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13/10/29

大学中退を決めた日の思い出

Image by Olia Gozha

恐怖のあまり、ぶるぶると手が震える。まるで、自分の手ではないように。まるで、自分の体が自分のものでないように感じ、そして遠い存在に感じる。

それなりに生きていたり、それなりに苦労を重ねたり、それなりに感受性を持っていたりすると、一度や二度は誰しもそんな経験をするのではないかと思います。あ、いえ、私が単に小心者なだけかもしれません。

自分の意思とは関係なく、自分の手が震えているのを見たことはこれまでに数度有ります。初めて震えている自分を発見したのは、退学の意思を伝えようと大学に電話したときの事です。当時ダイヤル式だった電話機の丸い穴と、それ自体が独自の生き物のように動く、自身の手を今でもはっきりと覚えています。


自分「どうして大学を中退したんだっけ?」

大学生の自分「いや、それをこれから書くんでしょ。」

自分「あ、そっか。テヘペロー。」


このstorys.jpでは高校生に向けて「ひとコレ」という企画をされているらしいので、それに乗っかって、大学受験や進学・就職を控えた高校生に向けて、大学中退を選択した人間のstoryでも書いてみようと思います。

もしこれを読むあなたが高校生だとして、仮に大学受験に違和感を覚えていたとしたら、

そんなあなたに向けて。


退学しなければ、堕落すると思っていた


当時、私は大学を卒業してしまうことに強い危機感を覚えていました。と書くと、かなりおかしな話に聞こえるかもしれません。

1972年の6月、後年に第二次ベビーブームと呼ばれ、同年の出生者数は200万人を超えるという時代に私は生まれました。例えば、2014年入学となる現高校3年生の出生者数は118万人だそうです。私の世代の約半分ですね。

また、大学受験者数と、大学の収容率(どこを志望するかは別として、志望する人数に対してどれだけ枠が有るか)を見ると、1993年度(私が大学に入学した翌年度)が約60%に対して、2014年度は約95%だそうです。つまり、どこでもいいからと大学を受験しても、4割の人間は「あぶれ」てしまう、そんな時代でした。

文部省のPDFや、河合塾のwebページなどを参考にさせていただきました。

端的に、競争が激しかったということをイメージしてもらえたらと思います。

高校3年生では理系クラスに居たのですが、目的が合って文系に志望を変えて英文科を受験しました。そして、実は英語が最も苦手な教科だったのに、半年で偏差値を40台前半から70近くにまで上げたりもしました。

有名大学はもちろん、受験競争が激しかった時代に、苦手な英語の勉強に励んで入学し、奨学金制度を利用しながら大学に通っていたにも関わらず、わざわざ退学を選択したこと。それには、もちろん理由がありました。


自分だけのstoryには自分だけのルーツがある


かなり話が逸れますが、先日、シリア支援を行うある団体の方のお話を聞く機会がありました。(って、高校生の皆さんはシリア問題とか学校で習うのかしら?)

ニュースなどでシリアという名前は目にしますが、遠い国の話であり、イスラム圏という、とにかく「複雑な中東」というイメージが強い私にとって、その騒乱はモニターの向こう側、自分とは縁遠い世界に思っていました。

社会の様々な問題、課題というものは遠く海外まで足を運ばずとも、国内にも、そして身近にもたくさんあるわけで、どうしてシリアを選んだのかということに興味が湧きまして、なぜシリア問題に関わっているのか、またどういう経緯で現在が有るのかを質問させて頂きました。

こんな感じです。


自分「世界には色々な問題が有るのに、どうしてシリアなんですか?」

シリア問題専門の方「○△×◎▲○△×◎▲・・・」

自分「あぁ、なるほど、そりゃ確かにシリア、チョーやばいっすね。ところで、シリアに関わった経緯ってなんですか?」

シリア問題専門の方「○△×◎▲○△×◎▲・・・」

自分「なるほどなるほど、シリア支援をするお気持ちを少し想像ができるようになりました。」


あ、すみません。

シリア問題専門の方にご迷惑がかかると申し訳ないので、詳細は割愛させて頂きます。

言いたかったのは、とにかく、その人物の一瞬だけを切り取っても「なぜそんなことをしているのか?」をよく理解できないけれど、その方に訪れた出来事やヒストリー、人柄をお聞きすると、なぜその決断に至ったのかが理解できるようになることがあるということです。

私が手を震わせながら、退学の意思を連絡したのはそれなりの経緯があり、それなりのヒストリーがあり、そんなルーツを辿りながら、自身のstoryを書いてみたいと思います。

あ、つまり、コレ、続きます :-)

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