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13/9/8

大学生が、たった3か月で500万貯めてドイツ製最高級車のBMWを買ったのに、2週間後にクラッシュして300万の請求が来た話

Image by Olia Gozha

これは友人JUNの語であり、JUNの言葉を僕(Makoto)が文字に起こしたもので
す。

前回は、憧れのドイツ製最高級車BMW M3の納車までのSTORYでしたが、

今回は

「成功の足音が聞こえ出した時が一番危ない」

そんなお話です。

カッコよく言えば、そんな教訓になりますが、

一言で言えば、

「大きくやっちまった話」

です(笑)


【最高の車だったBMW M3】


22歳3月、もう大学の授業もなかった俺は、

納車されたBMW M3に毎日ひたすら乗っていた

子供の頃に初めてミニカーを買ってもらった時の様な興奮で、

近所のコンビニでさえ車を走らせ、家から徒歩10秒のコンビニに行くはずが、

気が付くがつくといつも車で30分のコンビニにいた。

漆黒のボディに赤皮のシート、大きなホイール、という外見に、

五感の全てをかき立てられる官能的なエンジン音、

コンビニに駐車した自慢の愛車を見て俺はニヤけっぱなしだった。

3日に1度はガソリンスタンドに行き、この月のガソリン代は10万円を軽く超えた。

自分で給油するセルフスタンドの方が安いにも関わらず、
わざわざスタッフが給油してくれるスタンドに行って
給油されるM3を見てニヤニヤしていたのだから、今思えば恥ずかしい笑

ニヤニヤが止まらない俺

初めてのドイツ車は、左ハンドルに加え強烈な馬力に慣れないことの連続で、

普通に走るだけでも手に汗握る事が多かった。

まさに「じゃじゃ馬」である。

しかし俺はこのじゃじゃ馬が可愛くて可愛くて仕方なかった

Makotoとも仕事終わりに良くドライブに出かけた。


左が俺のじゃじゃ馬M3、右がMakotoのRX-8

常に楽しげな俺を見て、彼自身も嬉しそうだった。

「目標を決め、それに対する道筋を作り、最短で達成する」

22歳の俺にとって非常に貴重な経験だった。

M3の購入にあたって、ディーラーでの契約に際する細かな詰めや、
保険まわりは全てMakotoがやってくれた。

人生初の大きな買い物を目の前にしてあたふたしていた俺は、
冷静に事を進める彼を見て、
こいつなんでこんなに知識があるんだろうか?

と不思議に思ったくらいである。

保険契約時に

「絶対に車両保険は追加したほうがいいい」

そう頑なに言うMakoto。

今まで事故など起こしたことがない俺は、保険料の高い車両保険に入るつもりはなかったが、

彼が強く勧めるめるので、月々3万という安くない金額ではあったが車両保険にも加入することにした。

(車両保険に入らない場合、自分で起こした自損事故では車の修理代は全額自己負担になる。

車両保険に入ることによって自分で起こした自損事故でも保険がおりるが、月々の保険料が増える上に22歳という年齢の低さとBMWの車体価格の高さで割高になった)

