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13/9/16

第四十八話 やり残したことがあるから再び旅立つ 東京都茨城県宮城県編(8月27日)~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと

Image by Olia Gozha

第四十八話 やり残したことがあるから再び旅立つ

神奈川県⇒東京都新宿区⇒茨城県水戸市⇒宮城県仙台市

前回までの補正移動距離 13329.5km
区間移動距離 2000km+α
概算総移動距離 16063.7km+α(終了)

≪神奈川県 某所≫

8月27日AM9:30

 高速バスは、早朝新宿に着き、そして俺は自宅に戻った。

 今まで持ってきた大きなキャスター付きのカバンを置き、カメラとのぼりそして、小さ

なカバンを持って、行きつけの喫茶店へ向かった。

 店員さんが、俺を見て声を掛ける。

「久しぶりじゃないですか?どこいってたんですか」

『ちょっと日本をぐるっと一周ほどね』

「またまた。面白い冗談ばっかり。アイスコーヒーですよね」

『愛情たっぷりのブラックで』

 これが、日常ってやつか。

 29日ぶりに、関東に戻ってきた。

 でも、再び走り出そう。

 おっと、その前に指導に行かなきゃ。

 レンタカー屋で借りた車を運転して、俺は新宿方面に向かった。

≪東京都新宿区 新宿の喫茶店≫

8月27日 PM0:00

 事故による渋滞もあり、およそ30分ほど遅れて、新宿に着いた。

 茨城で、≪自宅ドリー≫をやったバシコさんの就活指導だ。

「ひだかさーん・・・どーなんですか?」

「ひだかさーーん・・・・これは、どうなんですか?」

『あーこれこれ。そう日常だ。日常。』

「ひだかさん、どうかしたんですか?」

『いやいや、こっちのことさ』

 久しぶりに感じた、こういう感じ。

 そうだ、結構こんな感じでやっていたよなというのを思い出した。

 そして、指導が終わり、

『飯食うか』と誘った。

「もちろんです」と答えてくれた。

 これまでの旅のことなどを話し、

『ラスト講義は、現地に飛ぼう』と話した。

 内定を持っている彼女だが、いよいよ彼女もファイナルの時期になってきている。

『ありがとうな。わざわざ来てくれて』

「いえいえ。こちらこそありがとうございます。じゃあ内定先の研修に行ってきますね」

『おう。またな』

 彼女と握手をし、俺は茨城県水戸市に向かった。

≪茨城県水戸市 水戸駅≫

8月27日 PM4:00

 さぁ全国一周でフルコンプリートで写真を撮る。

 これも、いよいよ残すは、茨城県、福島県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、埼玉県

神奈川県、ラスト千葉県となった。

 3日間で、どこまでできるか、移動時間もある。

 かなり難しいことが予想された。

 しかし、水戸駅を歩いていた二人組に声を掛ける事が出来た。

『どうも』

 全国一周を回っていることを告げ、写真を撮って回っていることも伝えた。

 最初は、思いっきり怪訝な顔をされた。

 俺の伝え方が、悪い。

 しかし、彼女達の感受性の高さは、俺の下手なジェスチャーや言い回しを理解してくれた。

 そして、彼女達の夢を聴かせてくれた。

「音響関係のシゴトにつきたい」

 『ライブハウスとかのマネジャとか』

 「そうそう」

 『君は?』

 「ネイリストになりたい」

 『手先をキレイに彩りたいんだ、素晴らしい』

 気が付いたら、膝を突き付け合わせ、会話できるようになっていた。

 ≪世の中の常識≫では、非常識なのかもしれない。

 でも、夢などを聴く術を知らない俺は、こうするしかなかった。

『改めて、もし良かったら、写真を撮らせてもらってもいい?』

「いいよ」



『また、会えるのを夢が実現するのを楽しみにしてる』

「きっとゴールまでたどり着いてくださいね」

「応援してますからね」

 そんな、暖かい声を受けながら、車は一路宮城県の仙台市まで向かった。

 彼女達にお礼のLineを送ったら

 「いえいえ!こちらこそ(・∀・)ありがとうございました!

頑張ってください(^o^)」

 と来ていた。

 膝を突き合わせて、会話することってきっと意味がある事なんだ。


≪宮城県仙台市 仙台駅≫

8月27日 PM9:15

 写真部の高校生と再会した。

 改めて色々と聴いてみた。

「思いっきりツイッターを見てましたよ」

『えっマジかよ』

「結構頑張ってる大人だなって。でもそんな大人嫌いじゃないです」

『大人じゃなくていいよ。大人になれないおっさんさ』

 いつもは、部活で撮影する側。

 彼女の作品を沢山見せてもらった。

「私、賞取ったんですよ。まぁ大きい賞ではないですけど」

『卑下することはないさ。もう賞取るってことは、立派立派。じゃあ俺を撮ろうか』

 

 いつもと、逆。

 前回会ったときも、撮影してもらった。

 建物は、変わらないけれども、少しづつ秋の風が吹いてきた杜の都。

 ピントを合わせながら、彼女は、俺を撮った。

 

『ほいじゃあよぉ。俺にも撮らせろや』

「はい?」

 どうやら、寝耳に水の顔をしている。

『あれだよ。あれ。撮られる側にならねぇといい作品なんてできねぇからよ。課外授業だよ。天才数学者の』

「あー。はー」

『ほら、俺らしさ満載の写真になっただろ』

「どうせ、アップするんでしょ」

『そりゃそうよ』

苦笑しながらも、その行動ひとつ、ひとつが真摯にコミュニケーションを取っていたこ

とを彼女は知っていた。

「ヒダカさんに関われば大変ですね」


 じっくりと、僅かしかない時間の中で、取れるコミュニケーションを取った。

 駅の外の通路

 そこは、≪立派な教室≫であった。


『夜遅くなりすぎてもあれだろうから、気を付けて帰りなよ』

「ヒダカさんこそ、無事に旅を終らせてくださいね」

『また、今度 授業してやる』

「仕方ないですね」


 仙台駅前にあった≪路上の教室≫は、別れと共に、再び幻となった。

 再び、会ったとき、また≪路上の教室≫は、姿を現すだろう。

 再び、会えるその日まで

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