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13/10/10

偏差値30台から、4年浪人して獣医学科に入学した話 第18回

Image by Olia Gozha

北野天満宮へ

北野天満宮は菅原道真公が祀ってある学問の神様です。

実は、行ったことがありませんでした。

受験の前だけお願いに行くなんてむしが良すぎる。。。

それが理由でした。

でも、なんとなく行きたくなりました。京都の冬は本当に寒いのですが、自転車をこいで参拝しました。顔がしもやけになりました。それほど寒かったのです。

お願いしたことは、

「今年で終わらせます。」

でした。よろしくお願いしますとは、やはり願いませんでした。お願いではなく、決意を述べに行きたかったのです。

真っ白の学業守をいただき、大切に持ち帰りました。


実は初めて参拝したので、照れもありました。

「お帰り、どこ行ってたの?」

と聞かれ、

「本屋さん」

と、とっさに答えました。

本当にラストスパート

センター試験まで残り1週間。本当にラストのラストスパートが始まりました。

今回も、試験会場は京都大学。いつも京都大学なので、会場にもなれました。トイレの場所もいまさら探さなくてもよい。悲しいような嬉しいような。

思いつきで、研究室のある建物に行ってみました。狭い廊下をすり抜けるように歩くと大学生や院生が「お疲れさまで~す」と挨拶していく。返事をしないとおかしいので、「お疲れ様です」とにこやかに返す。。。。。。

来年は本当にこんな会話したいと本気で思いました。と、同時にちょっとむなしかったです。。。


雪が少々ちらつく中、自転車をこいで帰りました。

いよいよ明日。


家に帰って問題集をちぎって作った【マイ問題集】を見直し、良く間違える問題や何回やっても覚えられないことばかりを集めて書いた大量の紙きれを見直しました。


晩御飯は何がいい?

「晩御飯は何がいい?」

家に帰ると母が聞きました。

「何でもいいよ」

4浪目になると、何もかもが今さらでした。カツなんてシャラクサイもの本当に今さら。と思っていたら、

「カツにしょうか?」

と言いました。

摂食障害で入院するまで、食べたくてもどうしても食べることができませんでした。母も私が食べたがらない事を知っていて、あえて言いませんでした。

なんとなく、その一言は私の中で母の決意のように思えたのです。

「分かった。頑張らないといけないからね。そうするね。」


母は料理の上手な人でした。おかげで、外食する機会も少なかったです。

作ってくれている匂いや音を聞きながら、私はラストスパートをしていました。

食べなくなって、痩せていく娘を黙って見ていた母の気持ちや、「志望校を変えたら?」と言えない代わりに、私と競うように痩せていった母を思い出したりしながら、ひたすら机に向かっていました。

机に向かうことしかできなかったです。

「今年は家族のためにも何が何でも合格しよう。そして、みんなの憂いごとをいい形で終わりにしよう。」


母がしっかり作ってくれたカツをきれいに平らげました。

母はニコニコしていました。

「きれいに食べたね。」

それだけ言いました。「明日頑張って」なんてことは何も言いませんでした。

大変なことは言わなくても傍で見てきたから分かっている。だからあえて言えない。何も言わない家族の存在がありがたかったです。



 

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