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13/11/24

私が作・編曲に取り組む理由

Image by Olia Gozha

ボロクソに言われた,初めての学芸会

 私は小学校の教師になったその年,学芸会で大失態を演じてしまった。それも,劇と音楽,ダブルでだ。



 私は小学生に,どこまで指導して良いのかが分からなかった。そういう私に対して,先輩教師たちは,手を差し伸べてはくれなかった。いや,私がSOSを発すればすぐ助けてくれたのだろう。私からSOSのサインが出るまでは私のやりたいようにさせる,それが私を育てるのに必要だと思ってくださったのだと思う。当時の私には,先輩方のそんな配慮は分からなかったが。



 劇は『こぶとりやまのおに』,あの名作『こぶとりやま』の後日談だ。脚本に面白さを感じて取り組んでは見たものの,私は何も分かっていなかった。


 体育館で行われる学芸会,劇で最も重要な事は,観客にセリフが聴こえるという,単純なことだった。そして次に重要なのは,かぶりものなどで子どもの顔が見えなくなることはあってはならないということ。



 私は何から指導してよいか,混乱し続けていた。衣装も大したものが準備できず,児童公開日を迎えた。児童公開日というのは,本番の前に,子どもたちどうしで演目を見せ合うというものだった。


 この日,保護者の一人が見に来ていた。『こぶとりやまのおに』を見終わるなり,私の顔をギロッとひと睨みして,「先生,なにやってるか,ぜんぜんわかんねえな!」と言ったのだ。私は凍りついてしまった。


 その後,音楽の発表があったが,その保護者は「今年の学芸会は,だめだな」と吐き捨てるようにいって会場を後にしたのだ。


 私はその晩,悔しくて泣いた。



 学芸会当日のことは,あまり覚えていない。私にとって初めての学芸会は,児童公開日の衝撃が全てだった。惨敗に終わったのだ。


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