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13/8/25

浅野忠信さんと田中真弓さんに直接会ったにも関わらず、俳優の僕が芸能界で売れることを目指さない理由 PART3

Image by Olia Gozha

このページを初めて見る方は

こちらから順番にお読みくださいm(_ _)m

ルフィとウソップとサンジに会ってきた

↑僕の人生を変えた(と将来的に絶対語られるであろう)宝物です。


2013年12月、都内某所。

ONEPIECEボランティアスタッフの顔合わせ。

スタッフ「えー、今回は声優さん達がキツキツのスケジュールを合間をぬって来てくださいます。失礼のないようにだけ気をつけてください。」

「はい。(へ~、声優さんも来られるんだ。誰だろう?)」

スタッフ「今回集まってくださったのは、ルフィ役の田中真弓さん・ウソップ役の山口勝平さん・サンジ役の平田広明さんです。その他、ゾロやロビンからもビデオメッセージという形で、応援頂いています。」

「くぁwせdrftgyふじこ!?」


青天の霹靂とはこのことを言うのでしょう。


声優界のオールスターメンバーやないかい!!

クリリンに、工藤新一に、ジョニー・デップ、だとおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!


と思わず発狂しそうになりましたが

でもあここはくまで表情は平静を装い、

帰ってから天にも登るような心地で、一晩中眠れませんでした。




翌週、少し曇り気味の寒空のもと、僕はONEPIECEの豪華声優陣に会えるという期待感と、

震災のボランティアにいくという不安感が入り混じった不思議な感じで高速道路を走る車の中にいました。


勢いで参加したはいいものの、テンションはあがっているものの

被災地のボランティアなだけに、当日どう振舞っていいのか、さっぱりイメージがわきませんでした。


内容としては、被災地の子供たちを区民センターに集めて、そこでONEPIECE映画の上映と、声優さん達とのトークショーと、ONEPIECE全巻セットプレゼントゲームをやるというもので、

その運営を手伝いにいくボランティアでした。


運営といっても何かたいへんな設営があるわけはなく、

荷物の搬入・搬出とお客さんの軽い誘導と、声優さん達のタイムスケジュール管理くらいで


炊き出しも地元のボランティア団体さんがやってくださって

ぼくらはただステージの後ろにいただけでした。


何しに来たんだろう。。。

正直、「誰かの役に立てている」という実感はありませんでした。

居心地が悪くなって、休憩時間に僕は区民センターの近くの丘の上に立って街を見下ろしました。


地元の人「お疲れ様です(^-^)」

「あ、お疲れ様です!!」

地元の人「この丘の傾斜面にいっぱいお墓が立っているでしょう。これは津波で流された人たちが祀ってあるんですよ。」

「・・・・・・・」

地元の人「まだガレキがどいただけでね、復興自体は進まないんだけどね。これからですね。」

「・・・・・・・はい。」


悔しかったです。

本当に無力だなぁ、と実感した瞬間でした。


これこそが夢を与える仕事だ!

楽屋に戻ると、なにやらスタッフがバタバタしています。

「どうされたんですか?」

スタッフ「もうすぐ出番なのに平田(サンジ)さんがいないんだ。どこいったか知ってる!?」


これは大変と、区民センター館内を探し回っていると、

「あ!!!(いた!!)」

そこに見えたのは、


子供たちが平田さんの前に長蛇の列を作って、

平田さんが一生懸命サインをしている光景でした。

             ONE PIECE (C)尾田栄一郎/集英社


あぁ、夢を与える仕事って、これだなぁ。

すげーーーーかっこいいなぁって思いました。



イベントが終わり、別れ際、ルフィ役の田中真弓さんが、スタッフにサインを書いてくださっている時こんなことをおっしゃいました。



「わたしね、ルフィが声優人生で最後の役になると思うんだ。」

「え、引退されるんですか!?」

「ううん、だって尾田っちが私が生きている間にONEPIECE書き終えてくれるかどうか怪しいでしょ?(笑)」


そのセリフを言う表情には、本当に声優という職業をこころから愛している人にしかできないんだろうなと思える独特のオーラがありました。



浅野忠信さんといい、

ONEPIECEの声優陣といい、

突き抜けた人たちは、本当にいうことがかっこよくて

なにより「生き方がかっこいいな」と感じました。


比較すること自体がおこがましいですが、

そんな一流の人達と比べた時に、

自分の器のちっささを目の当たりにして、

不順な動機でボランティアに参加した自分を悔やみました。



帰りの高速道路で、その日の出来事をいろいろ反すうしながら

俳優としての「生き方」が定まっていない自分は


果たして将来僕はあの人たちみたいに、夢を与えられる人間になれるんだろうか。


そんな、絶望にも似た感覚で被災地をあとにしました。

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