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14/1/21

お父さんは白血病、私は出張先で痔瘻になって死にかけたけど今はふたりとも元気です〜発症編〜

Image by Olia Gozha

いつだって病気は突然やってくる

それは確か3年前くらいの事だった。毎年12月の健康診断で、父の結果が異常な数値を示した。そして再検査の結果、白血病との診断が下りる

父も、母も、私もにわかには信じられず。「白血病」というドラマや映画でしか聞いたことのないその言葉を持て余していた。


父の病気ーヘアリーセル白血病

普通の白血病ではないらしい、日本人にはわずか6%くらいしか発症しない欧米型の白血病。

年に2回はアメリカに行く欧米かぶれの父らしい病気だと思った。

それにしたって白血病は白血病だ。血液の癌だ。


父ヤバイ。父オワタ。

母は毎日セカンドオピニオンや日本で有数の白血病研究の先生を調べまくった。サプリや、食べ物もとことん見なおした。


結果あまりいいものも見つからず、父は3週間の入院を余儀なくされる。それまで父は外にでる度に「いやー、実はオレ白血病になっちゃってー」と中学生が初めて骨折したようなニヤケ顔で自慢しまくっていた。


しかし父残念、今回の主役は私である。


いつだって病気と不運は突然やってくる

その日私は新規事業導入のため3日間の東京研修前日だった。朝から晩まで遊ぶ暇もないくらいのみっちり研修スケジュールだったので、東京の友だちには誰も連絡を入れずに、行って、帰ってくるだけの研修で気が滅入っていた。

それでも久々の飛行機ということもあってか、前日から微熱をだし

「遠足に行く前の小学生みたい」


そう言って、会社の皆と笑っていたけれど、実はなぜかおしりも痛かった。出産を経験した女性なら1/3はなると言ってもいい「痔」…もちろん私も出産後薬で治した経験有りだ。

出産はそれくらい大変だということを男性はもっと知った方がいい。下半身ズタボロだぞ。


で、今回も「やれやれ再発しやがったか…」程度の認識で、念の為にいちじくの形をしたアレを旅行かばんに忍ばせていた。


しかし東京についてからも一向に微熱とお尻の痛みが引かない、いちじくのアレも全然効かない。おかしい。いちじく効かないとかありえない。

普通「痔」っていうのは立ったり、座ったりするときに痛みを伴うのだが、何をしていても痛いのだ。立とうが、寝ようが、息をしていても痛い。


ふと以前2chで読んだ「痔をなめているとこうなる」というスレが頭をよぎった。

http://2r.ldblog.jp/archives/3766077.html

※痔瘻って全く意味分かんないという方はぜひご一読下さい


切れ痔がヒトカゲみたいなもんで

イボ痔がリザードみたいなもんで

痔瘻はリザードンみたいなもんです


そのフレーズが頭をよぎるが「いやリザードンはないだろ、リザードンは」と考えないふりをした。ちなみにポケモンはやったことない。

私の病気ー痔瘻

痔瘻っていうのは世間一般的に知られている痔とはちょっとレベルが違う病気だ。ヘタしたら死ぬ。

要は排泄の際に汚れが体内に引っかかり、そこからその汚れが化膿し、肉を侵食していくというなにそれエイリアン?な病状である。


しかも肉を侵食した結果、体外(尻の穴以外の部分)に穴が空いて膿が外にでるならまぁ、すぐ「痔瘻だーーーー!!!!」と気がつくのだが


TOKYOというハイセンスな地で尻に穴を空けるわけにはいかない…!!いかないんだ…!という私の気概を汲んだのか、私の身体は、体外に穴を空けなかった。


素晴らしきかな私の身体は、1滴も膿を体外に出すことなく、その代わり体内に蟻の巣状に穴を空けていったのだ…


私ヤバイ。私オワタ。


しかしこの地はハイセンスTOKYO、たとえそうであったとしても痔瘻かも知れませんだなんて、口が裂けても言えない


私は3日間の研修を耐えた。脂汗まみれで耐え、3日目にはもう痛みでわけが分からなくなって、何度駅で「お荷物もちましょうか?大丈夫ですか?」と声をかけられたか判らないくらいの状態になっていた。TOKYO人は優しいね。


帰りの飛行機は座っていられなかったので、客室乗務員さんに「骨折して座れないので空いている席で横にさせて下さい」と言って横にならせてもらった。

やっぱり説明しづらい時は鉄板の骨折ネタ。学校の部活休みたいときにも持ってこいである。


熊本に戻ったのは21時だった。もう病院も空いていないし、子どもたちにも会いたい。仕方がないからと痛みを押して家に帰り、次の日の朝一番に病院に行くことにしたけれど、もちろん痛みで眠れはしなかった。


人生初の肛門科

もうね、肛門科っていう響きと漢字の字面からしてヤバイ。

肛門とかどっからどう見ても肛門だもん。もうちょっと恥じらおうよ!隠語とか使おうよ!菊科とかさ!!

そんな屈辱を感じながらフラフラと肛門科に行き、「すいませんどうも4日前くらいから痔瘻みたいなんで見てもらっていいですか」と受付に訴える。

非常に人気の病院(それもどうかと思う)だったので、待ち時間がものすごく長いのだが、どっからどう見ても顔に死相が出ており恥も外聞もなく「痔瘻」と訴える女性に恐れをなしたのか、優先的に病室へ通してもらった。いいとこだ。ここはいいとこだ。


まぁ、言うても肛門科ですから、見ますよね、そこしか診察するところないですよね。しかしこちとら4日前から体中に膿がたまっておりまして、そこに至る以前に手を当てるだけで大絶叫級の痛みなわけです。

しかし先生容赦無い。


医者「内診しないとわかりませんからね」


いやわかるよ。患者が痔瘻だっつってんだから痔瘻だよ


医者「ちょっとだけ、ちょっとだけですから」


そんな思春期の男子みたいなこと言わないで下さいよ痛い痛い痛い痛い無理無理マジで無理無理


文字だけだとうら若き男女の初体験のようですが思い出して下さい。肛門科です。


案の定痔瘻でした。ステージ4、ちなみにステージ5は死です。


緊急入院です。3日間の出張後すぐだったので仕事溜まりまくってます。恐る恐る会社に電話をして、社長を呼び出します



村上「あの、社長、すみません、緊急入院です。」

社長「は?なんで?」

村上「えーとですね。痔瘻です」

社長「二郎?」

村上「いえ、人名ではなくて病名です。お尻に膿が溜まりましてそれをすぐに取り出す手術をしないと人命がやばいんです。」

社長「入院すんの?」

村上「はい」

社長「オレも入院するのに?どれくらい?」

村上「ちゃんと治すなら2週間…いや3週間って医者が」

社長「いや無理だろ、子どもたちどーすんの、仕事どーすんの。社長も専務も1ヶ月近くいないってダメだろ」


※ちなみにですが社長は白血病を宣告された私の実の父です

仕方なく先生に交渉することに。



村上「先生、とりあえず応急処置って可能ですか?」

医者「そんな悠長なこと言ってるとホント死ぬよ?」

村上「しかし家族と社員がまっているんです、いきなり2週間は無理です!一時的に膿を取り出して、その後落ち着いたらちゃんと入院しますから!なにとぞなにとぞ!!」



まかり通りました。日本バンザイ。医者バンザイ。


しかしこの応急処置がえげつなかった。もうコレ書いたら私女子としては生きていけないけど次回書きます。もう私のことはハニワか何かだと思って下さい。

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