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14/1/15

いじめとひきこもりから映画監督に(6)

Image by Olia Gozha

あの伝説の管理人さんが現れた!

この時の衝動は、街中で芸能人に遭遇したかのような驚きと緊張でした。いつものように明け方までチャットをやっていた時に、ICQ(って皆さん判りますか? 世界で草分け的な存在のオンラインメッセンジャーです、今で言うLINEみたいなやつです)に管理人さんが現れたのです。

声を掛けてもいいのか、失礼なのか、そんなドキドキが。

時間は、やはり深夜2時。忙しいことで有名な管理人さんと話せるチャンスが目の前にある。この機会は逃したくない、と、ドキドキしながら、当時の私は彼のアカウントをクリックしたのでした。


19歳のおいら「初めまして。」

管理人さん「初めまして!^-^」

19歳のおいら「あなたのチャットによく遊びに行っている者です。」

管理人さん「ああ、君ね。よく知ってるよ。毎日遊びに来てくれてありがとう! オザケンとかが好きなんでしょ?^-^」

19歳のおいら「え? なんで、チャットに参加してないのに判るんですか?」

管理人さん「ははは。管理人だからね〜^-^;」

19歳のおいら「すごくこのチャットが大好きなんです。」

管理人さん「ありがとう! 嬉しいよ^-^」

憧れの人とメッセージを送り合っている時間は、文字の一つ一つを打つのが緊張の連続でした。いろいろと訊きたいことがあったのに、こういう時には話したいことが出てこないものです。ただただ、このチャットを通じて沢山の仲間が出来たこと、そのことに「ありがとう」を伝えたかったのです。

管理人さんはBBS(掲示板)にレスするのと同じように温かく、優しい言葉を返してくれました。末尾には必ずと言っていいほど、顔文字が掛かれていて、彼の優しさを表しているようでした。

管理人さんは、彼の口から初めて、深夜まで遅くバイトをしていることを教えてくれました。2000年当時の彼がこの時教えてくれたのは、将来サーバー会社(SNSのような会社? 多分mixiみたいな会社を言っていたんだと思います)を立ち上げたくて、その資本金を蓄えているということも教えてくれました。まだ20歳の彼が社会や将来に向けて、学生の枠を外れてこんなにも熱心に物事に向き合っていることにとても感銘をしました。

私がチャットで遊んでいるログ(履歴情報)も深夜バイトから帰って来たら全て見返しているのだそうです。だから、私や他の仲間の会話は全てお見通しで、そんなことも知らなかった自分は、この管理人さんが魔法使いのような存在に思えたのでした。

管理人さん「そういえば、君、σ^-^と同じ学校何でしょ?^-^」

19歳のおいら「え? 本当ですか?」

管理人さん「早稲田だよね?^-^/」

19歳のおいら「どうして知ってるんですか?」

管理人さん「チャットのログを見てるからだよ^-^; あ、ログって履歴みたいなやつネ♪^-^」

19歳のおいら「そうです! プロフ見ましたけど、管理人さんも早稲田なんですよね?」

管理人さん「そうそう^-^ 何かのご縁だから、今度大隈講堂で会おうよ〜^-^/」

19歳のおいら「え?」

管理人さん「昼飯をご馳走してあげるよ^-^」

自分の命を救ってくれた人と会うことができる

このチャットに来る前は、自分は生きている意味なんて全くない、明日死んでも構わない、そう思っていましたが、このチャットで仲間たちが出来て、OFF会で朝までどんちゃん騒ぎをして、肩書きや身分関係なく、ぶっちゃけ話が出来て。自分を救ってくれたのはこのチャットがあったからで、そのチャットを生み出した憧れの人と会うことができる。

19年間生きてきて、こんなにも嬉しくてこんなにもワクワクした経験はありませんでした。小さい頃から大人や社会のことばかり考えて、早く大人になりたかった、早く仕事がしたかった自分にとって、学生でベンチャー企業を建てようとしているこの管理人さんのパワーや才能にどこか惚れていたところがあったのだと思います。

いじめられ続け、自分の好きなこと、思うことを素直に話せる友人や先輩が小中高と全くいなかった自分にとって、初めて先輩ができた感覚を、この時感じたのでした。

19歳のおいら「是非、伺います!」

こうして、私は常連となった人気サイトのチャットの管理人さんと一週間後に会う約束をしたのでした

会う約束の日。その数日前……

管理人さんと会う日を毎日、毎時間楽しみにしていたある日、いつものようにチャットをしていた私のところに、突如思いがけないビックリするコメントが届いたのでした……。

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