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2019年も今日が最後。偶然、良い本と出会う。1日の読書時間で100ページ。300ページ強の本だから、三日位で読み終われそうだ。
鈴木皓詞氏の「茶の湯からの発信」という本を、ブックオフで見つけた。 北海道生まれ、得度して僧籍後還俗。大学生の時、裏千家の茶の湯を学ぶ。
禅宗と茶道、日本文化などが、渾然と合流した文章で、読みやすいにもかかわらず、奥行きが深い。
現代日本の批評も含まれていて、大人時代の大半を、外国で過ごした人間にとって、興味深い内容だった。
しかも、現代のように、めまぐるしく技術革新で、人々の生活が変化する時代、自分の心のもち方の大切さを、強調している印象を受けた。
新地で、人生最後を有意義に過ごすには、「自分をどう律するべきか」と、自問自答している時期だけに、「時と的を得た書物に出会えた」と、喜びに絶えない。
「独服の茶」という概念を学んだ。鈴木氏によると、一人でお茶を立て、一人でそのお茶🍵を服する事を言う。
一人住まいの私に適している。 お茶を立てる自分と、そのお茶を服する自分。 瞑想の概念に似ているようだ。
ある意味で、自分を客観視することは、大切だと思う。 鈴木氏は、現代人は自分を甘やかしてしまう傾向が、昔より強いと言う。 反省しきり。
アメリカに初めて住み始め、6年後日本に帰り、職を得た。「日本という国は」という疑問が心に芽生え、 歌舞伎座に足を運んだり、文楽、能、狂言の舞台を楽しんだ。 落語も意識的に寄席に聞きに行った。
上野公園近くの、裏千家茶道の教室にも、通い始めた。道元禅師の、「正方眼蔵」と言う難しい書物を、市民も参加出来る、東京大学仏教研究会に、通って学んだ。
77歳になり、 否応無く、自分の死について直視する時期に入った今、鈴木氏の御本は参考になる内容が多い。


