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13/12/2

日本語が通じないド田舎で生まれた猿が、気がついたら東京でニートになっていた話

Image by Olia Gozha

の降る夜だった。

一人の若い男が、白桃の缶詰を持って、ブーユー病院に駆け込んできた。

病室に駆け込むと同時に、甲高い声で泣く猿のような物体と、疲れた顔をした女が目に入った。

男と女は、寄り添いながら良く泣く猿を笑顔で見つめた。

サルには髪の毛が全然ないのだ。

ルーペでじっくり見たいと思ったが、ふと、女の家に電話をかけなければならない約束を思い出し、病院の外にある有人の電話ブースへと走っていった。

この街には公衆電話なんて物もないのだが、誰も不便とは思っていないのだった。

--------

「お前は猿だった」

ふと、父の言葉を思い出した。

多分、目の前を歩いている清楚な格好をしたあの女性も、生まれた時は、何一つ身に着けておらず、髪の毛も薄く、思わずルーペで頭を覗きたくなるような猿だったし

横に座っている、ダンヒルのスーツに身を通して、一心不乱にパソコンを見つめている爽やかな男性も、きっとくちゃくちゃした猿だったはずだ。

駅前で拡張器を使って必死に力強く語っている嗜みが良さそうな老人もきっと昔は猿だ。しかも、白黒の世界で。

そんな風に考えると、今目の前に広がっている渋谷の街が、とても公平で素晴らしい街に思えた。

しかし、猿がやがて二本足で立ち服を着ると、全く公平ではなくなるのだ。


そんな事を考えながらボケーッと街を眺めていると、突然、肩を叩かれた。

「にーはお、ニートのけんくん。おまたせしました。」

「今、デリケートな時期なのでやめてください。」


---------

你好·、けんと申します。

突然ですが、僕は、外国人です。付け加えると、ニートです。

仕事探しに疲れ、うつろな目で色々クリックしていたら STORYS .JPにたどり着きました。

折角なので、憂さ晴らしに文章を書きます。

文章を書いたらまた仕事探しするのです。

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