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13/11/11

高校受験大詰めのこの時期にオヤジが失踪した話

Image by Olia Gozha

つい先日、夫婦の間で高校受験の話題になった。

「この時期は受験生は大変だよね!」

「俺の場合、この時期にオヤジが失踪したけどな!」

「へ!?」

そう、それは1988年の秋の出来事。
その年の春頃、オヤジは何人かと組んで会社を始めた。
とはいえ、当時の俺はオヤジがどんな事業を始めたかなんて興味もなく、
「へ~、そうなんだ。」くらいの気持ちで特に気に留めることなく過ごしていた。

そして11月中旬、受験生にとっては、志望校もぼちぼち絞り込んで、
それに向けてスパートを掛ける大事な時期である。
そんな時期に、我が家に事件が起こる。


オフクロ「実は、ここ最近お父さんが帰ってこないんだけど。。。」

「え!?」

どうやら、10月に入ったあたりから、ウチに帰ってこなくなり、連絡も全く取れない状態になっていたようだ。


実のところ、俺の中でその出来事は余りショッキングな記憶としては残っていない。


なぜなら、小さな頃からオヤジと日曜以外に顔を会わせることはほとんどなく、


しかも、中3という親をうっとうしく思ってしまう年頃。


オヤジがいないところで、普段の生活には何の変化も無いからだ。



しかし、すぐに問題は発生する。



金が入ってこない。。。

オフクロはパートをしていたものの、その稼ぎはせいぜい10万程度。


その窮状を如実に語るものがある。


冷蔵庫に食材がほとんど無いのである。


後日談だが、俺の妹はその冷蔵庫を見て、愕然として泣き崩れてしまったそうだ。



が、ここでも俺の中ではショッキングな出来事として残っていない。


なぜなら、当時俺は小食で、食に対しては全くの無頓着であったからだ。



そんな出来事がありながらも、日々は淡々と過ぎていく、


オフクロは金が無いくせに私立を5校も受けさせようとするし、


中学の三者面談で「お金大丈夫なんか?」と聞くと、


「どうにかなる!」という根拠の無い返答。


「まあ、俺が心配しても仕方ないか。。。」と特に気にせず、勉強に没頭した。



そういえば、この年のクリスマスをどうして過ごしたのか、全く覚えていない。


今から考えるとこの状況下で迎えるクリスマスなんて、


切な過ぎて最低のクリスマスとして心に残ってそうなもんだが。


恐らく、冬期講習や受験勉強でクリスマスなんて気にしていなかったのだろう。



その当時、「とんねるずのみなさんのおかげです」、「ねるとん紅鯨団」、「とんねるずのオールナイトニッポン」、「コサキンのスーパーギャング」があれば俺の心は満たされてしまっていたからなあ。我ながら安い男だったのだ。



そんな感じで迎えた大晦日もたいした記憶がない。


レコ大や紅白みて淡々と過ごしていたのだろう。



ただ、元旦の朝の出来事だけは良く覚えている。


朝起きると、なぜかオヤジが帰ってきているのだ。


疲れきっているのか超爆睡をかましていた。


どうではいいと思っていたものの、とりあえずほっとしたし、


その後の家族団らんはほっこりしてた記憶がある。



何年も後になって聞いた話だが、


失踪の原因は、始めた会社でオヤジがやらかしてしまい、


逃亡してしまったようだ。。。



まあ、一件落着と思いきや、


この出来事がその後、数年間断続的に続く修羅場の序章に過ぎないことを知る由も無かった。。。



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