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人生の醍醐味  155

Image by Olia Gozha

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8月に入ったが、ホノルルでは雨が時々降る。 といっても、降る時間は短く、 曇り空が直ぐ青空に変わる。 


ベンガル菩提樹や 全ての亜熱帯植物がとても幸せそう。 その幸せ感を、あたり一面に広げてくれている。 


そのお裾分けを、胸一杯に吸い込みながら、歩を進めるのが好きだ。


数日ぶりに、いつもの青空を見ると、心が踊りたくなる。  雲の形の変化を見ているのが楽しい。 海風が優しく肌を撫でて行く。


間違いなく時は流れて行く。  「これで良いのだ。」と、言い聞かす。   


長い人生ではあったが、 78歳になったら、自分はどうするのか、はっきり予定も決めていなかった。


人生とはそんなもの。  出たとこ勝負的側面がある。  でも、 「これで良いのだ。」と、思う自分がいる。 


ホノルルを選択して良かったのだ。  夏は当然、太平洋のど真ん中にあるオアフ島は暑い。


日陰を求めて歩くコツも覚えた。  冷房のよく効いた、デパートに逃げ込む事もある。


ほぼ毎日、海の近くを歩き、波の音に耳を澄ます。 心が落ち着く。


自然を身近に感じられる幸せよ。  本も読み放題。   青空も見放題。 海風を身体中で感じられる快さよ。


不思議と悩みの無い自分が、ホノルルを歩き回っている。 若い頃は、常に何らかの悩みを抱えていたものだった。


米国本土の雰囲気を味わいたくなると、観光の中心地であるワイキキに行く。 


アラワイ川に沿って、東へ歩くこと25分程で、着く距離だ。


割と地元の人の好む、小さな海辺の公園へ行く時は、大通りを西へ ゆっくり30分程かけて歩く。 


両者の雰囲気が大分違うので、その日の気分で、東へか西へ歩く。 


ホノルルに来たばかりの頃は、毎日平均、1万歩以上歩いていたが、 3年近くなる今、 平均九千歩位になった。


瞑想と称して、のんびり木陰のベンチに座り、青空、海を見ているのが気持ちよく、 どうも、自分を甘やかし過ぎているのかも。


時々、可愛いワンちゃんを連れた地元の人と、お喋りをすこし楽しむ時もある。


昨日は、 30分位、お互い近くのベンチで休憩していたが、最初は無言だった。 


アジア系の人でも、どの国の人か分からないし、英語を話せるかどうかもわからないので、沈黙を守る場合が多い。


偶然、ワンちゃんの名前が「もち」と知り、日系アメリカ人だと推測した。


運良く、向こうから話しかけて下さった。 私が日本生まれで、日本語を話す事を知ると、自分の母親を、すぐに紹介した。


ワンちゃんのおかげで、 92歳の九州出身の日本生まれの方と、アメリカ生まれの60代後半の息子さんと三人で、取り留めもない会話を楽しんだ。 


母君は完璧な日本語、息子さんは完璧な英語とすこしの日本語、私は両刀使い。 


7時半過ぎには日が沈み、あたりは桃色、橙色の空と海、潮風が優しく吹いていた。



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