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人生の醍醐味 223 泡の如く

Image by Olia Gozha

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明日は私が満80歳の誕生日だ。  子供の頃虚弱であった私が、曲がりなりにも何とか元気に、80歳を迎える事ができた。 めでたいことだ。 大自然に感謝したい。  人間界にも感謝したい。 


数ヶ月前に、我がコンドのプールに付属するホットタブで、偶然数回お喋りを楽しんだ高齢男性と、初めて昼食を一緒に食べた。  


代わりばんこに、昼食の支払いをすることになり、まずは私が支払った。


お互いに、ホノルルでは余所者である関係もあり、また、英語と言う共通言語のお陰で、話が弾んだ。


生まれ育った国、学生時代、米国移住などの話を彼がした。  祖父母や両親が揃い、 兄妹も揃った幸せな家族であると言う印象を受けた。 


Eさんの母国の諸事情もあり、 父母、叔父、伯父達は皆米国に移住して、Eさんの叔母さんだけが母国に残ったと言う。


 

東アジア系の特色らしく、 真面目に良く勉強して、工学博士の称号まで獲得、多国籍企業で技術系の重職を担っていたが、8時間労働は身体に応える年齢に達し、1日4時間ぐらいで済む仕事に落ち着いた。


テキサス州に、彼の属する多国籍企業があるが、徐々に娘さんの家族が住む、ホノルルに移住する事にして、コンドを買い求め、仕事の一部をオンラインでこなしている。 


娘さんは正規看護師でその夫は医師だ。 ホノルルで結婚式を挙げた新婚さん達でもある。


彼の奥様は、ニューヨークにある有名な音楽学校である、ジュリアード音楽学院を卒業したピアニストで、 二人の間に息子さんと娘さんがいて、二人とも社会人になり結婚して、息子さんの家族は米国本土のミシガン州在住で、看護師さんの娘さんの家族がたまたま仕事の関係で、ホノルルに移住したので、彼は娘さんの家族の近くに住居を定めた。  


10年以上前に、Eさんは奥様を癌で亡くし、 現在は基本的に独り住まいだ。


妹さんはアメリカの本土で、割と大きな日本料理店を経営していたが、 コビッド19蔓延の影響をもろに受け、余儀なく閉店に追い込まれたそうだ。


「東アジアの特色通り、 僕は勉強ばかりに力を入れすぎて、 あまり趣味を伸ばす時間が取れなかった。」と、Eさん。


それでも、「切手収集やその他世界の珍しい物を収集するのが趣味で、テニスやゴルフ、ランニングを楽しんでいる。」と、言う。


最近まで、 仕事に力を入れすぎて ホノルルにコンドを購入したものの、テキサス州とハワイ州を行ったり来たりの生活であったが、これからは85パーセントほど、「ホノルルで根を生やして生活するつもりだ」そうだ。


そんな訳もあり まだ「ハワイ大学校内を歩き回ったこともない。」と、言う。


運良く、ハワイ大学のケネディー劇場で、私の知人も出演するフラダンス公演があるので、誘ってみたら、快諾してくれた。 数日中に、 市バスを利用して、二人で行く予定を立てた。


「高齢者は、孤立する事を避ける事が賢明だ。」と、我々二人はこの点で同意見なので、お互いの話し相手になるつもりだ。  


生まれ育った国が違っても、 東アジアから米国に移住、長年生活した実績は同じで、 これからも、生まれ育った国を、「何度か訪問する機会はある。」と、思うが、 基本的に死ぬまで米国内で生きて行くつもりである点でも二人の意見は一致した。 


コビッド19が蔓延する前、たまたまある知人が車で、割と遠方にある、韓国系仏教寺院まで案内してくださった。


そのお寺で、来訪者達と一緒に瞑想を経験し、そのお寺の住職さんの英語の説教に耳を傾けた。



コビッド19のため、そのお寺から数年遠のいていたが、 Eさんは車を所有しているので、「連れて行ってくださる。」と、言う。 ありがたい。


それぞれ自分のコンドを持ち、「経済的にも不安なく生活できる身分である事」に、感謝して、

これからも、時々、お茶を一緒に飲んで、昼食を一緒に食べ四方山話を楽しむ二人でいたい。


彼は私のとても大切な友達だ。 大自然よ、彼と巡り合う機会を与えてくれた事を心の底から、感謝します。


(人のは 変わりやすい。) 一年ほどで、泡のように消え失せた。



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