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13/10/20

偏差値30台から、4年浪人して獣医学科に入学した話 第19回

Image by Olia Gozha

いよいよ本番

とうとう、センター試験当日がやってきました。

寒くなければいいけど。。。

そんな思いと裏腹に、本当に寒かった。京都大学は試験会場が広いので、しんしんと冷える。。。

カイロ・受験票・筆記用具などなど、前日に準備はしてましたが、当日の朝また見直しました。見直しながら、「今年で最後」と繰り返しました。

入試本番のお昼ご飯はなし。その代わり、キャラメル1箱とカロリーメイトとお茶。

いつからかその組み合わせになりました。

たくさん食べると、午後から眠くなるのが嫌でした。


その時は、自分のことしか考えられませんでした。。家族の心配まで気にかける余裕がなかったのです。心のどこかで、私の大変さなんて本当にわかってはもらえないんだろうなぁ。なんて考えていました。


起きて出発するまで数時間、最後の見直しをしていました。

家族が傍にいるのにやけにひっそりしていました。

色々ありすぎた4浪目。夏の肝心な時期を病院で過ごし、体力の回復もままならない状態で受験するので、私だって不安でした。試験時間を全部使えない。試験時間のうちの20分は次の試験に備えて寝て体力を温存しないといけない。そんな状態のまま本番でした。


また合格できなかったらどうなるだろう?

5浪するのか、5浪すべきかどうか?

頑張ろうね。。。なんて言葉すら、私の家族はかけることができなくなっていました。


「行ってくるね。」


と言った私に、家族は「気をつけてね。寒いから。」と声をかけてくれました。

まかり間違っても、「頑張って。」は言えなかったのでしょう。

「わかった~。」

と、返事をして自転車で出発しました。


会場について

会場になる京都大学はテレビ局の取材が毎年恒例で入りました。

京都大学ですから、絵になります。


受験番号を照らし合わせながら自分が受験する教室を探しました。

席につき、必要なものを机の上に並べました。

自分専用に作った間違った問題ばかりを集めたボロボロになった紙の束。参考書やまとめは必要ありませんでした。必要なのはボロボロの紙の束だけでした。

見直しながら、

「これだけ頑張った。できることは全部やった。私が落ちる理由が見つからない。」

そんな風に言い聞かせていました。

周りの受験生を見渡す余裕が出てきました。

「あの人は現役だな~」

「浪人生の典型例だな~」

そんな風に思う余裕がありました。自分でおかしくなりました。

もう、22歳でした。大学に現役で入っていたら、就職が決まって卒業旅行の話なんかして楽しい時期に、ほぼ年下の人たちに交じって受験です。

現役の人の緊張感、受験職人とかした浪人生。。。。

自分も受験生なのに、そんな風に観察して自分に「余裕、余裕。。。」

と言い聞かせているかのようでした。

よしっ!!!

長~い、受験上の注意を聞きながら、ずっと数を数えていました。

そうすると落ち着きました。反対に、数を数えずぼ~っとしていると心配、不安がわいてきそうで嫌だったのです。


問題を配られ、試験監督の方の「始めなさい」を合図にいよいよ問題と対面することになりました。

まず、全問見る。

解ける問題・・・◎

少し考える・あやふやな問題・・・△

わからない問題・・・×

こんな感じで先に分類し、◎を先に解き確実に点をとりに行きました。


問題を見た瞬間に、「よしっ!!!!!」と確信をもつことができました。

解きながら泣けてきました。あまりにもスイスイ解けたから。

・こんなに気持ち良くセンター試験を解けるようになったこと。

・確信を持って解答を選択していること。

・努力が報われるような気がしたこと。

つらかったこと、バカにされ笑われたこと、問題が解けなくて時間が余りすぎた悲しさ、色々なことが帳消しになった瞬間でした。


こんなに解答速報を待ち遠しいと思ったセンター試験はありませんでした。

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