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今回のコビッド19の失策は、米国の子供達に、暗い影を投げかけている。
最近出版された書物、” The Stolen Year: How Covid Changed Children’s Lives, and Where We Go Now”( 盗まれた年 - 疫病コビッドがどのように子供の人生を変えてしまったか。 これから、その問題にどう対処すべきか)。
著者 Anya Kamenetz( アンヤ カメネッツ)
学校閉鎖並びに、オンライン上の教育へ移行した期間が長く、その悪影響に関するデーターが出始めている。
ハーバード大学の研究によると、「2020年- 2021年の間、学校の授業期間内で、少なくとも算数を学ぶべき授業日数の7週間分が喪失している。」と、発表している。
子供達は、授業から遅れ始めると、学校生活における自分に対する評価が、下がってしまう。 その結果、学校生活に消極的になってしまう場合が多々ある。
また、10才以内に、その年齢に合った読解力をつけ損なうと、統計的に見ても、そのような子供達は、高校中退率も上がってしまう。
その結果、そのような生徒は、大人になってからも、人生の苦悩をより背負い込みやすい。
例えば、良い仕事が得られない。 就職ができても、収入が低い。 不健康になりがち。タバコを吸いがち。 その上、人間関係も長続きしない。
これから、コビッドで勉学に遅れをとった子供達を、学校生活にどのように、「滑らかに溶け込ませてゆくか。」という、大きな課題を抱えている。
しかも、ただ学業成績を上げるだけでは不十分で、「自分も学校に属している。」という、所属感を子供が感じられるよう工夫する事も重要である。
このためには、「社会全体が一丸となって努力することが必要である。」と、作者は言う。
その上、学校生活は勉学ばかりではなく、子供達に、学校給食の形で、食べ物も提供している。
学校の食堂で食べる食事が、子供達の飢餓防止に大きな役割を担っている。 家庭の経済事情により、給食代は無料であったり、減額で支給されている。
米国では年間、夏休み中を含めて、何十億食分も提供されているのだ。
貧しい家庭の子供達にとって、このような食事で、必要なカロリーの多くを担っているのだ。
その上、現実に、学校給食に頼っている子供達の数は、3千万人に及んでいる。
米国では夏休みが長く、二ヶ月半に及ぶ。 その間も、貧困層の子ども達は、学校の給食の特別配布を受けていたが、 学校閉鎖で、それも廃止された結果、空腹に苦しむ子供達が増えてしまった。


