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人生の醍醐味 184 お喋り

Image by Olia Gozha

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ホノルルの街には、あちらこちらにベンチが設置されていて、とても便利だ。  


歩き疲れたら、木陰のベンチに座り込み、のんびりと海を見ているのが好きだ。



COVID-19のため、頻度は減ったが、それでもたまに、長細いベンチに所在なさそうに座っていると、隣に座る人もいる。


物も言わず別れる場合も多いが、 たまには、2時間近くお喋りを楽しむ場合もある。


今回は、本人によると、70歳の白人女性と、夜8時から10時近くまで話し込んだ。  


テキサス州出身の方で、20年以上ホノルル在住との事。 


テキサス州のフォートワース市、サン アントニオ市等にも行ったことがあったので、話が弾んだ。 


お喋りが好きな人らしく、 私が尋ねなくとも身の上話しをしてくれた。


一番彼女(仮の名 アリス)が繰り返したのは、幼少の頃に養女となり、育ての親の子供として育ったそうだ。


生みの親の話はしなかった。 10代の終わりに結婚、5年程で離婚したらしい。


幼児2人を抱えていたので、一時的に政府から、生活保護を受けたり、 食料品交換切符等も受給していた時期もあった。  


でも、米国陸軍の事務職についてから、 自立できて、生活も安定したそうだ。


今では45歳と43歳の大人になった子どもさん達は、それぞれ結婚、ニューヨーク州で働き、お孫さんも三人いるそうだ。


私も負けじと、皆様ご存知の身の上話しを、彼女にも披露した。


なかなか退散しない疫病のためもあり、最近は孤独な人が多いのかもしれない。 


お互い、米国本土には、自分の子供の家族がいるけれど、 ホノルルを老後の生活の場として選んだ点は共通している。


最近、時事問題に関する講演を聞いたり、 その種の書物を読み過ぎているせいだろうか。


かの有名なアルゴリズムで、 米政府が私の傾向を察知、私の行動を監視するために、アリスを私に近づけたのかとふっと思った。 


電話番号の交換を彼女から提案した。  本当は、 彼女がどんな人か、ホノルルの何処に住んでいるのかも分からない。 判断材料は、本人の話のみ。



まあいいか。 推理小説の主人公になった気分を、瞬時楽しんだ。 本の読み過ぎで、推理が鋭敏になりすぎるきらいがある。 




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