたいなたたずまいの女の絵です。
誰かが怖がらせるために、わざわざ持ってきたのか?
このモーテルの元管理人の趣味なのか?
分かりませんが、不気味なモーテルの雰囲気に
似合い過ぎる絵でした。
よく見ると、部屋は荒らされた後があり、
ここで、何かしらの犯罪があったとしても不思議ではない、
異様な雰囲気でした。
薄気味悪すぎるモーテルに、これ以上関わりたくなかったので、
僕らは首塚を目指すことにしました。
モーテルを出たタイミングで、
春一番が乱入し、何やらガサゴソと荒らしています。
不気味な女の絵を壁から取り外し、割れた2階の窓から
絵を放り投げました。
もう、何でもアリです。
春一番は、家宅捜索じゃ~とわめきながら、
モーテル内をガサゴソと物色し始めました。
春一番以外のメンバーは、全員、首塚に集まり、
「もうこれ以上、この不気味な場所にいたくない!」
「あの絵はヤバすぎる!」
「なんか呪われそう!」
と皆、口々に、肝試しに来た事を後悔しだしました。
僕らは、もう帰ろう!という話になり、
僕は、ここで、春一番放置プレイ作戦を皆に話しました。
皆、春一番のめんどくさいテンションに嫌気が差して、
全開一致で、春一番の放置プレイが可決されたのです!
どういうタイミングで、春一番を放置するか?
頃合いを見計っていたら、丁度、春一番が
モーテルの2階から、おりゃ~と言って、何かを投げつけました。

その何かがコロンコロンと転がり、僕らの足下に転がりました。
何だ?と懐中電灯を照らすと、人の首が転がっていたのです!?
ギャー!!!
皆がマジで叫び、一瞬置いて、それが
マネキンの首だと分かりましたが、
今だ!という皆のテレパシーが伝わり、
一目散に車に走り出しました。
車に乗り込んだら、
「よし、このまま、春一番を放置だあ~!」
と、仲間の1人が叫び、
(今、思えば、このタイミングで、
春一番のモノマネで、だあ~と叫んだら、
もっと面白かったwww)
車でモーテルの所までわざと近づいたら、
春一番は、自分を迎えにきたと思い込み、
調子に乗って、手招きしながら
マネキンの首を、僕らの車に投げつけて
きたのです。
「よし、今だ!」
アクセルを全開で振みこみ、急発進です。
春一番は、血相を変えて、

おい!待てや!と全力で走り出します。
途中で、わざと車のスピードを緩め、春一番が近づいて、
安心したタイミングで、また急発進したら、春一番の顔が、
こんな感じの顔になって、

おい!待てや!
ふざけんな!
↑↑↑↑↑↑
おまえが一番ふざけてるやろ!www
と叫びながら、全力疾走しますが、
車に追いつけるわけはなく、
僕らは、街道の道を左に曲がり、
無情にも、春一番を放置したのです。
クエックェックェークエックェックェー
↑↑↑↑↑↑↑
一応、ドラキュラの真似なんですけど。。。
僕らは、ホントに春一番を放置するつもりで、
街に向かいましたが、女の子たちが、
ちょっと、かわいそ過ぎるでしょう!
「春一番は、根はイイ人だよ!」
と、優しいコトバをかけるものだから、
ドライバーの丸岡が、しょうがないなあと、
春一番救出作戦に向かいました。
僕ら的には、ホントに放置したかったんですけどね。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑
結構、性格悪いwww
でも、途中でコンビニ寄ったり、ゆっくりしてたので、
春一番を放置して1時間ほど経ちました。
もしかしたら、あきらめて、徒歩で
下山してるかもしれない
まあ、その時はその時でいっかあ~
死ぬことはないだろう~
と僕ら男たちは、笑ってました。
で、ゆっくり、車でモーテルに近づいてみると、
春一番が、しょんぼり座っているではありませんか!
僕らに気づいた春一番が、
おお~い!待ってくれ~!

と叫んでいるのに、ドライバーの丸岡は、
相当、性格が悪く、急発進したり、
止まったりして、春一番に車を触れさせません。
2、3回こんな事を繰り返して、ようやく、
春一番を救出することが出来ました。
その時の春一番は、夏なのに、鼻水をたらし、
顔をぐしゃぐしゃにして、
『俺、モーテルでメチャメチャ怖かったんだぞ~!』
と半べそかいてました。

春一番は根はイイ人なので、
僕らも、
「悪気はなかったんだよ~」
↑↑↑↑↑↑
思いっきり、悪気ありまくりだろ!
とか、なんとか言って、背中をさすってあげながら、
ビールを差し出し、涙の美酒に酔いしれたのでした。

もう、ずいぶん昔の話で、かなり悪ノリしましたが、
いい思い出です。
今、春一番は、どこで、何をしているのでしょうか?
でも、単純で根がいい人ですから、
きっと、皆から慕われていることでしょう。
僕も、彼は憎めません。愛らしいキャラクターなのです。
呪われてなきゃいいけど。。。。
春一番のこの顔が忘れられません。
