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14/1/12

先生が「詩を書こう!」と言ったから ①

Image by Olia Gozha


はじめまして。都内でテレビ関連の仕事をしているハタと申します。
何となく興味を持って、ことあるごとに覗いてきたSTORYS.JP。

みんながストーリーを持っているのキャッチコピーに甘んじて、自分の文章を載っけてみたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。



先生と出会うまで


僕は埼玉県と東京都のちょうど境目、まさに田舎と都会の中間、ドーナツの「実」の部分で育ちました。住宅地と野原が混在するその町は、とにかく穏やかなものでした。

そんな環境で何にも邪魔されず、一人っ子で育った僕。やりたい放題を地で行きます。

ある時、自分で作った紙粘土人形を、先生が撮影するビデオの前で発表していく、という工作の授業がありました。

同級生が恥ずかしそうに、まだ物珍しかったビデオの前で発表していく中、僕は自分の人形を腹話術のようにして、演じました。

さらには自分の番が終わった後も、その場にとどまり、後に続く同級生達の紙粘土人形を紹介し続ける有様…。

その頃大好きだったテレビ番組のナビゲーターの体だったのだ思います。とにかく、出しゃばり、はしゃぎたがりの、めんどくさいガキでした(ビデオ確認済)


先生との出会い


そんな自己愛の強い僕が、小学3年生の頃に出会ったのが、オオツキ先生です。

教育実習を終えたばかりの新任の女の先生でした。他のクラスの妙齢の先生と比べて、若い女性。それだけで「あたり!」と思っていたものです。

ある日、そのオオツキ先生が帰りの会で僕らに提案したのが「毎日、帰りの会の10分で詩を書こう!」という事でした。

子供なりの怒号や野次が飛び交う中、全く意に介さず、テキパキと細長い紙を配りだす先生。


僕らも次第に静まり、まるくなった鉛筆を走らせます。中には「何書いてるの?何書けばいいの?」と覗き込み合う同級生もいました。

あっという間に10分が経ち、後ろの席から回収していく僕ら。その姿を見ながら教壇の前で、先生はニコニコしていたのを覚えています。

次の日の帰りの会。僕は衝撃を受けます。



オオツキ先生「昨日、みんなに書いてもらった詩の中で、先生がいいなー!って思ったものを発表するよー!」


ざわつく僕ら。一瞬の静寂の後、ゆっくりと詩を読み上げる先生。





最後に作者の名前を付け加えると、誰ともなく起こる拍手。隣には顔を真っ赤にしながら喜んでいる同級生。

「ナンダコレハ!」


心の中で叫ぶ僕。

読まれた詩の内容は他愛もない、ただ今日あった事だと思いますが、僕はここであることに気付くのです。

この活動でオトナに認められる、同級生の注目を集められる、賞賛の的になれる…


次の日から詩を書くことに夢中になるのです。


続く。


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