この時の彼の言葉に、俺はわずか2週間後とても感謝することになるとは、

当時非常に浮かれまくって地に足のついていなかった俺は知る由もなかった。


【雨、スリップ、そしてクラッシュ】


納車から2週間後の週末深夜、俺は1人お台場にいた。

冬が明け、春の風が吹いていた夜、先ほどまで降っていた雨も上がり

少し霧がかった、幻想的な夜景が目の前に広がっていた。

音楽は流さず、窓を全開にしM3のエンジンサウンドをバックミュージックに

俺は自分の最高の時間に浸っていた。

「次は素敵な女性を助手席に乗せて来たいな」

そんな事を考えながら、アクセルの一踏み、ブレーキの一踏みに神経を研ぎ澄まし、

このM3との会話を楽しんでいた。

時間は午前0時をまわった頃、風もやみ静寂をの中を切り裂くM3のエンジン音。

この空間に完全に心酔していた俺とM3は人気のない交差点に差し掛かった。

その時だった。

突然後輪が交差点の水たまりでスリップした。

「あっ!」

そう思った俺はとっさに急ブレーキを踏んでしまった。

「ヤバい!」

ますますスリップするM3

目の前の景色は一瞬にして変わり、

そこに広がるのは幻想的な夜景が続く道路ではなく、

「縁石」

だった。


車高の低いM3に縁石は致命傷だった


なすすべもなく俺とM3はけたたましい衝撃音と共に、右前輪から縁石に突っ込んで跳ね上がった。

「終わった」

これが咄嗟に出た俺の一言である。

こうして納車からわずか2週間でドイツ製最高級車BMW M3は、

俺と共にクラッシュしたのだった。


【じゃじゃ馬との別れ】


どの位の時間が経っただろうか?


