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13/10/20

今はイラストレーター。昔はバリバリ営業職。 その1

Image by Olia Gozha

将来自分のやりたい事がまだわからない人へ

私は、1年程、会社員を辞めて、イラストレーターを始めました。

高校生の皆さんで、まだ、将来何がやりたいかわからず、不安を感じている人たちに、私から言える事があるとすれば、それは

「遠回りしてようやくやりたい事を見つけたけど、遠回りも無駄じゃなかった。」

という事。もちろん、全然偉そうな事は言えませんが、何故私がそう思うのか、私の遠回りについてお伝えしたいと思います。


働いても、稼いでも不幸な私

私は、就職活動をする時、華やかな業界でバリバリ働く事を夢見ていました。

そして、大学を卒業してからの8年間、ずっと企業で営業職の仕事をしていました。大きな会社に属し、夜中までバリバリ働き、営業成績を上げ、お給料もしっかり貰う事が出来て、そう言う意味では学生時代に考えていた夢は叶いました。

でも現状は、自分の体と心が想像以上にしんどかった。

毎日夜中にタクシーで家に帰って、夜中に一人でコンビニ弁当を食べて、休日は一日中ベッドで寝込んで、毎週月曜日から疲れている。外に出かける気にも、友達と会う気にもなれず、バリバリ働けば働くほど、気持ちが枯れて行くような気がして、全く余裕がありませんでした。その上、ストレス発散という名目で沢山貰っているはずのお給料は散財。通勤の定期も買えないほど財布も心もはいつも貧窮していました。

私ってこんなに頑張って一体何を目指しているんだろう? 


この生活はいつまで続ければいいのか。充実しているはずなのに、お金も沢山貰っているはずなのに、不安で苦しい。私は今、自分の人生を全然幸せだと感じていない・・・仕事の移動中、疲れきって老けた顔を地下鉄の窓ガラスに映して、そう思うようになりました。


何につまづいているのか考える

華やかな業界に憧れていた就職活動当時の自分を振り返ってみると、私はあの時「華やかな世界でバリバリ働きたい!」という事だけ考えていて、たとえば

  • 何故その世界がよいのか

  • その業界に入って何がしたいのか

  • 営業職の仕事を通じてどうなりたいのか

  • どういう生活を将来おくりたいのか

など、自分の人生の指針みたいなものがしっかり整理できていなかったのだと気づきました。

もちろん、高校生の皆さんが今の段階で、解っていることはほとんどないと思うので、その点は心配しないでください。私は社会に出て、仕事を経験してみて、初めてこういう目標が自分にとって重要だと痛感しました。

思えば、しっかり整理が出来なかった理由のひとつとして、私は両親の仕事の内容はおろか、いろんな職業や社会の仕組みについて自らしっかり調べたり学んだりした事がなく、仕事を想像だけで考えていました。「大きな会社は安心感があっていい!」「ドラマみたいな華やかな業界って素敵」「営業はなんだかかっこいい!」みたいな漠然としたイメージで仕事を考えていたように思います。もちろん、実際はそんな簡単な事では全くない。そのため、上のような人生の大きな問題を整理するには、あの頃の自分にはあまりにも知識と自分らしい価値観が足りなかったのです。

最近では、テレビでもネットでも仕事で成功している人のインタビューやドキュメントが多くあります。そういうものからでよいので、いろんな仕事やその人がその仕事をし始めた理由などを、高校生のうちから沢山見て、仕事に対するいろんな価値観に触れておくとよかったと、私は思っています。「あぁ、そう言う考え方もあるんだなぁ」と思っておくと、自分自身も視野の広い考え方が出来て、自分の将来を自分で選択・決断する力がついてくると思います。


苦手な自己分析

また、学生時代の自分を自己分析すると、私は当時、何でも広く浅く上手くこなせるタイプだったため、何かにのめり込んで「もう自分が生きていくには、これしかない!」というようなやりがいや強みを見つけた事が一度もありませんでした。そのため、「将来やりたい事」「得意な事」と言われても、うまく考えられない。しかし、それでもなんとなく会社に就職し働き始めた。そのため、ますます、自分にとって「仕事」の事を自問自答チャンスを持たないまま、漠然と毎月のノルマや業務に追われる生活を送っていました。

私にとっては、社会に出て、辛いと感じたことで初めて、過去を振り返って考えるようになりました。皆さんも、今のうちから「得意な事」を振り返って知っておくといいかも知れません。ただ、私みたいに特段秀でているものがない人は、「嫌いな事・苦手な事」を整理して「それが何故得意じゃないのか」を考えているだけでもいいと思います。

こんな事を考えていた期間は、自己嫌悪で、同僚とも仕事の愚痴ばかり、仕事も上手く行かず辛い時期でしたが、私が自分の人生を自分で決断するために必要であった、いい経験と悩みの期間だったと今は思えます。


自分にとっての幸せの定義

激務とプレッシャーに耐えられなくなった私は、本で読んだ事を参考に、ノートに将来の夢を書き出してみる事にしました。今の自分に出来る出来ないを全く考えず、素直にやりたい事を白い紙に書き出すのです。


すると私は自分でも驚くほど、沢山の事をノートに書き綴っていました。文字にするのは、「芸術に触れる仕事」「海外旅行を定期的にする」「海外に住む」「自分で時間をコントロールする」「音楽を聴きながら仕事をする」「おいしいコーヒーを飲む」「美術展を見る」「毎日ちがう場所で働く」「毎年ディズニーランドに行く」「誰かをサポートする仕事」「フリーランスになる」「話題の美味しいものを食べる」など、今の自分の生活では、ほとんど出来ない理想ばかりでした。

何度もこれを一人で繰り返しているうちに、解ってきた事があります。プライベートの事に関して書かれているのは、何を隠そう、どれも学生の頃の自分も思っていたような理想や希望だったのです。


もしかしたら、仕事を優先してしまい、こういう好きな事が一つも出来ていないために、私は自分の事を幸せだと思えなくなっているんじゃないか、と思えてきました。



                               その2に続く


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