290 スイッチ
現代の室内灯は以前に比べて格段に進化したように思う。明かりの度合い調整もスイッチを回すだけで自由自在である場合が多い。
色合いも、オレンジっぽい色から、太陽のような黄色も選べるし、真夜中に蹴躓いてしまわないように、薄青い色の灯りを付けっぱなしにしておく事も可能だ。
部屋全体をいっぺんに消灯したり、 必要な部分だけ明かりを灯すなど、現代は便利だ。
福島県の二本松市で、偶然ホテルに五日間滞在中、 山の紅葉を見ているうちに、次のような考えが頭に浮かんだ。
「人間の心のあり方も、現代風照明のようだ」と。
何をどんな風に考えるかが、室内照明の最先端技術を駆使して、部屋の明るさを調整するように、自分の心の明るさ、暗さ、色合いを決めてしまう。
ほおって置けば、心は野鳥のように自由自在に飛び回ってしまい、心を暗くしてしまう可能性が大だ。
心のスイッチも自分次第。 暗すぎ無いよう、明るすぎないよう自分で統制する必要がある。
と言って、心の明るさを保ちたい一心で、現実の無数にある問題点を完全に無視するようでは、 小さな人間に留まってしまう。
運命的に、アメリカ生活が長い。 人種問題等未解決の問題が山積みしているアメリカではあるが、アメリカだけが問題だらけと考えるのは思い過ごしだ。どの国も大小多少の違いはあれど、多くの問題を内包している。
テッドトークで、南部のどちらかと言うと貧しい人々の部類に属する白人が、米国の現在の人種問題、白人優位主義の問題点等を10分間のスピーチで簡潔に、しかも力強く演説していた。
偶然、20代で白人と結婚した私は、知らぬ間に米国の人種差別に染まってしまっていたのだろうか。
少数の富豪層に都合の良い社会がいつの間にか形成されてしまっているようだ。 お金は人の心を動かしやすい。
大金を目の前で振り回せば、普通の人は目が眩み、金持ちの指示に盲目に従ってしまう傾向が強い。
社会の問題点を凝視しながら、その問題を少しでも良好な方向に転換するため、自分に出来る部分がないかを冷静に考慮して、避けずに無視せず、生きている限り、次世代のためにも、一人一人が
室内照明を調整する様に、より住みやすい社会をつくるために努力することこそが、生き甲斐に直接繋がる。
ただ、現代の多くの問題に関して、頭の中だけで学び続けるだけでは不十分だ。
ほんの少しでも、一人一人が微力ながら、人間社会の問題点を減らすため行動に移す事で、変化の渦潮を生じさせる事が可能なのかもしれない。
参考 テッドトーク
Mr. Russell Ellis, raised in North
Carolina. He is a reformed racist.