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13/11/1

えにしつむぎ 第8縁 『音楽の兄、えぐっちゃん』

Image by Olia Gozha

家族以外で一番近い存在かも知れない、そんな兄貴がいます。プロベーシストの江口弘史さん。いわきにはもう何度も演奏に来て下さっている彼。彼との出逢いは2005年。アメリカはシカゴで大学在住中にプロ活動開始、15年間ブルース界の第一線を走り抜けていた一人。2004年に、ゴスペル界の大御所メイビス•ステイプルのバンドで来日、そのまま帰国となり今に至るまで、真の黒人音楽を熟知するプレイヤーとして周囲の信頼は厚い。私は江口兄さんの音楽に対する美学とポリシー、その音が大好きで、ライヴを追っかけたり、私のバンドではバンドマスターとして頼りにしている本当に大切な存在。初めて逢った時の衝撃といえばその体形だ。背も大きく、アメリカサイズの大巨漢!ショービジネスの本場で生き抜いてきた彼は、歌に関してもはっきりしていて厳しかった。帰国して数ヶ月後に大病を患って、熊のようなえぐっちゃんはすっきりとカッコ良くなった。本場で鍛え上げられたその技術と音楽精神は、言葉での説明は不要。まずその佇まいと音から、誰もが彼を気になってしまう。日本ではミュージシャンを紹介する際に「メジャーの誰だれのサポートで活躍」と添えると食い付きが良かったりする。アメリカではバックミュージシャンという感覚ではなく、個のプレイヤーとしての扱いがある。それは理想だと思う。彼はこの日本でもそのプライドを持ち続ける。読譜も完璧で技能は世界レベル、すぐ即戦力となる彼程の実力者は直ぐにメジャーのサポートでも忙しくなれるはずなのに。彼は自分の音楽の時間を大切にする。私の中に江口語録がある。「とにかく歌の、音楽の事を真面目にやれ。後はそれからついてくる」「一生掛けて音楽に向かえ」と時たま叱咤も交え。彼が私とステージに立ってくれなくなったら私の音楽精神が堕落した時。誰よりも周りを見て人の心の動きにも敏感である彼の音は、温かく力強く繊細。良き関係を一生掛けて紡いでいきたい大切な縁です。結び。

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Image by Jukka Aalho

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