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人生の醍醐味 248 波に音

Image by Olia Gozha

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広大な空。 今日の夕方の空は雲が多い。 7時頃であるが、 夕日は雲に隠れて、辺りは少し薄暗くなり始めている。


昼間の太陽の暖かさを、十分吸収した椰子の木にもたれ、夕食後はのんびり地平線に目をやる。 


近くに観光客がいる。  若い30代の白人夫婦らしいが、各自本を読んでいて、会話が少ない印象を受ける。


5メートル先は波打ち際で、優しく打ち寄せる波の音が心地よい。 個人的には、なんの悩みもない日々が静かに過ぎてゆく。


60メートル位離れた砂浜で、バレーボールを楽しんでいる若者達の楽しそうな声も聞こえる。


海の沖には、観光船が2隻見える。 観光客達は船上で夕食を楽しみながら、暮れゆく海を見ているのだろう。


若者達も、社会人もそれぞれこの地上で生きる上で、色々な問題に遭遇しているに違いない。


後期高齢者は、後期高齢者独特の問題に直面している。 風前の灯火の如く、 「いつ何時自分の命が終わるかもしれない。」と言う、不安が時々心をよぎる。


断捨離も終えて、ミニマリスト的生活を選択したが、 長生きして、まだ十年ほど命を長らえるのか、ここ数日中、ここ数ヶ月中に命が終わるかもしれないのだ。 


好きなレストランのカウンターで、日本料理の昼食を食べていた時、たまたま両隣が若夫婦だった。


しかも、夫がアメリカ人で妻が日系人だった。右側の夫婦は7歳ぐらいのお嬢さんがいて、お父さんに甘えていて、かわいい。


左側の夫婦も夫が背の高いアメリカ人で、奥さんは日系人。 覚束ない箸さばきではあったが、米国の男性が、丼物のごはん粒を一つも残さず、綺麗に食べ終わったので感心した。


現実社会のほんの断片をみて、若い頃の私と夫の情景が浮かんできた。


「後期高齢者と友達になろう。」と思う、貴徳な人はこの世にいない。 振り返ってみると 私自身も、私が、例えば、50代の時、 親の年代位の人に、ほとんど興味も持たなかったと思う。


人間は、当然、自分の身近な人生問題に気を取られやすい動物なのだ。進化論上も、子供を産める若い時代は人類を保存するためにも、健康維持が容易なように設計されているのだろう。


雑誌の付録同様、80代は人生の付録であるが、生活苦から免れた幸運を感謝して、目に入る新緑や咲き誇る花を観賞したり、鳥の声に耳を傾け、自分も大自然の一部である事をありがたく思う。


人間界の一員であるおかげで、 人間が長年かけて構築した、人間界の利便性を十二分に満喫させてもらっている。 


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