top of page

14/1/16

先生が「詩を書こう!」と言ったから ②

Image by Olia Gozha

小学生3年生の僕が給食や昼休みのドッチボール以外に夢中だったことは、その当時の担任、オオツキ先生が提案してくれた「詩を書くこと」でした。

家に帰る前の10分間で課題に挑み、次の日には優秀者の発表。


シンプルなライフサイクルは、子供を魅了するルールとしては、十分だったかもしれません。他の同級生も、しばらくすれば、もう文句も言わず、黙々と書いていたものです。


そして自己愛が強く、あらゆる意味で「やらしい」ことばかり考えていた僕は、何とか先生に自分の詩を選んでもらうため、いくつか作戦を練りました。


僕の作戦

心の中の僕①「とにかく長文を書いて、一生懸命さをアピールする(努力・真面目作戦)」

心の中の僕②「一人の友達を深彫りして、仲の良さを伝える(具体性・一点集中作戦)」

心の中の僕③「その日あった喧嘩や諍いの一部始終を詳細に書いて、オトナに惨状を訴える(正義・ジャーナリズム作戦)」

心の中の僕④「多少の嘘も交えながら、笑いをとる(コント・漫才作戦)」


…など、日々読み上げられる同級生の詩を聞きながら、先生に選ばれる傾向を探りつつ詩を書き続けていました。



先生が好きな話のオチは何か。


先生が好きなフレーズはどんなものか。


先生はどんな「ショウガクセイ」が好きか。




常にニヤニヤしている10歳児。・・・不気味なもんです。

しかし、その甲斐あってか、何度か自分の詩が読み上げてもらえました。





「え・・・あれ、もしかして、これ、僕の・・・?」(ニヤニヤ)

「やめてよー!先生」(やめないで)

「ちょっとー!やだなー!はずかしーなー!」(白々しい)





演技も半分に、本当に嬉しかったのを覚えています。

自分の狙い通りのポイントでオトナが誉めてくれる!
これ以上の気持ちよさは、当時の僕にはなかったと思います。偉そうに言えば、子供ながらにオオツキ先生の琴線をつかんだ気でいたのかもしれません。

オトナはチョロい


結局のところ、当時の僕はオトナをなめていたのでしょう。特に教育実習を終えたばかりのオオツキ先生に対しては。

常に一生懸命で、感情豊か。休み時間に楽しく遊ぶ時も、大きな声で叱る時も、他の先生より全ての所作がおおげさでした。

その上、他のクラスではやらない「詩を書く」ということも提案してくれる。
何か大きなものに挑戦しようとしている。

そんなことが伝わってくるオオツキ先生が、僕は好きでした。


そして、僕の「やらしさ」は、オオツキ先生に好かれるショウガクセイを演じることに終始していったのです。







そのことが、少しだけほろ苦い思い出に繋がります。



続く。


PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

忘れられない授業の話(1)

概要小4の時に起こった授業の一場面の話です。自分が正しいと思ったとき、その自信を保つことの難しさと、重要さ、そして「正しい」事以外に人間はど...

~リストラの舞台裏~ 「私はこれで、部下を辞めさせました」 1

2008年秋。当時わたしは、部門のマネージャーという重責を担っていた。部門に在籍しているのは、正社員・契約社員を含めて約200名。全社員で1...

強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話

学校よりもクリエイティブな1日にできるなら無理に行かなくても良い。その後、本当に学校に行かなくなり大検制度を使って京大に放り込まれた3兄弟は...

テック系ギークはデザイン女子と結婚すべき論

「40代の既婚率は20%以下です。これは問題だ。」というのが新卒で就職した大手SI屋さんの人事部長の言葉です。初めての事業報告会で、4000...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

bottom of page