時間にして1分も経っていないだろうが、

ハンドルを握ったまま俺は呆然としていた。

正気に戻り車を降り、状況を確認する俺。

場所はお台場とはいえ人気のない奥地、

とにかく人を巻き込まなくて本当に良かった。

俺は心からそう思った。

降りて車を確認すると、車体右部分がおかしなことになっていた。

縁石にぶつかり大破したバンパー、衝撃で外れそうになっている右ドア、

そして右前輪のタイヤは直角に曲がっていた。

再び乗って帰るのは不可能だなと一瞬で察した。

ひとまずMakotoに電話する俺。

Makoto「あっどーもおつかれっす!」


電話に出た彼の声は、俺のテンションとは裏腹に爽やかだった。

振り絞って出た俺の第一声は

「事故った」


これしか言葉が出なかった。

Makoto「えっどうした?事故!?」

Makoto「自損?もしかして対人??とにかく大丈夫???」


そんな感じで矢継ぎ早に質問をかぶせ、それになんとか答える俺。

Makoto「ひとまずまず警察呼んで!場所はGoogleMap見れば住所わかるでしょ。」

Makoto「次に保険屋、ダッシュボードの中に車検証と一緒に保険屋の番号入ってるでしょ。」

Makoto「あっ自走出来ない旨伝えてレッカーも要請してね。」


時間は深夜だ。

レッカーは1時間以上かかるとのことで、

迅速に駆けつけてくれた警察の方に事情を説明して事故処理をしてもらう俺。

「就職も控えた身で俺は何をしているんだ。」

そんな自問自答し、

「誰かを巻き込まなくて本当に良かった」

そう心から思った。

30分後、レッカー車よりも先にMakotoがあらわれた。

深夜の1時過ぎにも関わらず駆けつけてくれたのだ。

その後レッカー車が到着し、無残な姿でレッカー車の荷台に載せられるM3。

事故調査も終わり、レッカー車を見送り、

「なんてことをしてしまったんだ」

そう落ち込んで無言な俺をMakotoは車に乗せ、

Makoto「遅いし今日は帰ろう」


その一言だけを言い、帰路についたのだった。



【修理代金300万円!?】


念願のM3を納車からわずか2週間で失った俺は、失意のどん底にいた。

「自分が悪いとはいえ、なんてことをしてしまったんだ」

そんな思いが浮かんでは消え、浮かんでは消えと頭の中を無限ループしていた。

当時の俺は半ば自暴自棄になりかけていたが、頻繁に出かけようと声をかけてくれたMakotoや、卒業記念に思い出作ろうよと何度も遊びに誘ってくれた友人達に救われた。


4月に入り、社会人になる俺は入社の準備が慌ただしくなり、

目まぐるしい忙しさが少しずつ俺の心のスキマを埋めるようになっていた。

そんな満開の桜が散り始めた頃、俺の携帯に1本の電話が鳴った。

自動車保険会社からだった。

保険会社のお姉さん「この度修理代金の見積もりが上がってきまして、えー、金額がさんびゃくまんとんで・・・」


「えっさんびゃくまん!?」


保険会社のお姉さん「はい、さんびゃくまんとんでごまんはっせんろっぴゃくきゅーじゅーにえんです。」


「えっ300万!?!?」


もう300万という言葉がひとり歩き状態です。

保険会社のお姉さん「はい、ですから3,058,692円になります。」


唖然とし、とっさに出た言葉がこれ

「すいません、俺そんなお金払えません。廃車にしてください。」


すると保険会社のお姉さんが少々イラッとした口調で切り返す。

保険会社のお姉さん「いや、ですから何度も言おうとしているのですが、安田様は車両保険にご加入しておりますので、保険免責額の10万円のお支払いになります。」

「しゃりょーほけん?ほけんめんせきがく??」


もうね、10秒位パニックで頭におほしさま状態ですよ。


そして俺の脳内ハードディスクは1ヶ月前の記憶を瞬時に検索し、

M3の購入時に「車両保険」に入っていたことを思い出した。

「えっ10万でいいの?じゃあ今すぐ直してください!俺のM3を!」


電話口にそう叫んだ。



こうして俺は1本の電話により再び生きる希望を見出したのだった。

そしてあの時車両保険への加入を勧めてくれたMakotoに心底感謝したのだった。

あの時の気持を言葉にするなら、

「まこと!愛してるぜ!」

とチューが出来るくらい感謝していた。


画面はイメージです。
逆にMakotoにチューされてますが笑




後日送られてきた最終的な見積書

300万って国産の新車が買えるじゃん!


そんな金額です。

M3の部品はほとんどが本国ドイツBMW社からの船便での取り寄せになるとのことで、

修理には約1ヶ月を要しました。

しかし俺は、M3が復活するという喜びで早くも元気を取り戻し、

早くも

「いつかは本国ドイツでM3を走らせたいなーと」

夢を語っていた(反省なし)


【BMW M3、2度目の納車、そして俺がもう一度伝えたかったこと】

入社式を済ませ社会人となった俺はその後も慌ただしい毎日を送り、

目まぐるしく過ぎる日々の中に身を置いていた。

そして1ヶ月後の5月のGW明けの週末、ついにこの日がやってきた。

BMW M3の2度目の納車である。


5月には珍しく汗ばむくらいの暑さの中、

完璧に修復されたM3を見て俺は買った時以上に感極まってしまった。

BMW社の修理技術は非常に素晴らしく、

見た目は元より実際に運転しても事故があったことが全くわからない仕上がりで、

M3は漆黒の高級感で辺りを威圧していた。

激しく損傷したにも関わらず、車体の基礎となるフレーム部分には

1mmの歪みもなかったそうだ。

まさにドイツの最高級車BMW、そのものづくりに感服した。

こうして俺は再びドイツ製最高級車BMW M3のオーナーとなった。


俺は現在26歳になりましたが、この年の事は今でも鮮明に覚えてます。

当時の人生の全てだと思っていたBMW M3を2週間でクラッシュさせ、一度は廃車も考えた中、
車両保険という制度に救われ、再びこの車に乗ることが出来た時の嬉しさ。

全てが昨日の様に蘇ります。

俺は世の中を生き抜いて行く上で

「知識」

「準備」

この2つの大切さを知りました。

社会では

「知らなかった」

では済まされない事が数多くあります。

社会を生き抜いて行く「知識」の重要さ。

そしてその「知識」を活かすための「準備」の大切さ。

それを学びました。

この出来事は大学を卒業し、社会人の仲間入りをした俺への社会の洗礼だったのかも知れません。

と同時に必要な過程であったと今なら冷静に思うことが出来ます。

そして何より、

「正しい知識、アドバイスをしてくれる人がまわりにいるかどうか」

この重要性を痛感しました。

世の中知らないことだらけです。

自分で全てを学ぶのは不可能です。

一番大切な事はそういう人が自分の近くにいるかどうかです。

当時に俺にはMakotoがいました。

褒めすぎかもしれませんが、あの時彼がいなければ今の俺はいないと思います。


今回この話を2人で書くにあたって、

お互い再度当時を振り返り、

「人生で1番大切にしていること」

を再確認することが出来ました。


全ては「人」です。

「人」を大切にし、また俺自信ももっと成長していきたいと常に感じます。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

このお話で何か1つでも「気付き」がありましたらとても嬉しいです。

ありがとうございました。


※感想など気軽にFacebookにもメッセージお待ちしております^^









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