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終末への片道切符

Image by Olia Gozha

今年度の介護認定の調査結果が通知された。結局一段階進んで要介護3と認定された。


最近の母は記憶の混乱がひどい。

20年以上前に死んでしまった父を必死になって探し回るので、「いない」と言うと、「そんなはずはない!昨日帰って来たもの!昨日はちゃんといた!」と半狂乱になって叫び出す。最後は頭を掻きむしって、「バカになっちゃった。どうしよう。もうバカになっちゃった!」と、悲しそうに声を上げて泣き出してしまう。

不安で、ただただ不安で、とにかくもう泣くことしかできないのだ。

5年前、初めてのショートステイで母に付き添って行った時のこと。ラウンジでこちらに向かって何か喋り掛けている小さいおばあさんがいた。怖がらせないように気をつけながら、なるべく優しく「何ですか?」と尋ねたところ、涙ぐみながら助けを乞うように小さく一言、「何もわからないの。」と呟いた。

私には、不安で怯える母を、握りしめられたそのこぶしごと強くきつく抱きしめて「大丈夫。大丈夫。大丈夫。大丈夫。」と言い続けることしかできない。

初めて介護認定を受けた時、母は要支援2(最軽度から2番目)だった。次の更新の時は老人性鬱などを発症したため、いきなり2段階進んで要介護2に跳ね上がった。しかしその後、デイサービスの方々の介護や、医師の治療等によって持ち直し、一旦要介護1に下がった。しかし次の更新ではまた要介護2に戻ってしまった。

そして今回。

以前のように、治療や介護で持ち直すことはもうない。あとは坂道を転げ落ちるように悪化していくだけだろう。

終点を見続けながらじわじわそれに近づいて行くのと、事故などでいきなり別れを迎えるのとではどっちが楽なんだろう。

とにかく今はただ苦しくて仕方がない。

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