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人生の醍醐味 284 アメリカ

Image by Olia Gozha

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南北戦争を勝利に導き、4百万人の奴隷解放を果たした、 あの有名なリンカーン大統領の共和党は、 時代と共に、猫の目のように、方向、方針、政策等をどんどん変えていった。


米国が誕生する以前から、偏執病(他者が常に自分を非難していると思ってしまう精神病)的傾向が、イギリスの植民地であったアメリカ北東部に存在していた。


トランプ旋風が、突然どこからともなく現れたのではなく、「アメリカ合衆国の根深いところ、表面下にとぐろを巻いて隠れていたのだ。」と、ジャーナリストのデービド コーン氏(David Corn)は、自著(2022年)「アメリカの精神病」(American Psychosis) で述べている。


古いところでは、1690年代、サーレム魔女狩りと言われている悲劇が、アメリカで実際に史実として起こった。


マサチューセッツ州のセイラム村で、200人以上の村人が魔女であるとの疑いをかけられ裁判になり、19名が刑死した。(グーグル参照)


また、ジョージ ワシントンやベンジャミン フランクリンと言った、米国の建国の父達も属していた、秘密結社であるフリーメーソンの幾多の事件も勃発した。



フリーメーソン秘密結社に対する嫌がらせが加速化した背景には、19世紀に入り、アメリカが丁度農業国から工業国に転換する過渡期に当たり、社会が大変革を遂げつつあったことも大きな理由であった。


政治的過激主義は、大袈裟な陰謀論だけではなく、カトリック教徒並びに移民に対する強い実際の偏見が、原動力にもなっていた。


このような問題は、決して一党だけの問題ではない。 南北戦争終結後、白人至上主義を主張するクー・クラックス• クランが形成され、自由になった元奴隷や黒人で役人になった人々を狙い、恐怖に陥れた。 


もちろん、元奴隷に友好的態度をとる白人も標的になった。南部の民主党員達は、票数に目がくらみ、KKKに組みする流れに乗ってしまった。


第一次世界大戦が、残念ながら、また新種の忌み嫌う態度を醸成してしまった。  今度は、反ドイツ主義が蔓延し始めたのだ。


「アメリカ人的でない」と言う物差しを振り回し始めたのだ。 戦争反対派、移民 特にアイルランド系、ドイツ系、ユダヤ系の人々等がいじめ、殺害の標的になってしまった。


第一次世界大戦終結後すぐに、ロシアのボルシェビズム(ロシア社会民主労働党多数派主義)に対し、

恐怖に慄く米国人が急増した。


1917年のロシア革命が起きた頃、米国社会は大きな変革期に突入、多くの米国市民が苦しい状況下に置かれていた。 


米国経済の停滞、失業率の上昇、物価上昇と言ったインフレ懸念等、不安要因が多かった。


このような状況下、アメリカ第一主義的考え方がより表面化した。 


他国から来た移民に対する風当たりが強くなったのだ。  「社会主義や共産主義と言った思想は、外国の思想である。」と言う、考えが根強かった。


農業国から工業国に変革ていった米国で、労働者が労働運動を起こす事に対して、危機感を抱く指導層が多かった。


1919年、シアトルで労働争議が起きた時、「マルクス主義者の陰謀である。」と、労働運動そのものを非難する始末だ。


米国の無政府主義者の誰かが、米国政府高官の自宅に爆弾を投げ入れた事件も発生、事実関係も調査せず、「共産主義者の策略だ。」と非難の嵐。


これがきっかけに、知識層を含め、革新的考えを持っている大勢のアメリカ市民が、連邦調査官などに捕まってしまった。


排日移民法が成立した、1924年頃になると、米国固有文化主義が幅を利かせ始め、「赤」、すなわち共産主義を毛嫌いする風潮が、米国全土に広がった。 


丁度その時期。フォード氏がモデルT と言う大衆車を大量生産し始めていた時期だ。


でも、この有名なフォード氏は、ユダヤ人嫌いである上、強烈な陰謀論者の一人であった。


大恐慌後、1930年代に、米国が深刻な不況に見舞われてしまう。 失業者の数が鰻登りで、不穏な空気がアメリカ中に広がり始めていた。


その上、1940年の春、ヒットラー軍がヨーロッパ中を圧巻してしまった。


第二次世界大戦で、アメリカも参戦、ソ連邦と協力、4年間で勝利の内に終結した。


短期間の内に、陰謀論を前面に出し、 市民の恐怖心を煽るような態度が、アメリカ全土でより顕著になってゆく。


参考文献 「American  Psychosis」

                    by David  Corn  出版2022年


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