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13/9/16

とある駅で出会った、ダメ高校生とダメ絵描きの12年後 ②

Image by Olia Gozha

毎晩何時間も話せる友達

駅につくと、さすがに夜遅いので人はまばらだった。

夜遅くにプラプラするのはとても好きだったのだが、E君がいることで少し緊張していた。夜の駅周辺をプラプラしながら、ライオン丸の家に向かう。

E君が無口だと思っていた僕は驚愕した。

「エッフェル塔ってさ夏と冬で高さが変わるのしってる?っていうかさ黒ヒゲ危機一髪ってあるじゃん?あれ飛び出させた人が勝ちって説明書に書いてあんだけどw あとイルカってさ海水飲むと病気になって死んじゃうんだってw もう海出ればいいのにwww」

「がははは!E君なんでも知っとるなー!無駄知識ばっかやけど!シュンキ!E君のモノマネも最高やで!」

「いやいやすぐ忘れちゃうんだけどね。モノマネで思い出したけど日本人がよくやるモノマネの一位って誰か知ってる?」

「えー!誰や…ぜんっぜん分からん…えーと…」

「ビートたけし!!!w」

「がはははははっはは!アントニオ猪木か迷ってんけどなぁあ!!www さすがやで」

「(なんなんだこいつら…)」

「いやーこの三人でな!いつか仕事とかできたら楽しいと思わん?」

「皆バラバラのことやってるから無理だろ。」

「何が起きるか分からないよシュンキ!いつかそうなったら面白い。」

その夜は本当に色んなことを話した。

E君はどんな会話でも面白可笑しく話してくれて、ワクワクするような突飛な計画や好きな漫画や本を教えてくれた。

ナチュラルなオシャレが好きでルックスも良いので、当時周囲の女の子達に圧倒的な人気があったのだ。

(ただのガリガリだと思ってた)

現実を否定しながら、夢を語る人は多い。
が、夢を語るかのようにキラキラした顔で、現実の、身近で素朴な面白さを教えてくれる人は珍しかった。

それからの僕達三人は兄弟のように毎日遊んだ。

自販機の前で3時間も話し込んだり、ライオン丸の家で怖い話をしたり、髪を染めたり、男だけでプリクラを撮ったり。


ヒガシで朝を迎えたり喧嘩をしたりしているうちに、成人式が目前にせまっていた。



引っ越し

「引っ越し?」

「そうそう。別に目的とか無いんだけどさ。」

「そんなん言うたら、毎晩遊べなくなるやんけ!」

「俺も大人の階段のぼりたいの!」

「(何言っとるんやコイツ…)」

ちょうど19歳から20歳になる頃、僕はヒガシのある駅から離れた横浜市港南区に移り住んだ。

(引っ越し後は ダメバンドマンの人生がMac一台で180度変わった話 に続く)



ライオン丸、E君、僕はそれぞれ好きなことに夢中になり、あまり会わなくなった。

ライオン丸はニートでラッパー。僕はバンドをやりながらデザイナーに。E君はフリーランス活動後、雑誌の編集部へ。さらには高円寺に引っ越してしまい仕事も変わったりで、連絡することも無くなっていった。



血液型bot

2011年春

本当の友人は何年経っていようが、昨日の続きかのように会話を再開できる。


「これ作ってみたんだけど、どうかな?」

渋谷駅のホームでひさしぶりに会ったE君は、ちょっと自信無さげにiPhoneの画面をこちらに向けた。

そこには血液型botというtwitterアカウントが表示されていた。

フォロワーは200前後

「つぶやきはめっちゃ面白いね!これ広めるの?」

「いやー。。。ちょっとAB型をオチみたいにしてるから怖い人に叩かれたらどうしようかと思って…。」

「いったれいったれ!むしろAB型への愛を感じる俺は。」

「そっか…ちょっと頑張ってネタたくさん書いてみようかな…」


自信の無さそうなE君を見たのは初めてだったかも知れない。

E君は昔からパソコンが好きだった。もちろんネット上の動向をチェックすることも好きで、今回はbot(あらかじめ書いたつぶやきを自動的に投稿するシステム)を作ってみたということだった。



そのまま数分電車に乗り移動していると、急にE君がビックリした顔でiPhoneを見せてきた。

画面には、先ほどの血液型botが表示されている。

「ん?新しいネタでも書いた?」

「シュンキ…フォロワーが…!」

「…!さっき200くらいだったのに…!」




数分間電車に揺られている間に、血液型botのフォロワーは3000を超えていた。

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