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14/1/29

母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑥

Image by Olia Gozha

2003年8月24日 last 17 day

日中母も寝てたけど、俺もぐっすり寝てしまった。


俺自身もだいぶ疲労している。



今日の母は寝る時間が多かった。

日中風呂に入ったせいか。

色々試行錯誤して一人で入浴するが、入浴後の体力の消耗が激しい。

ものすごい脱力して、今日は浴槽から自力で出られなくなっていた。


マッサージしてからの方が足が動くので入りやすいとのことだったので、次回があればそうしたい。

それにしても疲れる。

しんどい。

母のほうがもっともっとしんどいんだろう。

見てるだけなのに、見てるだけだからしんどくなるのか。

苦しいだろうな、痛いだろうな、しんどいだろうな。

楽になってほしいと思うのと、まだ生きて欲しいという思いが交差する。




いずれにしても、苦しくとも目を背けず真っ直ぐ向き合う。



これが今の俺にできる最大の看護。


2003年8月25日 last 16 day

母が自分の友人らに最後の別れをしていた。

母は自分の友人や親戚に対して、今まではひっそりといなくなるつもりだったが、それでは残される者に失礼だと考えたようだ。

さいたまに住む母の親友に電話したら大泣きしてた、相手が。

母は相変わらず淡々としていた。

下肢の浮腫をマッサージする度に「うぅ、、、気持ちいい。このまま死にたーい!」と連呼する。

本当にそうしてやりたいとも思う。

本当に苦しそうなときはそうやって看取る事も考える。

別れがいつになるのか。

今はまだ生きてる。

でも、明日はわからない。

それは当たり前のように過ぎる日々の日常の中でも一緒だが、普段は切迫感がない。

「生きてる」と「死ぬ」の間には何があるんだろうか。

何が違うのか。

何が起こるのか。

死んだら何が待ってるの?

死んだら何が変化するの?

何が。何が。何が。


もともと変わらない日常などないのか。

なんだかすごく怖い。


2003年8月26日 last 15 day



なんと昼過ぎさいたまに住む母の友人が来てしまった。

昨日までさいたまにいたのに、今生の別れをするためわざわざ昨日の今日でやってきた。



かなり熱い。


その熱さはなんだか俺の仲間と一緒だ。

今日から日中祖母がきたが、疲れた。

というか、むかついて仕方がない。

祖母の母に対する配慮のない言動が嫌だ。

でも、本当は自分の中にあるやり場のない怒りをぶつけているだけだと思う。

やるせない気持ちを祖母に投影しているのだろう。

そして職場での自分の患者さんへの関わり方で、配慮のない自分の姿とだぶってしまうのだろう。



それをぶつけるのは本当によくないと知りつつも、してしまう。

ごめんなさい。


日中、久しぶりに親友のヒロと電話でひたすらばか話をした。

やっぱりいいね。

笑いが一番元気になる。


明日、明後日、いつまでこのままなのかはわからない。

わからないけど、俺も母も精一杯生きたい。

2003年8月27日 last 14 day



いよいよ調子が悪くなってきた。

もうベット上から動けなくなってきている。

意識も幻覚と現実を行き来してる。

疲れるからもう家に他人は来て欲しくないようだ。

訪問看護も所長さん以外来ないで欲しいとのことで、所長に伝えたらきちんと考慮してくれた。

ありがたい。

祖母とはけんかばかりだ。

祖母の配慮のない様子に腹が立って、注意したことをきっかけに売り言葉に買い言葉で「そんならもう来なくていいよ!ずっと俺が世話するから!」と言ったら本当にそのまま帰ろうとしてた。

なさけない、あと何日も母はもたないだろうに、どうしてそんな行動を取るのだろう。

「あんたは自分の娘とどういう最期を迎えたいのさ」って言ったら、祖母は涙をこぼし 「このまま残って良いかい?」と泊まっていくことになった。

俺も祖母も母が意識がある時間に最後の別れを伝えた。



ベッドで横になっている母に「かあさん、愛してるよ。今までありがとう」と告げた。


母は「私もとってもとっても愛してるよ・・・」と小声で答えた。

そのやり取りにすべてがあった。

そんな気がした。

涙があふれた。

でも、母の眠りを邪魔しないよう声を殺して、涙した。

母はもう涙も枯れ果てていた。


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